表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
思春期の独り言  作者: NARU
15/32

15.あこがれの先輩 ②

 里帆(りほ)(おも)(どお)りにならなくなって、俺は稼ぎ頭(かせぎがしら)(うしな)った。

 (つぎ)(さが)さなきゃいけないけど、里帆のように思い通りになる子をみつけるのは簡単(かんたん)じゃない。里帆は、小さい(ころ)から、面倒(めんどう)みてやって、俺の言うことを何でも聞くように(はぐく)んできたんだ。

 だけど、大きくなって少しばかり(かしこ)くなって、自立(じりつ)しやがった。

 里帆ですら、言うこと聞かなくなっちまったのに、すぐに()わりが見つかるわけない。

 そもそも俺は(まった)くモテないのに、(かお)もスタイルもよくて、俺の言うこと聞いて援助交際(えんじょこうさい)詐欺(さぎ)してくれる子なんてどうやって探すんだよ。

 ああ、絶望的(ぜつぼうてき)だー。

 こうなったら、現場作業(げんばさぎょう)要員(よういん)()やして、バンバン(はたら)かすしかないな。

 (あせ)かいて(かせ)ごう!

 汗かくのは俺じゃないけどな。


 俺はくすぶってるガキどもに片っ端(かたっぱし)から(こえ)をかけては、(やす)(めし)をおごり、ガキどもの()きそうな、スケールの大きい夢物語(ゆめものがたり)を聞かせて、かわいいかわいい後輩(こうはい)仕立(した)てていった。

 みんなそれぞれ、よく働いてくれた。ただ、入れ()わりは(はげ)しかった。

 少し(かしこ)い子はしばらくすると、俺のことを(うたが)いはじめ、ピンハネに気づき、()ぶ。

 だから(つね)にガキを物色(ぶっしょく)していた。


 こうして俺は、ピンハネと、里帆に時々(ときどき)小遣(こづか)いをせびって、贅沢(ぜいたく)までは出来(でき)ないが、ぼちぼちとパッとしない生活を送った。


 だけど、そんな生活もだんだん(きび)しくなっていった。かわいいかわいい後輩の数は()っていく一方(いっぽう)だ。スカウトして、(そだ)てる手間暇(てまひま)かけているうちに、次々(つぎつぎ)と飛んでいく。いつまでこれで()いつなげれるか。

 気づいたら、こじんまりと、質素(しっそ)な生活をしていた。


 俺はこんなんじゃないだろ。こじんまりと(おさ)まるような(うつわ)じゃないんだよ。全然(ぜんぜん)世の中の(やつ)らはわかってないな。俺は人から尊敬(そんけい)され、(あこが)れの(まと)となるそういう存在(そんざい)なんだ。こんな逸材(いつざい)()もれてるなんて、世界(せかい)悲劇(ひげき)でしかない。


 ああ、毎日退屈(たいくつ)だ。もっと俺にふさわしい世界になってくれ。


 うだうだとした毎日(まいにち)に少し刺激(しげき)(あた)えてくれたのは、里帆だった。

 しばらく連絡(れんらく)ないな、おこづかい()しいなと思っていたら、ひょっこり(いえ)にやって来た。でっかい(はら)で。


 まじか?


 会社(かいしゃ)上司(じょうし)不倫(ふりん)して、ガキができたらしい。男は(つま)(わか)れて里帆と結婚(けっこん)するって、言ってたらしいが、ガキができたことを()げると、転勤(てんきん)時期(じき)でもないのに、(きゅう)な転勤が()まり、行先(いきさき)も言わず、突然(とつぜん)()()したらしい。

 会社のパソコンで転勤先を調(しら)べようとしたけど、なぜかアクセスできなくなっていて、もちろん、携帯(けいたい)もつながらない。


 (こま)った(とき)(たず)ねて()るって、やっぱ、俺って、(たよ)れる男ってことじゃね?

 俺はハッキリと、「(あそ)ばれて()てられたんだ。」と言ってやった。

 こういうことはズバッと言って、さっさと気持ち()()えたほうがいいからな。

 それにガキも早く(おろ)さないとな。

 里帆にはキツイ現実(げんじつ)だろうが、ここは俺がしっかりと()()めて、俺の(すご)さを見せつけておかないとな。


 「病院(びょういん)ついて行ってやろうか?堕すんだろ?」


 「ん?何言ってんの?ばかなの?もうすぐ()まれるんだから。」


 まじか?


 「()むのか?」


 「もちろん。だって、私のたった一人の家族(かぞく)だよ。

  大事(だいじ)(そだ)てるんだあ。」


 めっちゃ(しあわ)せそうな(かお)してるなー。

 まじかー!


 「(あか)ちゃん生まれたら、(いそが)しくなるから、子育(こそだ)手伝(てつだ)ってね。

  大切(たいせつ)(あつか)ってよ。

  ちゃんと私の言ったとおりにお世話(せわ)できたら、バイト(だい)(はら)ってあげるね。

  今日(きょう)はそれだけ言いに来たの。わかった?」


 「はい! がんばります!」














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ