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思春期の独り言  作者: NARU
18/32

18.ママとミミちゃんのやくそく ②

 のんだら、トオルせんぱいのカノジョ。

 のんだら、トオルせんぱいのカノジョ。


 ママ・・・


 のんだら、カノジョ。

 ママ・・・


 のんだら・・・あー、もー、どうしてママがでてくるの。わかんなーい。

 ママ、じゃましないで!


 あたまをふって、ママのかおをけそうとしたけど、きえない。


 「どうしたの?ミミちゃん? (はや)()んで。」

 

 「うん」


目をぎゅっととじて、手のひらのビタミンをおくちにいれて、オレンジジュースをのんで、ごっくん。


 「()んだ?」


 「うん」

 ゴクゴクゴク。しっかりジュースで、ビタミンをからだのおくまでとどけて、ミミちゃん、きれいにな~れ。


 「よし、出発(しゅっぱつ)だ。」


 

 あれ?あれれ?

 車がはしりだして、きづいたの。

 手のひらになんかくっついてる。え?ビタミン!

 ぎゅっとにぎって、手のひらにくっついちゃってた。

 どうしよう。のんでなかった。ウソつきになっちゃう。

 ミミちゃん、ウソはきらい。ママもウソはきらい。だから、ミミちゃんウソついたことないのに。


 だいすきなトオルせんぱいにウソついちゃった。でも、わざとじゃないよ。

 どうしたらいいの?ほんとのこと言わなきゃ。

 トオルせんぱいにきらわれるかな?

 そっか。いま、のめばいいんだ。でも、オレンジジュースぜんぶのんじゃった。

 どうしたらいいの?


 ミミちゃんウソつき!

 ミミちゃんきれいになれない!!

 ミミちゃんきらわれちゃう!!!

 ミミちゃん・・・・


 「う、おえっ。ごほっ、おえっ。」


 「どうしたの?」

 トオルせんぱいがこっちむいて、あわてて、ポケットにビタミンいれちゃった。


 「なんでもないよ」


 どうしよう。もう、ほんとうのウソつきになっちゃた。

 ママにも、トオルせんぱいにもきらわれちゃう。

 ミミちゃんもミミちゃんきらい! 大きらい!!!


 「うっ! き、きもちわるい。 は、はきそう・・・ おえっ」


 「うわっ!なんだ、こいつ。やっべ!まじか!」


 「うう・・・」


「やっべー」


 車がきゅうにとまったの。

 トオルせんぱいが車からおりてミミちゃんのほうのドアをあけて、ミミちゃんのうでをぐっとつかんで、ひっぱったの。それでミミちゃん、車からおちてしまったの。


 「(おれ)の車(よご)すんじゃねー。

  ()くなら(そと)で吐け。めんどくせー(おんな)だなー。

  ちょっとかわいいから、使(つか)えるかと(おも)ったら、とんだ事故物件(じこぶっけん)じゃん。

  いいか。俺とお前(おまえ)は、なんの関係(かんけい)もないからな。

  (くすり)は俺のじゃねーぞ。おまえが最初(さいしょ)っから()ってたんだ、いいな。

  俺はおまえと、()ったこともないし、これからも会うことはない!

  二度(にど)連絡(れんらく)してくんな。」


 トオルせんぱい、車にのって、どこかへいっちゃった。


 う・・・きもちわるい・・・ここどこ?わかんない。

 せんぱい、どうしてこんなひどいことするの?ミミちゃんがウソつきだから?

 ミミちゃんのこときらいになったの?ミミちゃんがきれいにならなかったから?

 くすりってなに?これ、おくすりなの?どうして?

 むずかしすぎて、ミミちゃんわかんない。

 ミミちゃんきらわれちゃったの?

 う、う、う、え~ん。かなしいよ~。

 ママー、たすけてー。リョウ君、たすけてー。



 で、でんわしなきゃ・・・


 「もしもし、ママー。

  ミミちゃん、また、まいごになっちゃった。

  おうちにかえりたいよー。ママー。

  ママー、たすけてー。」


 「ミミちゃん、大丈夫(だいじょうぶ)よ。

  ママが(むか)えに()くから。そこに行くから。

そのままそこでいい子にして()ってて。」


 「ママー、ありがとー。」


 やっぱりママは、せかいいちすごい。ミミちゃんがまいごになっても、いつもたすけにきてくれる。

 ママは、まほうをつかって、ミミちゃんをさがすことができるの。

 ママだいすき!

 あれ?もう、おえ~ってならない。なおったみたい。

 ママのこえきいたら、げんきになった。ママすごい!

 ミミちゃん、いい子で、まつ!




 あ、ピンクの車だ。

 「ママー」


 「ミミちゃん!」


 むぎゅー。

 ママのむぎゅーはあったかくてきもちいい。


 ミミちゃんのだいすきなピンクの車にのっておうちにかえったの。

 ピンクのポストがあるピンクのやねのおうち。

 ママとミミちゃんのおうち。


 おうちについたら、おなかがすいてきちゃった。

 ミミちゃんはおりょうりだいすき。


 「ママ、ミミちゃんごはんつくるね。」


 ミミちゃんはピンクのふわふわをぬいで、エプロンをつけようとしたんだけど、ピンクのふわふわのポケットからコロンってなにかおちたの。

 トオルせんぱいにもらったビタミンだったの。


 そしたらね、ママが、ママが、ママが・・・

 きゅうに、こわいかおになったの。

 見たことないオニみたいなかお・・・


 ピシャッ!


 「いたーい!!」


 ほっぺがいたい!!

 いたくていたくて、わんわんないた。

 そしたら、もういっこのほっぺも・・・

 ママがたたいたの。ママがミミちゃんのほっぺをたたいたの。

 いたくていたくて、もうなにがなんだかわけがわからなくて、にげてもにげてもママがおいかけてきて、たたくの。

 こわくなって、おうちをとびだして、はしった。めっちゃはしった。

 いつのまにか、リョウくんちのまえに立って、ないてた・・・


 リョウくんが気づいてでてきてくれたの。リョウ君のかお見たら、もっとなみだがでてきた。

 リョウくんがヨシヨシしてくれて、やっと、なみだがとまったの。

 それからリョウくんのおうちにはいって、リョウくんがココアをつくってくれたの。のんだらぽかぽかになって、こころもぽかぽかしてきたの。


 それでね、リョウくんに、いっしょうけんめい、ぜんぶはなしたの。


 リョウくんはうんうんっていいながら、きいてくれた。

 それからリョウくんがゆっくりしゃべりだしたの。


 「たぶんママは(むかし)・・・。ガチでわかってんだよ、ヤバさを。

  だから、絶対(ぜったい)にミミちゃんを(まも)りたかったんだよ。

  (つよ)くて、(やさ)しいママだね。ママはミミちゃんのこと大好き(だいすき)なんだね。

  トオル先輩(せんぱい)には、もう連絡(れんらく)しちゃだめだよ。

  ていうか、おそらく、もうトオル先輩とは連絡とれないよ。

  簡単(かんたん)(あし)がつくようなこと、しないだろうから。

  高校生(こうこうせい)だっていうのも、トオルって名前(なまえ)も、どうかな。(あや)しいな。

  ごめんな。もっと、気をつけてあげるべきだった。

  自分(じぶん)のことでいっぱいいっぱいで、おかしいと思ってたのに・・・」


 ときどき、リョウくんのはなしは、むずかしくて、ミミちゃんにはわからない。

 なんでリョウくんがあやまってるの?

 なんでミミちゃんは、ほっぺいたくて、ママがこわくて、ないたのに、リョウくんはママのことほめるの?


 でも、ママのこと、ほめられるのは、うれしい。

 だってやっぱり、ママだいすきだもん!

 ママがおこったのは、たぶんミミちゃん、やくそくやぶっちゃったんだとおもう。


 たった一コのだいじなやくそく。


 ママ、ごめんなさい・・・・



 「さ、おうちに(かえ)ろ。俺(おく)ってってやるから。

  ちゃんと、ママと仲直(なかなお)りしようね。」


 「うん!!」





ミミちゃんママに、すっかり、がっつり気に入られて、ミミちゃんのスマホに緊急連絡先として登録されてしまった、俺。・・・・保護者かよ。

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