野犬と少年
ある南の島の男の話…
月日は流れ
勝は高校2年生くらいの青年になっていた
実家のカマボコ屋は従業員を雇い安定し
少し余裕が生まれていた
海に携わる中で
兄貴的な知人が出来ていた
それが、元海軍さん
海軍さんは勝より4つ年上で
とても優秀な人だったらしい
海軍さんから仕事を紹介された
今度の航海に雑用係として来て欲しいと
出稼ぎがてらと了承した
とても大きな船だった
世界を周る長い航海になるらしい…
意気揚々と乗り込み
仕事を覚える
船員は、ほぼ外国人
皆、何を言っているか解らないが
気のいい連中だ
その夜、いい事があった
夕飯は蒸した芋、スープ
ステーキだった
航海では、牛肉を焼いただけの料理は
とても重宝された
次の日も
ステーキ
次の次も
ステーキ…ステーキ…ステーキ
ご飯や和食が欲しくなる…
船は時々燃料と物資を
補給する為に港に停泊する
とある外国の港で
勝は船の上で仕事をしていた
それは、船にカモメ等の鳥が来ないように
パチンコで狙撃する仕事だった
糞で衛生面や掃除の遅れにつながるのだ
その仕事をしていると
船の近くで子供の騒ぎ声が聞こえる
船上から港を覗くと
どうやら野犬に少年が襲われいる
この港に停泊する前に
ここの国の事を少し教わった
どうやら犬や牛、動物を崇拝しているらしい
なので、あの少年は抵抗もできずにいるのだろう
勝は船上からパチンコで犬を狙った
器用がとりえの勝は、犬の尻に一撃
犬「キャンキャンキャーン!」
と走り去った
その数分後に
ぴーー!ぴーー!
と笛を鳴らして警官らしき人がやってくる
どうやら犬にイタズラした人を探している
警官はまず少年を疑った
少年は勝を一瞬見て、何も無い道を指をさす
だが警官は少年を問い詰めている
勝は警官に大声で合図を送る
警官がこっちを見たので
少年と同じ方向を指を指した
警官は指して方向へ走った
少年は笑いながら勝に手を振り、走り去った