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思春期の独り言  作者: NARU
14/32

14.あこがれの先輩 ①

 友達(ともだち)って()べるような(やつ)はいない。

 いつもバカにされ、スクールカーストの底辺(ていへん)にいた。

 だけど、本当(ほんとう)馬鹿(ばか)なフリをしていただけだ。

 (だれ)かが底辺にいなきゃいけないだろ、あいつら(てき)には。

 上から目線(めせん)命令(めいれい)するのが()きなだけのアホさ。

 どいつもこいつも俺の友達になれるようなレベルじゃないんだ。

 だから、(はら)(そこ)(わら)いながらパシリやってたよ。


 あ、そういえば、(おさな)なじみの二個下(にこした)里帆(りほ)は、俺がいろいろと面倒(めんどう)みてやった、(いもうと)みたいな、いや、里帆なら友達って言ってもいいかな。

 うん、たったひとり、友達って呼べるとしたら、里帆かな。

 いつもはら()かせて()いている子だった。

 パンやジュースを時々(ときどき)やった。びっくりするくらいガツガツ()べた。

 その様子(ようす)面白(おもしろ)くて、ちょいちょい()いもんを里帆の(おや)にバレないように(あた)えた。

 なんか、ペットに(えさ)やってるような感覚(かんかく)だったんだろうな。


 俺は高校(こうこう)には()かなかった。行ったところで、パシリの生活(せいかつ)(つづ)くだけだ。

 ぼちぼちパシリをするのも()きてたし。

 (べつ)(あたま)(わる)いわけじゃないから、余裕(よゆう)であいつらより(かしこ)い高校には行けたけど、勉強(べんきょう)興味(きょうみ)がなかったから、成績(せいせき)が悪かっただけだ。

 それに興味もない高校生活を(おく)るなんて(かね)無駄(むだ)だ。

 それよりも、(はや)社会人(しゃかいじん)になって、(はたら)いて、金持ち(かねもち)になって、あいつらに俺の本当(ほんとう)(すご)さを見せるのも面白(おもしろ)いかなって(おも)った。


 だけど・・・金持ちになるなんて、簡単(かんたん)じゃなかった。

 中学(ちゅうがく)卒業(そつぎょう)して(はたら)(はじ)めた建設現場(けんせつげんば)仕事(しごと)はキツかった。 朝(あさ)早くからボロボロになるまで働いた。

 三日(みっか)(からだ)(うご)かなくなり、四日目(よっかめ)()んだ。

 三日坊主(みっかぼうず)って、俺のためにある言葉(ことば)だなと思った。

 それからも現場仕事(げんばしごと)転々(てんてん)としたけど、(つづ)かなかった。

 俺が本気(ほんき)になるほどの仕事でもないしなっていうのもあった。

 そのうち、すぐケツ()るしょぼいガキがいるって、(うわさ)になり、どこの現場も(やと)ってくれなくなった。


 まあ、親父(おやじ)見てりゃ、わかるか。あの人も何をやっても(つづ)かない(しょく)なしのクズだ。

 ばあちゃんは(いた)(ひざ)騙し騙し(だましだまし)毎日(まいにち)(あり)のように働いてる。

 おふくろはほとんど(いえ)にいない。(なぞ)だらけの人。


 親父のようにはなりたくないと思っていたのに、まるであの人のコピーだ。

 あの人は家に金は()れないが、自分(じぶん)身の回り(みのまわり)必要(ひつよう)なものは自分で何とかしてる。というより、何とかさせている。

 そんなクソみたいな才能(さいのう)遺伝(いでん)しちまった。


 俺は気づいてしまった。仕事が続かないなら、()わりに(だれ)かにがんばってもらえばいいんだと。

 そもそも俺は経営者(けいえいしゃ)()いてるんだ。

 俺じゃない誰かが、俺の指示(しじ)で働いてくれればいいんだ。


 手始め(てはじめ)に、幼なじみの里帆に援助交際(えんじょこうさい)詐欺(さぎ)をやらせた。

 ちょうどその(ころ)、里帆の両親(りょうしん)がそれぞれの浮気(うわき)相手(あいて)とそれぞれに蒸発(じょうはつ)した。

 そんなことってあるのかよ!と、思ったけど、まあ、あるんだろうな、とも思えた。

 ぼっろぼろの(くず)れそうな家に一人(ひとり)(のこ)された里帆は、()きていくために(かね)必要(ひつよう)だった。

 そこに()()んだんだ。

 たった一人の大事(だいじ)な友達を自分(じぶん)(らく)するために利用(りよう)した。


 (おとこ)とホテルに行き、前払い(まえばらい)で金を()()り、()げる。男の選別(せんべつ)は俺がやった。

 とにかく、(かた)職業(しょくぎょう)子持ち(こもち)最高(さいこう)職場(しょくば)にも家族(かぞく)にも絶対(ぜったい)にバレたくない。そういうカモだけを(ねら)った。

 里帆は中学生だから、男も我が身(わがみ)可愛(かわい)さに被害届(ひがいとどけ)は出さない。いい(かせ)ぎになった。こんなに簡単(かんたん)に金って(かせ)げるんだって思った。


 しっかし、俺が言うのも(なん)だけど、中学生が一人で(くら)らして、(まわ)りの大人(おとな)がだれも気付(きづ)かないっていうのも、どうなんだ。世の中(よのなか)どうなってんだって思ったけどな。

 そりゃあ、里帆が、周りに知られたくなくて、(かく)していたのもあるだろうけど、本当に周りの(やつ)らは気づいてなかったのか?気づいてないふりしてたんじゃないのか?めんどくさいことに()()まれたくなかっただけじゃないのか?


 おかげで俺は働かずして、いい(かん)じに金が(はい)ってくるようになったと同時(どうじ)に、親父(おやじ)(おな)種類(しゅるい)人間(にんげん)になった。

 この(ころ)から、(かがみ)(うつ)った自分(じぶん)を見ると、嗚咽(おえつ)するようになり、だんだん鏡を見なくなっていった。


 しばらくは、里帆の稼ぎで、つつましく(たの)しく()らしてたんだけど、人間(にんげん)っていうのは(よく)(かたまり)で、そのうち、()しいものが()えてきた。

 だからといって、里帆の仕事を()やせば、めくれる確率(かくりつ)()がる。

 できれば、ノーリスクで、楽しく暮らしたい。


 そこで、俺が(つぎ)に目を()けたのは、俺みたいなどうしようもないガキだ。

 あいつらアホだから、やさしい先輩(せんぱい)(こえ)かけられて、かわいがられたら、しっぽ()って、よく言うことを聞く。素晴(すば)らしいアホ(たち)だ。しかも詐欺(さぎ)とかじゃなく、まっとうに働くんだ。


 これぞ、ガチのノーリスク!!


 人手不足(ひとでぶそく)の現場仕事に、アホ(たち)紹介(しょうかい)して紹介(りょう)をもらう。アホ達が働いた報酬(ほうしゅう)は俺が()()り、アホ達には俺がガッツリ()いた残り(のこり)(わた)す。現場には18歳以上(いじょう)を紹介するって言って、アホ達には18歳未満(みまん)だから、報酬が少ないと説明(せつめい)すればいい。

 これなら、みんなウインウイン!俺天才(てんさい)


 こうして俺は、W(だぶる)ワークの事業主(じぎょうぬし)になった。なった気になっていた。

 金に不自由(ふじゆう)なく、(たか)いところから見る景色(けしき)は気持ちよかった。


 だけどそれも(なが)くは続かなかった。里帆が中学を卒業(そつぎょう)し、就職(しゅうしょく)しやがった。俺と()んでやる仕事はもうしないと言い出した。(あたま)にきて、お前(おまえ)のやってきたことを、ぶちまけるぞと言ったら、強気(つよき)に、言い(かえ)してきやがった。


 「どうぞご自由(じゆう)に。

  それって、つまり、あんた自身(じしん)のこともぶちまけるってことだからね。

  やれるもんならやればいいじゃん。」


 いつの()にこんな生意気(なまいき)になったんだ!俺から(めぐ)んでもらうパンやジュースをいつも楽しみにしてたかわいい里帆はどこへ行った?!

 「あんた」()ばわりかよ。くそっ!

 でもめくれるわけにはいかないから、、、里帆は手放す(てばなす)か。


 「わたしに二度と(にどと)命令(めいれい)しないなら、友達では()てあげるよ。」


 まじか?上から目線(めせん)じゃん。何様(なにさま)のつもりだ!(ゆる)さんこいつ!

 俺は即答(そくとう)した。


 「ありがとう。二度(にど)命令(めいれい)しません。」


 この日から俺と里帆の関係(かんけい)変化(へんか)した。


 俺は、しっぽを()子犬(こいぬ)になった。 












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