おらが村に冒険者
3才の春になった。
よく3才まで生きれたものだと思う。
見ての通りこの村は貧しく食べ物も少ない。冬は寒く小さな子供と老人はばたばた死んでいく。ラーニャもタオも死んだ。兄弟がいない俺の妹や弟みたいなもんだったのに。やるせない。
子供は基本多産多死だ。よく生まれるしよく死ぬ。成人迎えるのは半数を少し超えたくらいだろうか。
だからパパンもママンも頑張ってる。俺もいつ死ぬかわからないから。他にも子供は必要だろう。
3才と半年、言葉もある程度覚えた。というか日常的に使う言葉しか聞く事がないので、覚えられる言葉の数が少ない。天職や魔法がなんて言葉なのかは未だにわからない。
天職って単語自体知らなくても、神様が与えてくれる本当の仕事だとかなんとか言って天職のこと調べられるけど、両親も天職の存在を知らない可能性あるし、知ってたとしても自分の息子が教えてもいないことをいきなり聞き出したら薄気味悪いだろえと思い聞けずにいる。
もし、俺の子供が教えてもいない事を聞いてきたら、なら何かにとり憑かれてると思って遠ざける自信があるね。
だから魔法や天職のことはこちらからは聞かないし、教えられていないので知らない。捨てられたらマッハで死ぬ世界なんだよここは。
ーーー
夏のある時、うちの村に冒険者のパーティーがやってきた。冒険者が訪れるのは実に4年ぶりらしい。魔物もめったに出ない交通の便も悪いこの村には冒険者が行く理由がないとのこと。今回はこの地方一帯で月花草という薬草が取れず不足しているので、たまたま足を運んだということらしい。
きた!と思ったね。生の外の情報を入手するチャンス。
街からは月に一度行商人が来てはいるものの、村長の家から出てこないので話を聞くどころか、近寄る機会すらなかった。
ワクワクが抑えられず俺はすぐに冒険者の元に駆けつけた。
俺は甘くみてた。時間はまだ昼を少し過ぎたところだ。普通ならみんな昼食とって一休みすると仕事に戻っていく。普通はね。
でも今日は違う。村長宅には村人全員集まってんじゃね?って人がいた。
そらね、ろくに娯楽もない農村に数年ぶりに冒険者を放り込めばこうもなりますわ。
収拾つくのかこれ?なんて思ってると
「冒険者のお三方は今しがた到着したばかりだ!お疲れだろうから休んでもらう。夕方にでも時間を作っていただいてその時に色々と話を聞こうじゃないか。だから皆仕事に戻ろう!!」と村長(天職 木こり)の野太い声が響く。まぁ、おっしゃる通りでごぜえます。
不承不承といった感じでわあるが、ポツポツと仕事に戻る村人が出始める。
それでも、せめて姿だけでもみたい!鑑定してみたい!ってんでもう少し残ってみる。だんだんと人が減っていき、見えた!!
革鎧にショートソードを腰に差し盾を持つ戦士風の二十代中ばの男
ライネル LV19
天職 剣士
革の胸当てに弓矢をを背負う狩人風の三十代くらいの男
ウインバリオン LV26
天職 狩人
上下黒の服着た二十代前半の女
ヴィルシー LV14
天職 神官
鑑定はすんだけど、やっぱ少しは話してみたいじゃない?で、思いきって話かけてみた。
「あの、こんにちは!ぼくは、、、」
「こら、サペントお前も家に帰って親を手伝え!!」話をしようかと思ったら村長に怒鳴られた。
しゃあないから渋々帰ろうとする背中に声が掛けられる。「あら、サペント(天秤)って珍しい名前ね」柔らかい女性の声だ。
俺は勢いよく振り返り微笑む女性に満面の笑みで答える。
「はい!僕は生まれた時から首の後ろにサペント(天秤)みたいなアザがあるので父さんがこの名前をつけました!」一息に喋りアザを見せると神官の女性は驚愕の表情に変わり、それからぶつぶつと独り言をいい始め、考えに耽っている。
「もういいだろうサペント。早く帰って家の手伝いをしなさい。」再度村長に急かされしぶしぶ家に戻ることにする。
家に戻りながら、さっきの女性神官の表情の変化について考える(しかし、あの驚きようはおかしい。他二人の冒険者は別に驚いてなかったってことは、このアザが神の言ってた聖痕で、神官だから反応したのだろうか?)むしろ、それしかないと思い、そうだったと仮定してこれからどうなるかを考える。これからどえなるか。
考えてもどうにも出来ないな。って、ことで。
ゴーグル開いてネットサーフィンすいー。やっぱり、ネットは最高だぜ!
ーーー
夕方皆が食事終わった頃、広場に村人が集まりはじめ冒険者を囲む会(?)が開かれた。
女性神官のヴィルシーさんがこちらをチラチラ見てくるのでちょくちょく目があった。ってか目があった瞬間ウインクを飛ばしてやったが何の反応もない。チラチラ見てきてウインクされてノーリアクションとかコミュ症か?まぁ、いい。
その日はそんな感じでこちらと個別に接触することなく囲む会?は解散された。
翌日、昼食のため両親が神妙な顔つきで戻ってくる。村長のところのエリファを伴って。なにやら大切な話があるらしいので、昼食後サペントを連れてくるようにと村長から伝言されたらしい。
やはりきたか。
ほんと何も関係ないどうでもいい余談だが、エリファの天職も木こり、うら若き乙女(ガタイ◎)なのにね!ぷぷぷ
昼食後、両親は不安そうな表情を隠そうともせず俺の手を強く握り村長宅へと向かう。
ん?俺?俺は動画投稿サイトの笑ってはいけないって動画見ながらへらへらだらしない顔で歩いてるよ。
もし誰かがこの光景みたら間違いなく動揺するであろう。不安そうな両親の真ん中でへらへら笑う3才児その違和感に!!
まぁいい。これからどうなるか、仮にも俺の天職は軍師だ、もう賢者と言っていいほどの知性の塊・知の巨人だ。何パターンも考え、流れをシミュレーションしてきた。万全の態勢だ。何も問題はない。
村長宅へつき、両親が声を掛ける。俺も心のなかで声を掛ける、村長!未来の英雄がやって来ましたよ!と。ここからだ、ここから始まるんだ俺のサクセスストーリーは!!
両親の声に家の人が気付き客間へと案内される。
客間にはすでに冒険者3人と村長がいて神妙な顔をしている。
おやおや、村から英雄が出るっていうのになんだその湿気た面は?よく来てくれましたと笑顔で迎えるパターンだろ?
うちの一家が椅子に座ると、何の前置きもなく神官が一言「その子を殺してもいいですか?」
文章カクノムズカシイね!