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無人の手記2  作者: 読み人知らズ
1/1

国が要請しても 国民が「省エネ」に至らぬ要因はこれだ

 ここに転記する書面は、1999年12月20日以前、無人(故 木崎貴之)がネットの掲示板上に遺したと思われる投稿記事を、そのまま公開するものです。

 まだ他にデータが遺されている可能性もあるため捜索は警察の協力を得ながら継続しております。

 何かそれらしい書き込み等の痕跡を発見された方は、誤報でもかまいませんので弊社の「無人に関する情報」係までご連絡ください。ご協力よろしくお願いいたします。

 

  メール: xxxx@xxx.press

  電話: 03-38xx-64xx

 某xxサイト(www.xx.com)             1998.11.20 04:52 投稿


 < 第二節 >


 【資源の所有者】(「貨幣経済」追記)


 人間は、マネーという魔法を手に入れたが、それと引き換えに強力な「呪い」をかけられている。これが地球規模の環境破壊にまで及ぶ、大きな災いを招いている。


 人は何でも「金」で買えると思っている。それはある意味正解だが、そのパワーが通用するのは、金の有り難みを知る金の亡者だけである。


 人が好んで観るメロドラマの世界では「心までは金で買えない」などの台詞を吐いて金の魔力に抵抗する様が頻繁に描かれるが、そもそも金の使い方も何も知らない未文明の人間に示せば、効果はない。なかにはそんな貨幣価値の流動に気づき慌ててゴールドを買い求めるような富豪もいる。


 つまり金は()()()()だ。悪魔と契約を交わしていない部外者にはいっさい通用しない ただの紙切れに過ぎない。



 厄介なことにこの紙切れにかけられた魔法の影響で 地球はかなり痛手を被っている。


 例えば あなたが鮮魚売り場で魚を購入したとする。それは自分の金で買ったのだからして当然自分のものと思っている。ところが 魚は地球の自然が宿した命である。命には限りがある。寿命もそうだが、数にも。魚一尾に一つの命。つまり あなたは魚の命を値踏みし 命を金で買っている。


 逆からみれば 売り手も同様だ。獲った魚は自分のものだし買いたい人に値段をつけて売る。魚の命は自分に所有権がある。そう思い込んでいる。


 人類全体がこの調子なのである。金という魔法のおかげで当然のように地球上の限られた資源が売買されている。自分で生み出した命、資源でもないのに。


 この()()()()が環境破壊の正体なのではないか。


 地球から無断で大量の資源を搾取し あたかも自分の所有物であるかのように大盤振舞う。 水もガスも石油も鉄鋼物も プラスチック製品などに加工処理され 一見すべて人工物に錯覚するが、地球資源が枯渇すれば 人間は何も手も足も出ない。出来ることはせいぜいサステナブルに再利用するくらいだ。科学の粋を集めたとしても ()()()は決して生まれぬであろう。



 地球が滅びるが先か 人間が気づくが先か。 この呪いが解けるのはいつの日だろうか。


                無人 



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