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思春期の独り言  作者: NARU
23/32

23.なんでこんなことに ①

 なんでこんなことになったんだ?

 なんでこんなことになってるんだ!


 昨日(きのう)まで俺が()んでいた世界(せかい)と、ここは(ちが)う世界なのか?(ゆめ)なのか?(なに)()こった?

 いや、何も起こらなかった。そうだ、何も起こらなかったんだ。そのせいで世界は一変(いっぺん)した。


 昨日の悪夢(あくむ)現実(げんじつ)なのか?

 何も起こらなかった一日(いちにち)が俺に悪夢を見せているのか?

 この景色(けしき)こそが真実なのか。今までは虚像(きょぞう)だったのか。


 喧嘩(けんか)()けたことはなかった。俺の(つよ)さに(みんな)(あこが)れ、()()きが()えていった。

 彼女(かのじょ)は学校で一番(いちばん)可愛い(かわいい)と言われてた子だった。

 (なん)でも手に(はい)ると思ってた。あいつの存在(そんざい)()るまでは。

 

 「俺と互角(ごかく)

  (だれ)だ?今ふざけたこと言った(やつ)は?

  俺と互角にやりあえる奴がいるなら、早速(さっそく)()いに行こうぜ。

  そいつのとこまで案内(あんない)しろ。」


 フッ (たの)しくなってきたぜ。


 余裕(よゆう)かまして、奴の(かお)(おが)みに行った。

 もちろん、ついでに(つぶ)して、誰が一番(いちばん)か、よ~く(おし)えてやるためにな。


 なのに、なのに、あいつは・・・

 コケにしやがって。俺を(てき)とも思っちゃねー。喧嘩(けんか)にすらならなかった。

 相手(あいて)にされなかった。(やさ)しく言い()かされた。

 

 俺の相手になるレベルになってから、()てくれ?

 ()ってるよ、そういう日がくることを?

 健闘(けんとう)(いの)る?


 (なん)なんだ、何なんだ、何なんだ!

 そんなに俺がヘボいのか? は? ざけんな!

 あの(とき)()びかかって喧嘩(はじ)めちまえば()かったのか?

 なぜ行かなかった?

 なんかあっけにとられて、()()くしてしまった。

 体が(うご)かなかった。

 あれがあいつのすごさなのか?

 何なんだ、何なんだ、何なんだ!わけがわからない!


 わかっていることは、取り巻きはいなくなった。彼女にもふられた。俺の居場所(いばしょ)はなくなった。みんな手のひらを(かえ)したように、態度(たいど)()わった。


 バカにしやがって・・・


 バカはお前(おまえ)らだ。

 そうだ、お前らみんなバカだ。(なに)がヤンキーだ。何がツッパリだ。

 そんなもん、(なん)価値(かち)もない。いつまで子供(こども)みたいなことやってんだ。

 そんなもん、くだらねー。そのうちみんな気づくさ。

 ダサいバカが何やってんだって。もう時代遅れ(じだいおくれ)なんだよ。

 こんな喧嘩(けんか)()()れてるツッパリが(えら)そうにしてる時代(じだい)なんて歴史(れきし)()もれていくんだよ。

 みんな言うさ。(むかし)昭和(しょうわ)という時代にツッパリという喧嘩しか(のう)のないバカがいましたとさって。

 ダサい学ラン(がくらん)()て、自分(じぶん)じゃカッコイイって思ってガニマタで(ある)いていたそうなってな。


 ハハハハハ みんなバカだ。

 俺は(ちが)う。

 俺は違う。

 俺は(つぎ)の時代を()きる。次の時代を(つく)る。そして、お前らを思いっきり(わら)ってやる。


 それから一か月(いっかげつ)、俺は()きこもった。そして自分の人生計画(じんせいけいかく)を立てた。俺をコケにした奴らを見下す(みくだす)ための計画だ。


 アイツらはアホだ。どうしようもないアホだ。だから、俺はあいつらの(あたま)には不可能(ふかのう)なことをしてやる。そうだ。勉強(べんきょう)するんだ。勉強して、一流(いちりゅう)高校、一流大学に進み、一流企業(きぎょう)就職(しゅうしょく)し、一流の人生を(おく)ってやる。どうせ、あいつら、ろくな高校(こうこう)にも行けず、ろくな仕事(しごと)もできず、体力(たいりょく)気力(きりょく)をすり()らしながら(はたら)いて()んでいくだけの、社会(しゃかい)使(つか)()ての(こま)だ。


 俺は違う。俺は違う。俺は一流だ。世の中(よのなか)のほんの一握り(ひとにぎり)の一流だ!


 一か月(いっかげつ)()部屋(へや)から出てきた俺は、もう以前(いぜん)の俺ではなかった。勉強にしか興味(きょうみ)はなかった。


 (ひさ)しぶりに登校(とうこう)すると、()わり()てた俺の姿(すがた)に学校はざわついた。

 (かみ)はベトベト。風呂(ふろ)(はい)ってなかったので、たぶん、だいぶ(くさ)かったはずだ。授業中(じゅぎょうちゅう)黒板(こくばん)をじっと見つめ、休み時間(やすみじかん)参考書(さんこうしょ)をむさぼり()んだ。廊下(ろうか)(ある)くときは(つね)に下を()き、誰とも目を()わせず、自分だけの世界で、ただひたすら勉強した。


 早々(そうそう)に俺に見切り(みきり)をつけ、俺に()わって学校を仕切(しき)っている奴とそいつに(したが)った奴らは、変わり()てた俺を見て、大うけ(おおうけ)してた。学校(じゅう)響き渡る(ひびきわたる)ような笑い声だった。

 俺の復活(ふっかつ)(しん)じて()ってた奴らは、絶望(ぜつぼう)し、その中から(あたら)しい勢力(せいりょく)を作ろうとする(もの)(かつ)ぎ、(あら)たなグループが出来(でき)た。


 それからというもの、何かにつけて、ふたつのグループはぶつかり、学校(ない)には不穏(ふおん)空気(くうき)(なが)れて()った。(よう)は、この学校をがっちり()めるだけの器量(きりょう)度量(どりょう)のあるやつが存在(そんざい)しないってことだ。

 (なさ)けない。だが、どうでもいい。そんなこと、なんの意味(いみ)もない。俺は、もっと(さき)の世界を見ているんだ。勉強は俺を裏切(うらぎ)らない。俺を(つぎ)のステージに()れて行ってくれる。


 俺は間違(まちが)わない。もう、間違わない。俺には見える。俺の未来(みらい)が。

 お前らとは(ちが)う。(とく)に、アイツとは、全然(ぜんぜん)違う。俺を馬鹿(ばか)にしやがって、今じゃカリスマ扱い(あつかい)になってやがる。ヤンキーの(かみ)とか言われて、()ち上げられていい気になってやがる。

 

 だがなあ、そんなもん、(なん)(やく)にも立たねー!今にわかるさ。ちやほやされるのも、あと数年(すうねん)

 そっから先はお前は(から)っぽだ。そして、俺は、俺は、俺は・・・


 はははははっははははっは・・・・


 楽しみで楽しみでたまらないぜ!!!



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