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3-1 ランクアップ

 休日を満喫し、お稲荷さんと再会した翌日、俺はいよいよアレを申し込むことにした。


「お、ショウスケくん。昨日はゆっくり過ごしたみたいだね」

「ええ。おかげさまで、いい休日になりましたよ」


 最後に現れたお稲荷さんのせいで、いい気分も台なしだけどな。


「フェデーレさん。そろそろ俺も、アレを受けてみようと思うんですが」

「アレ?」

「基礎戦闘訓練ってやつ」

「おお! その気になってくれた? いやぁ嬉しいよ! こないだは運良く生き延びられたけど、今後も運だよりじゃあ怖いもんね」

「そっすね」


 ま、運だよりっつーか、加護だよりなんだけどさ。


「希望武器はどうする? ひと通り試すのか、それとも普段使ってる槍を重点的に鍛えるのか、別の武器を試すのか」

「えーっと、できれば剣を……」


 目指せ、魔法剣士!! だからな。

 槍も悪くなかったけど、狭い場所じゃ扱いづらそうだし、今後の活動の幅を広げるなら、剣のほうがよさそうだ。

 中途半端に槍で間合いを広げるより、魔術を使うと割り切ったほうがいいような気もするし。


「剣ね。じゃあ、剣の種類はどうする? 希望によって教官がかわるんだよね。剣術全般試すのか、特定の剣を試すのか」


 前にも考えてたけど、そろーっと近づいてブスリと刺すのが、向いてると思うんだよね、俺には。


「レイピアで」

「オッケー。じゃあ基礎戦闘訓練の細剣術習得希望ってことで受け付けとくね。えーっと……、教官の都合で明後日になるけど大丈夫?」

「はい」

「支払いは……」

「ローンで」


 さて、明後日まで何して過ごそうかな。

 ローンも増えたし、普通に依頼を受けて返済のためにお金を稼ぐ、ってのもありだと思うけど……。


「そうだ、ショウスケくん、ランクアップのほうはどう?」

「あー、まだもうちょいかかりそうですね」


 そういやGからFへのランクアップに必要な、ジャイアントラビットの討伐依頼、中途半端なままだったな。

 今日明日でがんばって、ランクアップしとくか。

 レベルアップもしたし、魔術も覚えたから、いまなら楽勝だろう。


「そしたら、いつもの採取キットと、青銅の槍をレンタルします」

「おや? レイピアじゃなくていいの?」

「だって、レイピア高いじゃないですか」

「レイピアにこだわらなくても、とりあえずロングソードあたりで慣れておかなくてだいじょうぶ? 青銅のロングソードだと、7Gだよ」


 ちなみに5Gで借りられる青銅の槍より、ロングソードのほうが高いのは、メンテナンスに費用がかかるからだ。

 突くだけじゃなく斬る動作も加わるから、どうしても刃こぼれもしやすくなるんだよな。


「いえ、中途半端にクセがついても困りますし、剣は訓練まで取っておきますよ」

「なるほど、それはいい考えかも知れないね」


 いまフェデーレさんに言ったことは嘘じゃないけど、それ以外にも槍を借りたい理由が、俺にはあるのだ。 


**********


「ぎゃぴっ……!」


 延髄を《魔槍》で貫かれたジャイアントラビットは、断末魔の雄叫びと共に絶命した。

 死骸を拾い上げ、さっき倒した別の個体を《収納》から取り出す。

 延髄に同じような傷。


「うん、そこまで見分けはつかんな」


 《収納》から取り出した個体は、青銅の槍で倒したものだ。

 それと、いま《魔槍》で倒した個体の傷を見比べたが、あまり違いは見受けられなかった。

 これなら、本来俺が覚えているはずのない《魔槍》を使ったとしても、問題ないだろう。


「とはいえ、念のため解体はしとくかな」


 いま倒したのと、あとから取り出したのを、簡単に解体しておく。

 うん、皮を剥いで頭と胴体をうまく切り分ければ、どっちがどっちかほとんどわからんな。


 そこからは、ジャイアントラビットを見つけ次第《魔槍》で倒していき、翌日の夕方、報告と納品を終えた時点で、ノルマを達成した。


「はい、ショウスケさん」


 猫獣人の受付嬢エレナさんが、ギルドカードを返してくれる。

 カードに記載されたランクは、Fに変わっていた。


「ランクアップ、おめでとうございます」

「はい、ありがとうございます」


 基礎戦闘訓練を明日に控え、無事ランクアップを済ませることができた。

 その気になれば昨日中にもできたんだけど、急に効率がよくなって、変に勘ぐられてもつまらないから、2日にわけたのだ。

 魔物討伐を控えたぶん、薬草採取に回すことができたので、返済のほうがいい感じにはかどったよ。


 そいえば、一度草原でデルフィーヌさんを見かけた。

 あんなことがあったからか、さすがに森からは離れた場所だったよ。

 彼女も薬草採取をしているようだったので、できれば声をかけたかったけど、このあいだちょっと怒らせちゃったみたいだからなぁ……。

 正直、どう接していいのかわからないので、彼女が気付く前に逃げ出してしまった。

 〈恐怖耐性〉のスキルレベルを上げると、もう少し気軽に話しかけられるようになるのかな?

 採取ポイントとか、採取の仕方とか、お互い情報を共有しつつ、一緒に作業とかできたりしたら、きっと楽しいんだろうなぁ。

 でも、このあいだソロのほうが気楽っていうのに共感してくれたし、あんまりグイグイいき過ぎると、嫌がられるかも知れない。


 嫌われたくないから、しばらくは様子を見よう……。


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