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思春期の独り言  作者: NARU
11/32

11.元思春期の独り言 ①

 場末(ばすえ)の小さなBAR。

 ()ごと、(なに)かしら(こころ)(かか)えた(きゃく)(つど)(みせ)

 それが、(おれ)(しろ)大切(たいせつ)居場所(いばしょ)

 美味(おい)しい(さけ)旨い(うま)つまみで、(かた)(きゃく)(みみ)(かたむ)けるのが、俺の仕事(しごと)

 いや、贖罪(しょくざい)なのか。何も見ようとしなかった、何も()こうとしなかった、非情(ひじょう)(おとこ)の。


 小さいながらも店を(かま)えて、やっと真っ当(まっとう)()きていけるようになった。

 もっと(はや)く、まともな人間(にんげん)になっていたら、何か(ちが)ってたかな。


 定職(ていしょく)にもつかず、ふらふらと、ヒモのような生活(せいかつ)をしてた二十歳(はたち)(ころ)

 ()()っていた(おんな)妊娠(にんしん)した。

 だけど、なんかこう、ピンと()なくて、(おや)になるとか、(かんが)えられなかった。

 どっか他人事(ひとごと)だった。

 どんどん(はら)が大きくなり、女は(はたら)けなくなり、やがて、子供(こども)()まれた。

 毎日(まいにち)、女は子育て(こそだて)()われた。

 それでも俺はろくに働きもせず、どんどん生活は(くる)しくなっていった。

 女はいつも何か言いたそうに俺を見ていた。

 だが、(はな)しかけては()なかった。

 聞く気のない俺にかける言葉(ことば)見当(みあ)たらなかったのだろうか。


 ある日、女の両親(おや)が来て、女と子供を()れて行った。

 俺は()いかけるでもなく、ぼーっと後ろ姿(うしろすがた)()(おく)った。


 あの頃の俺は本当(ほんとう)にカスだった。

 だらだらと惰性(だせい)()きているだけだった。

 なんでこんな俺といたんだ?アイツは。

 どこに()れてたんだ?

 今さら聞いてみるわけにもいかない。

 どこでどうしているのか。もう、(かお)名前(なまえ)も思い出せない。


 なのに、最近(さいきん)不思議(ふしぎ)(ゆめ)を見る。

 親子(おやこ)3人が(たの)しそうに(あそ)んでいる夢だ。父親(ちちおや)らしき男は俺だ。

 母親(ははおや)息子(むすこ)はアイツと俺達(おれたち)の息子なのか?

 2~3(さい)くらいの元気な子だ。母親は(やさ)しそう。

 だが、太陽(たいよう)反射(はんしゃ)してふたりとも顔はよくわからない。


 なんで今さら、こんな夢を見る?

 俺の懺悔(ざんげ)の気持ちが見させているのか?



 今夜(こんや)(はや)く店を()めた。

 いつもは何時(なんじ)だろうが(きゃく)がいなくなるまで営業(えいぎょう)しているんだが、この季節(きせつ)空調(くうちょう)故障(こしょう)してしまった。

 いくら体にアルコールを入れたって、この(さむ)さに暖房(だんぼう)なしは、キツ()ぎる。

 大きな機械音(きかいおん)がして、どんどん店の中の温度(おんど)()がっていった。

 なんてこった!!


 家路(いえじ)()かう(みち)。いつも(おな)じ道。

 今夜は(なん)となく道を()えてみたくなった。

 普段(ふだん)(とお)らない、人気(ひとけ)のない道だ。

 なんで道を変えたのか、よくわからないが、まあ、ただの気まぐれだ。


 そして、俺は、ちょっと変わった(ひろ)(もの)をした。


 それは、道に(よこ)たわる(きず)だらけの少年(しょうねん)だった。



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