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2-25 Re_初めての人助け 中編

 グレイウルフの群れを殲滅し、森を出て歩いていると、街のほうから5~6人の一団が走ってくるのが見えた。


「おーい!!」


 先頭にいるの、あれガンドルフォさんか?

 とりあえず手を振っておく。


「いよぉ! 無事だったかっ!!」


 ほどなく俺たちは合流した。

 どうやら、ガンドルフォさんのパーティーが同行しているらしい。


「ああ、どうも。どしたんすか?」

「どうしたもこうしたもねぇよ! このお嬢ちゃんが、森でグレイウルフの群れに襲われてるヤツがいるってんで、救援要請があってな。それでたまたま俺らがいたもんだから、慌てて来たんだよ。特徴聞いてまさかとは思ったが、やっぱお前さんだったのか」


 見れば彼女が、少し気まずそうな顔で立っていた。

 一瞬目があったが、すぐに逸らされる。

 そうかぁ、俺のために救援要請出してくれたんだなぁ。

 やっぱいい娘だよ。

 でも、これでグレイウルフの素材を、“たまたま見つけました”で納品できなくなっちゃったなぁ。


「あはは……。なんとか逃げのびましたよ」


 さすがにDランク相当の群れを、ひとりで殲滅したとかは、言えないよなぁ。


「しかし嬢ちゃんも偉いよな。お前さんが襲われてるってんで、必死になって救援要請出してくれたんだからよ」


 ああ、そういうことになってんのね。


「今回は運が良かっただけだと思うぞ。薬草集めもいいが、あんま森の奥には入るなよ!」


 彼女を見ると、なんだか居心地悪そうな顔をしてた。

 エルフちゃんは、ガンドルフォさんになにか言いたそうにしていたが、俺と目が合うと顔を真っ赤にして目をそらされた。


「はい、すんません。ちょっと調子に乗ってました。以後気をつけますよ」

「え? ちょ――」

「ホントだぜ? どうしても森に行きたきゃ、ひと声かけてくれよ。依頼のついでがあれば護衛くらいするからよ」


 エルフちゃんがなにか言おうとしたが、ガンドルフォさんの言葉に遮られる。

 しかし、やっぱいい人だな、ガンドルフォさん。


「ええ、機会があればお願いします。君も、ありがとうね」

「えっと、あの――」

「じゃあ、俺たちゃ街に戻るわ」


 と、またまた彼女の言葉が、ガンドルフォさんに遮られる。

 ガンドルフォさん、良い人だけど、あんま空気とか読めなさそうだな。

 まぁここであんまダラダラ話してても、意味なさそうだからいいけど。


「はい。ご迷惑をお掛けしました」


 最後に俺が一礼するのを見届けてから、ガンドルフォさん一行とエルフちゃんは、街に戻っていった。

 彼女は何度かこちらを振り返っていたが、結局そのままガンドルフォさんたちと一緒に街へ戻ったようだ。


「あ……」


 しまった、また名前聞くの忘れたよ。


 まだ早い時間だったし、ここまで歩いてくるあいだにMPも少し回復したので、俺は薬草採取とジャイアントラビット狩りを行った。

 狩りのほうは、《魔槍》のおかげですごく楽になった。

 傷口も槍で突いたように見えるし、問題ないだろう。

 とりあえず、ジャイアントラビットは3匹だけ狩って、街に戻った。

 もっと狩れたんだけど、いきなり狩りの効率が上がったら、なにかと詮索されかねないからね。


 この日、薬草採取とジャイアントラビットの納品で得た報酬は、200Gほどだった。

 グレイウルフは、しばらく塩漬けだな。

 もう少し実績を積んでから、小出しに納品しよう。

 ただ、冷凍機能付き収納庫を契約してないので、肉は諦めたほうがいいだろう。

 骨、爪、牙あたりは、こびりついた肉や血なんかをしっかり取り除けば、たぶん問題ない。

 皮は、どうなんだろうな。

 できるだけ肉は削いでおいて、だめなら諦めるか。


 今日の報酬は返済にあてず、当面の活動費にしようと思う。

 当分は魔法の訓練をしたいから、魔術士ギルドに泊まり、食事は冒険者ギルドの食堂ですませる。

 2食と1泊で、1日23G。

 今日の報酬だけで、ひと月近くは過ごせるわけだ。

 なんか、ネットカフェに寝泊まりして、日雇い労働に出てる感じだな。

 いつか部屋とか、借りたほうがいいのかな。

 1日2食だと、普通なら途中で腹が減るんだけど、俺には〈空腹耐性〉があるからな。

 朝食をしっかり取って、たまに《製水》で水分補給しておけば問題ない。

 日中、空腹に悩まされずにすむってのは、ありがたいもんだぜ。


 さて、とりあえずギルドの食堂で、夕食といきますかね。

 〈空腹耐性〉? そんなもん、街に着いてすぐに切ったよ。

 空腹は最高の調味料っていうからな。

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