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第2話: 狩りの火花、散る

エルドラス大陸の霧深い森は、シャドウウルフの咆哮で震えていた。ザルクとヴォラス、ガレンとレイド――二つのタッグは、モンスター狩りの競争に火花を散らす。神の声が課したルールは明確だ。より多くのモンスターを狩り、ポイントを稼いだタッグがこの世界の秘密に近づく。だが、この森には、ただの獣ではない何かが潜んでいる。

森の奥、罠の気配

ザルクの肩の砲台が低く唸り、赤いレンズが周囲をスキャンする。ヴォラスは地面を這い、酸性の尾で木々を溶かしながら進む。シャドウウルフの群れを一掃した直後だが、ザルクの勘が何か大きな獲物の存在を捉えていた。

「ヴォラス、気配が濃い。デカいのが近くにいるぞ。」ザルクの声は低く、獲物を前にした狩人の興奮が滲む。

ヴォラスは鋭い爪を地面に突き立て、振動で敵の位置を探る。すると、森の奥から不気味な紫色の霧が漂い始めた。ザルクのレンズが警告を発する。「これは……魔法だ。単なる獣じゃねえ。」

一方、ガレンとレイドは別のルートを進む。ガレンのガントレットが微かに光り、魔力を感知する仕掛けが反応している。「レイド、油断するな。この霧、ただの天候じゃねえぞ。」

レイドは銃を構え、コートの裾を翻して周囲を警戒する。「兄貴、なんかゾクゾクするぜ。まるで裁きを待つ罪人みてえな空気だ。」

二つのタッグが知らず知らずのうちに近づいていたのは、森の支配者「ミストヴァイパー」。全長十メートル、鱗は鋼のように硬く、紫の霧を操って獲物を惑わす巨大な蛇型モンスターだ。この世界では、こうした強力な魔獣を倒すことで、転生者たちはポイントを大量に獲得できる。

衝突と策略

霧の中で、ザルクとヴォラスが先にミストヴァイパーを発見した。蛇の巨体が木々を薙ぎ倒し、紫の霧が視界を奪う。ザルクが砲台をフルチャージし、プラズマ弾を放つが、霧に弾が拡散し、蛇の鱗に掠るだけだ。

「ちっ、厄介なヤツだ。ヴォラス、隙を作れ!」

ヴォラスは素早く蛇の尾に飛びつき、酸性の体液を浴びせる。鱗が溶け、ミストヴァイパーが初めて苦痛の咆哮を上げる。だが、蛇の反撃は速い。尾の一撃がヴォラスを弾き飛ばし、木々に叩きつけられる。

その瞬間、霧の向こうから銃声が響いた。ガレンとレイドが参戦だ。レイドの炎を纏った弾丸が蛇の目を狙い、ガレンがガントレットの刃で突進する。だが、ミストヴァイパーの霧が濃くなり、二人の動きを封じる。

「こいつ、霧で感覚を狂わせてやがる!」レイドが叫ぶ。

ザルクが仮面の下で舌打ちする。「お前ら、邪魔だ。こいつは俺たちの獲物だ!」

ガレンが冷たく返す。「ポイントは早い者勝ちだ。文句なら、蛇を仕留めてから言え。」

一瞬の睨み合い。だが、ミストヴァイパーが再び動き、四人を同時に攻撃。巨大な尾が薙ぎ払い、木々が倒れる中、ザルクとガレンが同時に回避。ヴォラスは霧に紛れて蛇の懐に潜り込み、レイドは高台に登って狙撃の準備をする。

タッグの共闘、だが……

「このままじゃ共倒れだ。」ガレンが呟く。「一時休戦。力を合わせて倒すぞ。」

ザルクは渋々頷く。「いいだろう。だが、トドメは俺が刺す。」

四人の連携が始まった。ヴォラスが蛇の注意を引き、酸で鱗を弱らせる。ザルクのプラズマ弾が弱点を狙い、レイドの銃撃が霧を貫く。ガレンはガントレットの刃を蛇の首に叩き込む。息の合った攻撃で、ミストヴァイパーは徐々に追い詰められていく。

だが、最後の瞬間、競争心が再燃した。ザルクが砲台を構え、ガレンが刃を振り上げる。どちらがトドメを刺すか――その刹那、ミストヴァイパーの最後の霧が爆発的に広がり、四人全員が視界を失う。

霧が晴れた時、蛇の巨体は倒れていた。だが、トドメを刺したのは誰か? ザルクとガレンが同時に叫ぶ。

「俺のプラズマだ!」「いや、俺の刃だ!」

レイドが笑いながら言う。「おいおい、ポイントは神様が決めるんじゃねえの?」

ヴォラスは無言で地面を這い、蛇の死体を調べる。すると、鱗の間に小さな輝く石が落ちていた。転生者たちのポイントを記録する「魔核」だ。だが、その魔核が光を放ち、空中に浮かぶ。神の声が響く。

「ミストヴァイパー討伐、ポイントは両タッグに等しく分配。次の試練へ進め。」

ザルクとガレンが同時に顔を歪める。「分け前だと? ふざけるな!」

レイドが肩をすくめる。「まあ、生き残っただけマシだろ。次は俺たちがぶっちぎるぜ。」

森の奥で、新たな咆哮が響く。次の獲物が待っている。二つのタッグは、競争心を燃やしながら、さらなる狩場へと足を踏み入れる。

(つづく)

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