17.ママとミミちゃんのやくそく ①
ミミちゃんは、おバカでおべんきょうはにがて。
女子高生には、ちょっとあこがれてたけど、中学のたんにんの先生がミミちゃんのいける高校はないよって。
だから、中学そつぎょうしたあと、おしごとはじめたの。パンやさんでアルバイト。とってもおいしいおいしいパンがいっぱい。いつもいいにおい。
だけど、もうすぐクビになりそう。
店長さんは、いつもミミちゃんのことおこってる。
ミミちゃんはパンのねだんがおぼえられないの。
レジがにがて。
だけど、パンの作りかたは、バッチリ。まいにち、見てるから、ぜんぶおぼえたよ。ミミちゃんもパン作ってみたいけど、店長さんがダメって言うの。
ミミちゃん、とってもがんばってるのに、店長さんは、いつもミミちゃんにひどいこと言ってくる。
バカとか、もうくるなとか、よけいなことおぼえるヒマがあったら、ひつようなこと、おぼえろ!とか。
かなしいな。
でもね、ママはまいにち、むぎゅーってして、ミミちゃんはいい子。だいすき!って言ってくれる。
おこられたことない。だめとかも言わないし、なにをしても、いいよって言われる。
ミミちゃんもママのこと、だーいすき。
ママとは、一コだけやくそくしてる。その一コはゼッタイ!
でもその一コっていうのが、ミミちゃんよくわかんない。
でもでも、だいすきなママとのやくそくだから、チョーだいじ。
それをまもったら、あとは、ぜんぶオッケー!すきなことしていいよって。
だから、まいにちたのしい。
ちょっとざんねんなのは、おともだちはみんな高校に行って、あえなくなっちゃったこと。
どうして高校に行くと、あえなくなるのかなあ?
高校ってとってもいそがしいところなのかなあ?
だけど、あたらしいおともだちもできたよ。男の子ふたり。
男の子のともだちは、はじめて。
うれしい。
ひとりめは、とってもはなしやすい男の子。バーでバイトしてるんだって。バーってなーに?ってきいたら、おさけのんだり、ごはんたべたりするとこなんだって。
いろんなこと、知ってて、あたまがいいんだとおもう。
いいなあ。ミミちゃんもあたまよくなりたいなあ。
なんでもはなせるたよりになるリョウくん。
それからー・・・、ふたりめはー・・・、高校3ねんせいでー、スポーツカーにのっててー、カッコよくてー、おしゃれでー・・・、すっごくやさしいトオルせんぱいッ!
カノジョになりたいな・・・
リョウ君には、トオルせんぱいの話をいっぱいするの。
でも、リョウ君は、トオルせんぱいのこと、あんまりすきじゃないみたい。どうしてかなあ?
「高校生がスポーツカーっておかしいだろ。」とか言うの。
トオルせんぱいはバイトがんばって、じぶんでかったのに。すごいのに、なかなかリョウ君はわかってくれない。
こないだ、トオルせんぱいにドライブデートにさそわれたの。
ピカピカのスポーツカーにのって、おでかけしたの。
車のやねがウィ~ンってうごいて、へんしん。かぜがきもちいい。
すこしはしったあと、車とめて、見上げたら、キラキラ星いっぱい!
「缶コーヒー買ってくるね。ミミちゃんはオレンジジュースがいいかな?」って言って、せんぱいがおさいふ出したとき、なにかおちたの。
ミミちゃん、ひろってあげた。なんかおくすりみたいだったから、せんぱいびょうきかもっておもって、だいじょうぶ?しんどいの?いたいの?ってきいたの。そしたらね、「大丈夫。これはクスリじゃないよ。お肌がきれいになって、美人になるビタミンだよ。」って、おしえてくれたの。
なーんだ、びっくりした。ビタミンなら、中学のときのおともだちものんでた。あれって、びじんになるためだったんだー。ミミちゃんもきれいになりたいな。
ミミちゃんあんしんして、「せんぱいがだいじょうぶでよかった」って言ったの。
そしたら、せんぱいのかおが、目のまえにきて・・・
「ミミちゃんがこれ飲んで、もっともっと綺麗になってくれたらうれしいな。
これ飲んで、二人で楽しいとこに行きたいな」
え?こ、これって、こくはく?こくはく?こくはく?
「ミミちゃんが、せんぱいのカノジョになるってこと?」
「ん? あーうんうん、 これ、飲んだらね。
これは高いんだけど、今日は特別プレゼントするね。」
「たかいの?これ・・・じゃあ、ミミちゃんにはかえないね。」
「そんなことないよ。
いいバイト紹介してあげるから、次からは自分で買うんだよ。」
「ミミちゃん、おしごとダメダメなの。
いまのバイトもクビになりそうなんだよ。」
「大丈夫、大丈夫。ミミちゃんがニコニコしてたらできるバイトだから。
バイト代もいいから、このビタミンも余裕で買えるよ。」
なんだか、ふあっとしたの。カノジョとか、とくべつとか、おしごとできるとか、ミミちゃんのうれしいがいっぱいで、ふわふわしあわせ~。
「せんぱいありがと~」
ジュースをかってもどってきたせんぱいが、
「飲んだら、楽しいとこ行こ!」ってにっこりわらったの。
今まででいちばんのえがおだったの。
いちばんのえがおだったのに、ふわふわしあわせ~が、きゅうに、ざわざわ~になったの。
そしたら、なぜだか、ママのことおもいだしたの。
ママのかおが、かなしそう・・・どうして?
ママ・・・・




