1.カクホ
今日から連載始めます。自分のペースでアップしていきますので、不定期です。
よろしくお願いします。
三日前に知り合ったシンヤとは、波長が合うというか、居心地がいいというか、会って一時間で、互いのことを「親友」って呼び合ってた。
それから三日間、ずっと一緒にいる。
歳は16。タメ。
どこに住んでるのかは知らない。
けど、この街ではなさそう。
女の子とマンションをシェアしてるとか。
「彼女?」と聞いたが、違うらしい。
一度会ったきりだと言う。
女の子は夜の仕事をしているらしい。
シンヤは朝早く、女の子が帰宅する前に仕事に行き、帰った時には、その子はすでに仕事に出ているといった生活らしい。
ちなみに、少なくともこの3日間は、シンヤは仕事に行ってない。
休みなのだろうか?
まあ、そんなことはどうでもいいけど。
今夜は街がざわついてる。人通りも多い。
何だか落ち着かない。
シンヤも落ち着かない様子だった。
俺と一緒で、こういうざわざわした、ごちゃごちゃした感じが嫌いなのかな?そういうとこも同じだな、親友は。
突然、シンヤを見失った。
あれ?はぐれた?
次の瞬間、ゾッとするような風圧を感じ、見知らぬおっさんたちに、押しのけられた。
なんだこいつら。人を押しのけて「すみません」の一言もないのか!
シンヤが全く見えない。
完全にはぐれたか?
「確保ー」
ドスの効いたおっさんの声が腹に響く。
人だかりが出来ている。その先が全く見えない。
一瞬ざわついた後、静まり返った。
その静寂をシンヤが破った。
「ごめん、リョウ!」
街は、立ち尽くす俺を無視して、いつも通りの景色に戻っていった。
俺の親友は指名手配犯だった。
俺の方こそごめん。
何も知らなくて・・・・・ 親友のこと。
へえ~、タイホーじゃなくてカクホーって言うんだ、おまわりさん。