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【漫才】行田の餃子

作者: 山﨑歩帆

ボケ「どーもー! (ボケの名前)でーす」

ツッコミ「どうも、(ツッコミの名前)でございます。二人合わせて」

ボケ・ツッコミ「(コンビの名前)でーす」

ボケ「いやー、ぼくんちギョーザ屋やってるんですけどね?」

ツッコミ「……あー、ギョーザっていうと、あれかい? 埼玉の北の方にある……」

ボケ「ちがうっ! それは行田! やめろよそんな、拾う価値もないギャグ言うの!」

ツッコミ「……」

ボケ「え、どうしたの?」

ツッコミ「言ってみただけなのに……そんな言い方すんなよ」

ボケ「うそ、え……ごめん」

ツッコミ「いや、いいよ。続けようぜ」

ボケ「う、うん……。いやー、餃子を包んでるとね? なんだか不思議な気持ちになるんですよ」

ツッコミ「えー、そうなんだ、一体どんな気持ち?」

ボケ「ギョーザを包んでいるとね? 僕がギョーザを包んでいるのか、ギョーザがぼくを包ませているのか、わからなくなるんですよ」

ツッコミ「んー? どういうことだろう?」

ボケ「なんていうのかな? 世界が、僕と、皮と、あんだけになるような。そんな気持ちになるんですよ」

ツッコミ「へー、そー」

ボケ「その瞬間僕は、『あ、行田に入った!』って、感じるんですよ」

ツッコミ「え? ぎょう、だ……?」

ボケ「そ、そんでね? 行田にいると僕はなんだか……とても幸せな気持ちに……」

ツッコミ「……」

ボケ「あの……」

ツッコミ「何」

ボケ「突っ込んで頂きたいんですけど……」

ツッコミ「俺の、俺の行田は否定したくせに、なんでお前はそんなに簡単に、『行田』という言葉をその口から出せるんだ?」

ボケ「だからそういうボケじゃん。冒頭のお前が言おうとした『行田』を、回収したんじゃん。説明させないでよ、もーーーー!」

ツッコミ「なるほど。わかった、了解でーす」

ボケ「……」

ツッコミ「理解しましたよ? どうぞ? 続けてつかーさい?」

ボケ「……だからね? 気分転換するのにいいんじゃないかと思うんだよ、ギョーザつくるの……」

ツッコミ「あー確かに! 手先動かすのっていいっていうし! やってみようかな」

ボケ「お! じゃあ、早速教えますね!」

ツッコミ「よろしくお願いしまーす」

ボケ「まず、うずらの卵を、両方のわきの下にそっとはさんで……」

ツッコミ「うずら? は? なんで?」

ボケ「え」

ツッコミ「なんでうずらなの? なんで?」

ボケ「え、だって、そういうボケだから……」

ツッコミ「あーそう、了解でーす」

ボケ「……」

ツッコミ「はい! うずら、用意しましたー。わき、はさみましたー」

ボケ「そ、それじゃあ! そのままあたためて、卵から雛にかえしてくださーい」

ツッコミ「……は?」

ボケ「え?」

ツッコミ「お前、え、何? 命をなんだと思ってんの? てか、うずらの卵と餃子づくり、関係なくね?」

ボケ「だって、そういうボケだから……」

ツッコミ「だからって言っていいことと悪いことがあるだろーが!」

ボケ「そんなこと言ってたら漫才なんてできねぇよ!」

ツッコミ「諦めるんじゃねぇ! コンプライアンスに乗っ取った漫才だって、きっとできるはずだ!」

ボケ「つまらねぇ予感しかしねぇ!」

ツッコミ「うるせぇ、やるしかねぇんだよ……。俺たちはもう、後には戻れないんだ……」

ボケ「なんでそんなに追い詰められてんの?」

ツッコミ「昔々あるところに……」

ボケ「そして急に始まるサムシング……!」

ツッコミ「おじいさんとおばあさんが、法に乗っ取って婚儀を交わし……」

ボケ「固い! 表現がクリスピー!」

ツッコミ「しかし、ある日おじいさんが言いました。『別れてほしい』」

ボケ「シビア! シビアな展開! 求めているのは笑いなのに!」

ツッコミ「『どうして? なんで突然……?』『実は、好きな人ができたんだ……』『そんな……』」

ボケ「悲しい展開! だがしかし! 一度燃えた恋の炎を消すなんて、誰にだってできやしない……!」

ツッコミ「『わかったわ、出ていきます……。ただ、財産の半分は、しっかりもらっていきますからね』『ああ、もちろんだ』。そして二人は、法に乗っ取り、離婚という道を選んだの

でした」

ボケ「ほーら言わんこっちゃない! 何にもひとつも笑えない!」

ツッコミ「そしておばあさんは、離婚によって得た資金をもとに、行田で餃子屋を始めたの

でした、終わり」

ボケ「結局行田に戻るんかい! もう、いいよ」

ツッコミ・ボケ「どうも、ありがとうございましたー」

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