嵐の海
南の島の話…
勝が子供の頃
勝の家はカマボコ屋で
毎日海に釣りに出かけていた
その日は台風だった
しかし、南の島の夏は台風は当たり前
風が強い日でも釣りに出た
木の舟に乗り沖で釣りをしていたのだが
今回の台風はいつもと違う
夜、強くなる風、雨
勝が危険を感じていたが
遅かった…
海はうねり波は小さい船を飲み込まれた
朝、目を覚ますと
そこは砂浜だった…
だが見たこと無い砂浜
どうやら別の島まで流されたのだろう
起き上がり人を探す…
探す?というか
沢山いる、住んでいた村より遥かに多い
町の浜は活気溢れていた
島に戻ろうと思い、仕切っている
漁師のオジサンに話しかける
どうやら住んでいた所は
この海を真っ直ぐ行った所に有るらしい
勝「オジサン!舟を貸してくれ!村に帰りたいんだ」
男「だめだ!だめだ!舟は漁に使うんだ!欲しけりゃ買うんだな!」
勝「お金なんてありゃしないよ!………だったら働かせてくれ!魚を捕れば良いんだろ?」
男「魚を捕れば良いんだろうだって?
そんな甘くねーぞ!!」
男はニヤリと考える
男「この釣り竿を使え!舟は盗むかもしれねーから
渡せねぇ!とっとと行きな!」
と釣り道具を渡された勝は海に向った
男2「道具を貸すなんて珍しい?どうしたんだ?」
男「働きたいだとよ!まぁ直ぐに諦めるだろさ!まぁ魚を持ってきても…」
勝は意気揚々と釣りに出た
オジサン達は知らない
勝は釣りが得意な事
夕方頃
ドンっと桶いっぱいの魚を
オジサンの前に持って来た
漁師達が驚く、それもそのはず
ここにいる漁師達の一人当たりの数を超えている
勝「どうだい!オジサン!いくらで買ってくれるんだい?」
男「そうだな!子供はこれぐらいが、妥当だな!!」
渡されたお金は他の漁師の半分の半分にも
満たない額だったが
文句は言えなかった
その夜は海岸の道具入れで寝泊まりした
朝が明け、釣りに行き
夕方に魚を売ろうと運んでいる時だった
後から女の呼ぶ声が聞こえた
女「おーい!そこの僕ちゃん!」
勝「僕ちゃん?俺は勝だ!
どーしたの?オバサン?」
女「オバ…!これでも24なんだが!!あんたにとっちゃオバサンか!ガハハハ!」
色黒のお姉さんが笑っている
渚「私は渚!ここの漁師の一人だ…昨日の売買が変だと思ってね!話しかけたんだ!」
しゃがみ、顔を近づける…
渚「その魚、私が買ってやるよ!話は大体噂で聞ーたよ!舟が欲しんだろ?あいつより高く買ってやる!」
勝「いくら…ですか?」
渚「アイツの倍だ!そしてその魚をアイツに倍で売るってこった!いい話だろ?」
渚「まーそれでも、他の人より貰えてねぇのはアレだけど……、そうだ!家泊まれ!宿代込みだ!」
勝「ほんとか?お願いします!」
狭い道具小屋で寝たくないので
その提案はとても嬉しかった
勝「でも何で知らない俺に優しく?」
渚「困ってる人を助けるのに理由なんてねーよ!ってか、儲けてるからいいーのよ!ガハハハ」
その日から
渚さんの下で働き
1週間ほどで舟を買うことが出来た
村に帰る朝
勝「渚!本当にありがとう!助かった!」
渚「いーんだよ!…うゎーーーー…」
泣き出す渚
渚を背に舟に乗って帰る
渚「元気でなー……うゎーーーー」
渚に手を振り
舟を漕ぐ
夕方頃、島に戻った
急いで家に帰る
自分が無事だと知らせなければ
家に着くと
家族は幽霊が来たと驚き、叫ぶ…