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3-18 馬車に揺られてダンジョンへ

 俺はいま、駅にいる。

 文字通り、馬車乗り場って意味の。


 さて、目の前には馬車がある。

 なぁ、馬車ってなんだ?

 そうだよな、馬が引くあれだよな。

 俺が思ってる馬車ってのは、4~6人乗りくらいの、大きくても軽ワゴン車くらいのものかな。

 そんなイメージで間違ってないよね?


 で、目の前にあるこれはなんだ?

 いや、馬車なんだけどさ。

 でもこれ、軽ワゴンどころか高速バスくらいの大きさがあるぜ?

 20人は乗れんじゃね?

 じゃあそんなでっかい車をなにが引いてるかって?

 馬車なんだから馬に決まってんだろーがよ。


 くっそでかいけどな!!


 俺がいままで、テレビとかも含めて見たことがある最大の陸上生物は、アフリカ象だと思うんだが、たぶんそれより一回りくらい大きいな、この馬。

 んで、脚が8本あるわ。

 まあ脚8本の馬っつったらピンとくるわな。

 一応訊いてみたよ。

 やっぱスレイプニルだったよ……。


 ……スレイプニルってさ、どっかの神話じゃ主神乗せるタイプの神獣じゃないの?

 なんで馬車馬(ばしゃうま)なんかやってんのよ。

 しかもそのスレイプニルが駅には何頭もいるよ。


 ゲームの序盤で熱いバトルを繰り広げた中ボスが、終盤ザコとして群れで出現したような、そんな悲しい気分だわ。

 とりあえず乗車手続き済ませるか……。


「エムゼタシンテ・ダンジョンまで」

「はいよ。50Gね。エカウナ橋で乗り換えだからね」


 中に入ってこれまたびっくり。

 外から見たより明らかに広い。

 なんでも空間拡張魔術を施してるらしく、100人くらい乗れるみたい。


 俺が買ったのは一番安い座席なんだが、それでもかなりゆったりしてたよ。

 リクライニングもあるし、クッションもしっかりしてるし。

 正直ギルドの寝台より、遥かに寝心地はいいな。


 他にもフルフラットになる座席とか、個室なんかもある。

 現在防具類はいったん収納庫に収めていて、俺はいつもの革ジャケットスタイルで座席に身を投げ、出発を待っていた。


 時間が来ても動かねえなー、と思って窓の外を見たら、景色が流れてた。

 マジか?


「話には聞いていたけど、慣性制御ってすげーな」


 そう、この馬車にはSFなんかでお馴染みの慣性制御がかかってるんだわ。

 ただし、魔術じゃなくスレイプニルの固有能力だけどね。

 スレイプニルには重力制御と慣性制御の能力がある。

 その能力を買われて、馬車馬として使われてるんだよね。

 振動に関しては魔術で制御してるみたいで、上下の揺れは微妙にあるかな。


 それでも元の世界の車より全然揺れは少ないし、なんといってもスタート、ストップ時の前後の揺れとか、カーブを曲がる時の左右の揺れとかが一切ないのが嬉しいわ。

 乗り心地最高。

 しかもすげー速い。


 時速100キロは出てんじゃねーかな。

 馬車と聞いてガタゴトいう地獄みたいな旅をイメージしてたんだが、これなら気軽に利用できそうだ。


 4時間半ほどでエカウナ橋ってとこに到着し、いったんそこで降りる。


 トセマからダンジョンに行く場合は、まずエムゼタ行きに乗って、ここエカウナ橋で乗り換えるのが一般的なんだそうな。

 このエカウナ橋ってとこは橋の手前に駅とちょっとした売店や小さい食堂があるんだが、あくまで乗り換え場所って感じで、小さな宿はあるものの宿場町ってほどじゃないかな。

 このまま1時間進めば州都があるわけだしね。


 エカウナ橋からエムゼタシンテ・ダンジョンまでは普通の馬が引く馬車で行く。

 車の大きさも軽ワゴンくらいの奴ね。

 ちなみにエカウナ橋は渡らず、手前で東に曲がる感じだ。


 トセマからダンジョン直通の馬車もあるにはあるんだが、スレイプニルタイプじゃなく、普通の馬車になるから、倍近い時間がかかるらしい。

 普通の馬車といっても、空間拡張魔術は施されてるから車内はゆったりしてるし、振動制御はもちろん、重力制御と慣性制御もスレイプニルの固有能力には及ばないものの、きちんと魔術を施してあるから、乗り心地はそんなに悪くなかったよ。

 エカウナ橋での乗り換え待ちは10分くらいで、そこからエムゼタシンテ・ダンジョンまでは1時間くらいだったね。


 ああ、余談だけどエムゼタ行きの馬車だが、あれはトセマ発じゃなく、西隣にあるトウェンニーザ州の州都エベナから、南隣にあるエスタサミアス州の繁華街ケマトを経由して来たやつ……ってことだけど、土地鑑ねぇからよくわかんないや。


 そんなわけで、俺は快適な馬車の旅を経て、昼過ぎにエムゼタシンテ・ダンジョンへ到着した。

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