23.なんでこんなことに ①
なんでこんなことになったんだ?
なんでこんなことになってるんだ!
昨日まで俺が住んでいた世界と、ここは違う世界なのか?夢なのか?何が起こった?
いや、何も起こらなかった。そうだ、何も起こらなかったんだ。そのせいで世界は一変した。
昨日の悪夢は現実なのか?
何も起こらなかった一日が俺に悪夢を見せているのか?
この景色こそが真実なのか。今までは虚像だったのか。
喧嘩に負けたことはなかった。俺の強さに皆憧れ、取り巻きが増えていった。
彼女は学校で一番可愛いと言われてた子だった。
何でも手に入ると思ってた。あいつの存在を知るまでは。
「俺と互角?
誰だ?今ふざけたこと言った奴は?
俺と互角にやりあえる奴がいるなら、早速会いに行こうぜ。
そいつのとこまで案内しろ。」
フッ 楽しくなってきたぜ。
余裕かまして、奴の顔を拝みに行った。
もちろん、ついでに潰して、誰が一番か、よ~く教えてやるためにな。
なのに、なのに、あいつは・・・
コケにしやがって。俺を敵とも思っちゃねー。喧嘩にすらならなかった。
相手にされなかった。優しく言い聞かされた。
俺の相手になるレベルになってから、来てくれ?
待ってるよ、そういう日がくることを?
健闘を祈る?
何なんだ、何なんだ、何なんだ!
そんなに俺がヘボいのか? は? ざけんな!
あの時跳びかかって喧嘩始めちまえば良かったのか?
なぜ行かなかった?
なんかあっけにとられて、立ち尽くしてしまった。
体が動かなかった。
あれがあいつのすごさなのか?
何なんだ、何なんだ、何なんだ!わけがわからない!
わかっていることは、取り巻きはいなくなった。彼女にもふられた。俺の居場所はなくなった。みんな手のひらを返したように、態度が変わった。
バカにしやがって・・・
バカはお前らだ。
そうだ、お前らみんなバカだ。何がヤンキーだ。何がツッパリだ。
そんなもん、何の価値もない。いつまで子供みたいなことやってんだ。
そんなもん、くだらねー。そのうちみんな気づくさ。
ダサいバカが何やってんだって。もう時代遅れなんだよ。
こんな喧嘩に明け暮れてるツッパリが偉そうにしてる時代なんて歴史に埋もれていくんだよ。
みんな言うさ。昔、昭和という時代にツッパリという喧嘩しか脳のないバカがいましたとさって。
ダサい学ラン着て、自分じゃカッコイイって思ってガニマタで歩いていたそうなってな。
ハハハハハ みんなバカだ。
俺は違う。
俺は違う。
俺は次の時代を生きる。次の時代を作る。そして、お前らを思いっきり笑ってやる。
それから一か月、俺は引きこもった。そして自分の人生計画を立てた。俺をコケにした奴らを見下すための計画だ。
アイツらはアホだ。どうしようもないアホだ。だから、俺はあいつらの頭には不可能なことをしてやる。そうだ。勉強するんだ。勉強して、一流高校、一流大学に進み、一流企業に就職し、一流の人生を送ってやる。どうせ、あいつら、ろくな高校にも行けず、ろくな仕事もできず、体力と気力をすり減らしながら働いて死んでいくだけの、社会の使い捨ての駒だ。
俺は違う。俺は違う。俺は一流だ。世の中のほんの一握りの一流だ!
一か月後、部屋から出てきた俺は、もう以前の俺ではなかった。勉強にしか興味はなかった。
久しぶりに登校すると、変わり果てた俺の姿に学校はざわついた。
髪はベトベト。風呂に入ってなかったので、たぶん、だいぶ臭かったはずだ。授業中は黒板をじっと見つめ、休み時間は参考書をむさぼり読んだ。廊下を歩くときは常に下を向き、誰とも目を合わせず、自分だけの世界で、ただひたすら勉強した。
早々に俺に見切りをつけ、俺に代わって学校を仕切っている奴とそいつに従った奴らは、変わり果てた俺を見て、大うけしてた。学校中に響き渡るような笑い声だった。
俺の復活を信じて待ってた奴らは、絶望し、その中から新しい勢力を作ろうとする者を担ぎ、新たなグループが出来た。
それからというもの、何かにつけて、ふたつのグループはぶつかり、学校内には不穏な空気が流れて行った。要は、この学校をがっちり締めるだけの器量や度量のあるやつが存在しないってことだ。
情けない。だが、どうでもいい。そんなこと、なんの意味もない。俺は、もっと先の世界を見ているんだ。勉強は俺を裏切らない。俺を次のステージに連れて行ってくれる。
俺は間違わない。もう、間違わない。俺には見える。俺の未来が。
お前らとは違う。特に、アイツとは、全然違う。俺を馬鹿にしやがって、今じゃカリスマ扱いになってやがる。ヤンキーの神とか言われて、持ち上げられていい気になってやがる。
だがなあ、そんなもん、何の役にも立たねー!今にわかるさ。ちやほやされるのも、あと数年。
そっから先はお前は空っぽだ。そして、俺は、俺は、俺は・・・
はははははっははははっは・・・・
楽しみで楽しみでたまらないぜ!!!




