第4話: 炎の峡谷、裏切りの影
咆哮の谷を制した二つのタッグは、神の声に導かれるまま、さらに奥深いエルドラス大陸の秘境へ進む。目指すは「炎の峡谷」。溶岩が流れる灼熱の地で、火の精霊が宿るモンスターが跋扈する。ポイントの分配に苛立つザルクとガレンは、互いに牽制し合いながらも、試練の核心に近づいていることを感じていた。ヴォラスとレイドは、それぞれのパートナーを支えつつ、競争の火種を燃やし続ける。
峡谷の熱気
峡谷の入口は、熱波で空気が歪む。ザルクの仮面レンズが熱を検知し、自動的に冷却モードに切り替わる。「この熱、獲物の巣窟だな。ヴォラス、耐えられるか?」
ヴォラスは黒い甲殻を震わせ、酸性の体液を蒸発させながら進む。熱に強い体質が、ここで活きる。ザルクが肩の砲台を調整し、プラズマの出力 を上げて準備を整える。「今回は分け前なんてねえ。俺たちが独占だ。」
反対側から入るガレンとレイドは、コートの耐熱繊維が熱を防ぐ。ガレンのガントレットが赤く輝き、炎の魔力を吸収する機能が作動。「レイド、油断するな。この峡谷、単なる狩場じゃねえ。神の試練が濃いぞ。」
レイドは銃を構え、炎の弾丸を装填。「兄貴、奴らより先に大物を仕留めようぜ。あの仮面と虫野郎に、俺たちの裁きを見せつける!」
峡谷の中央で、現れたのは「フレイムガーディアン」。全長二十メートル、炎の鎧を纏った巨人のようなモンスターだ。両手に持つ溶岩の斧が、地面を焦がす。この魔獣は峡谷の守護者で、倒せば膨大なポイントが得られるが、炎の領域を操り、近づく者を焼き尽くす。
競争の激化
ザルクとヴォラスが先に仕掛けた。ザルクのプラズマ砲が青い光を放ち、フレイムガーディアンの炎の鎧を貫こうとするが、熱波に拡散される。「ちっ、熱が邪魔だ。ヴォラス、冷却しろ!」
ヴォラスは酸性の霧を吐き出し、ガーディアンの周囲を冷やそうとする。霧が炎に触れ、蒸気が爆発的に広がる。ヴォラスが隙を突き、尾でガーディアンの足を溶かそうとするが、溶岩の斧が振り下ろされ、ヴォラスを吹き飛ばす。
その隙に、ガレンとレイドが参戦。レイドの銃撃が炎の弾丸を連射し、ガーディアンの目を狙う。ガレンはガントレットの刃を炎で強化し、突進。「この炎、俺の力に変えてやる!」
ガーディアンの斧がガレンを迎え撃つが、刃が斧を弾き返す。レイドが援護射撃を加え、ガーディアンの動きを乱す。ザルクが苛立つ。「お前ら、また邪魔か! 離れろ!」
ガレンが嘲る。「獲物は早い者勝ちだ。文句あるなら、勝てばいい。」
戦いは激化。ザルクとヴォラスは遠距離からの精密攻撃でガーディアンを削り、ガレンとレイドは近接で猛攻を仕掛ける。だが、互いの攻撃が交錯し、プラズマ弾がレイドの近くに着弾したり、ガレンの刃がヴォラスを掠めたりする。意図的か、偶然か――競争心が裏切りを生む。
影の誘惑
ガーディアンの咆哮が峡谷を揺らし、溶岩が噴き出す。ザルクが仮面の下で舌打ち。「このままじゃ、また分け前だ。ヴォラス、奴らを妨害しろ。」
ヴォラスは無言で動き、酸性の尾をレイドの足元に伸ばす。レイドが気づき、銃を向ける。「おい、虫野郎! 何のつもりだ!」
ガレンがガントレットを構え、ザルクを睨む。「裏切りか? なら、俺たちが相手だ。」
一瞬、戦いが中断。ガーディアンがその隙を突き、炎の波を放つ。四人は散開し、熱波を避けるが、ザルクとガレンの視線は敵意に満ちる。神の声が響く。「競え、だが裏切りは試練を深める。勝者は一組のみ。」
その言葉に、ザルクが笑う。「よし、ヴォラス。本気でいくぞ。奴らを蹴落とせ。」
レイドが応じる。「兄貴、こいつらを先に片付けるか?」
だが、ガーディアンの攻撃が再開。四人は仕方なく共闘に戻る。ヴォラスが内部に潜り込み、酸で鎧を溶かし、ザルクがプラズマで核を狙う。ガレンが斧を封じ、レイドが銃撃で援護。連携が功を奏し、ガーディアンが膝をつく。
最後のトドメ。ザルクとガレンが同時に攻撃を放つが、互いの動きがぶつかり、ガーディアンが逃れる。神の声が告げる。「失敗。ポイントはなし。試練を繰り返せ。」
決別の予感
峡谷に沈黙が落ちる。ザルクが仮面を叩き、苛立つ。「お前らのせいだ! 次は本気で潰す。」
ガレンが冷たく言う。「互いにだ。競争はここからだ。」
レイドが銃を回し、ヴォラスが尾を振る。峡谷の奥で、新たな炎が揺らめく。神のゲームは、裏切りと信頼の狭間で加速する。二つのタッグは、決別の影を背負いながら、次の戦いへ向かう。
(つづく)