第6話: 嵐の頂、絆の試練
奈落の裂け目での戦いを終えたザルク、ヴォラス、ガレン、レイドの二つのタッグは、互いへの不信を抑えつつ、次なる試練の場へ向かう。エルドラス大陸の高峰、「嵐の頂」。雷鳴が響き、嵐が吹き荒れるこの地は、天空を支配するモンスターが棲む。神の声が告げた「真の勝者はまだ遠い」という言葉が、四人の心に重く響く。裏切りの誘惑を乗り越えた彼らだが、競争心と共闘の狭間で揺れる絆が、新たな試練に挑む。
嵐の頂への道
高峰の岩肌を登る中、雷が空を切り裂く。ザルクの仮面レンズが雷のエネルギーを検知し、警告を発する。「この嵐、普通じゃねえ。ヴォラス、気をつけろ。獲物は空にいる。」
ヴォラスは甲殻を震わせ、風向きと振動で敵を探る。酸性の体液が雨に混ざり、岩を溶かす。ザルクが砲台を構え、プラズマの出力を調整。「今回はポイントを総取りだ。奴らに譲る気はねえ。」
一方、ガレンとレイドは別の崖を登る。ガレンのガントレットが雷の魔力を吸収し、青白い光を放つ。「レイド、風が強い。足元に気をつけろ。この試練、俺たちの結束が試されるぞ。」
レイドは銃を握り、コートの裾を風になびかせる。「兄貴、結束はいいけど、ポイントは俺たちがいただく。あの仮面と虫に先を越されるなよ!」
頂上の広場にたどり着いた四人は、嵐の中で巨大な影を目撃する。「ストームワイバーン」。翼を広げると三十メートル、雷を纏った鱗が輝く龍型の魔獣だ。雷撃を放ち、嵐を操るこの王級モンスターを倒せば、ポイントはこれまでの試練を凌駕する。だが、その攻撃は一瞬で命を奪うほどの威力を持つ。
競争と共闘の狭間
ザルクが先陣を切る。プラズマ砲が青い閃光を放ち、ワイバーンの翼を狙うが、雷撃に弾かれてしまう。「ちっ、雷が邪魔だ! ヴォラス、足を止めろ!」
ヴォラスは岩を這い、酸性の尾でワイバーンの足を攻撃。鱗が溶け、ワイバーンが咆哮するが、尾の一振りでヴォラスが吹き飛ばされる。ザルクが援護射撃を続けるが、嵐の風がプラズマを乱す。
ガレンとレイドが参戦。レイドの銃撃が炎の弾丸でワイバーンの目を狙い、ガレンがガントレットの刃で突進。「この雷、俺の力に変える!」ガレンの刃が雷を吸収し、電撃を帯びてワイバーンに切り込む。
だが、ワイバーンの反撃は苛烈だ。雷撃が四人を同時に襲い、岩場が爆発。ザルクが叫ぶ。「お前ら、邪魔だ! ポイントは俺たちが取る!」
レイドが応じる。「ふざけんな、仮面! 俺たちの裁きが先に決めるぜ!」
戦闘中、嵐が一瞬止み、ワイバーンが翼を広げて浮上。神の声が響く。「絆を試せ。競うだけでは、頂には届かぬ。」
ザルクとガレンが一瞬顔を見合わせる。裏切りの誘惑が再び頭をよぎるが、奈落の裂け目での失敗が脳裏に蘇る。ヴォラスが無言でザルクに近づき、レイドがガレンに視線を送る。
「ちっ、仕方ねえ。一時共闘だ。」ザルクが吐き捨てる。
ガレンが頷く。「ポイントは後で決める。まずはこいつを倒す。」
絆の試練
四人の連携が始まる。ヴォラスが酸性の霧でワイバーンの視界を奪い、ザルクのプラズマ砲が雷撃を相殺。ガレンが電撃を帯びた刃でワイバーンの鱗を切り裂き、レイドの狙撃が弱点を正確に捉える。嵐の中で、四人の動きが初めて完全に噛み合う。
ワイバーンが最後の抵抗で巨大な雷撃を放つが、ガレンのガントレットが雷を吸収し、逆に刃に込めて反撃。ザルクのプラズマが核を直撃し、ヴォラスが内部に潜り込んで酸で破壊。レイドの最後の銃撃が、ワイバーンの頭部を貫く。
轟音と共に、ストームワイバーンが墜落。魔核が輝き、嵐が静まる。神の声が告げる。「ストームワイバーン討伐。ポイントは両タッグに分配。絆の試練を乗り越えた。」
新たな決意
頂上に静寂が戻る。ザルクが仮面を調整し、呟く。「また分け前か。だが、今回は悪くねえ。」
ガレンがコートを払い、微笑む。「絆、か。神のゲームも、悪趣味だな。」
レイドが銃を回し、笑う。「よし、兄貴! 次はポイント総取りだぜ!」
ヴォラスは無言で魔核の欠片を拾い、ザルクに渡す。だが、その瞬間、頂上の奥で新たな気配が蠢く。神の声が囁く。「次の試練は、最後の選択だ。」
二つのタッグは、絆を試されたことで一歩近づいたように見える。だが、神のゲームの真意はまだ遠い。嵐の頂を後にし、四人は新たな戦場へと進む。
(つづく)