20話 紡がれる……
翌日、ついに帰国の日となった。
「道中、気をつけて。ティア」
「はい、ディー伯父様」
「いつでも、遊びに来て頂戴ね、待っているわ。今度はもっともっと色んなことお話しましょうね」
「はい。お祖母様!……それから、お祖父様もお世話になりました。とても、有意義な時間を過ごせましたわ」
「こちらこそ、ファンベルツィアに来てくれてありがとう。我が国の外交官たちも、ティアのことを褒めていたよ。これから、大変なこともあるだろうが、ティアなら成し遂げられると信じているよ」
「ありがとうございます、お祖父様…………」
見送りに来てくれた3人に微笑みかけると、3人も安心したように笑ってくれた。
お母様の育った場所………
出会った人々………
見た景色………
………すべてがこれから私が守っていくものなのだと、痛感させられた。
✳✳✳✳
ファンベルツィアを出てからの帰路は何事もなく、当初の予定よりも少しだけ早く城へ着いた。
「帰ってきたのね……」
初めて城を………自国を離れ、国の代表としての役割を担った旅。
自分が思うよりもはるかに、負担は大きかったのだろう。城の城門を通った瞬間、ふっと張っていた気が抜けた。
「わたくしもまだまだね……」
馬車の窓越しに外を見ると、晴れ晴れとした美しい空が広がっていた。
馬車はそのまま、城内へと歩みを進めていく。
王城に最も近い内壁の城門を過ぎたあたりで、コツコツと窓を叩かれた。
シュッと窓を開けるとセドが顔を覗かせた。
「殿下、外をご覧ください」
そう言われ、少し体を乗り出して、外を見てみる。
この道は、王城へと続く道。
そこには、規則正しく最上級の礼をとり、道の両端に並ぶ、王城の使用人たちだった……。
「……どうして…」
「みんな、殿下の帰りを待っていたんですよ」
「あっ………」
そして、その先にはもうすっかり見慣れてしまったプラチナブロンドの髪が見えた。
「お父様……」
「はは、ああ見えて陛下は殿下を大切にしてますから」
いたずらっぽく笑うセドに思わず目を瞬かせた。
冷酷王、暴君、戦闘狂…………
お父様を指す言葉はとても多いけれど、私にとってあの人はいつも『お父様』だった。
馬車が止まり、扉が開かれる。
セドが差し伸べてくれた手を取り、馬車を降りると、真っ先にお父様の元へ駆けた。
「お父様!」
何も言わずに、腕を広げてくれたお父様の口元は少しだけ……微笑んでいた気がした。
「よく戻ったな、ティア」
「はい」
少しの抱擁をし、すぐにまた『いつも通り』に戻る。
そのまま、お父様の執務室へ向かいながら、ファンベルツィアでの出来事を話した。
「お父様は、お母様を愛しておられたのですか?」
きっと……
これは、聞いちゃいけないことなんだ。
だけど、どうしても知りたかった。お母様を奪った私をお父様が許してくれるのか、知りたかった………。
「あぁ…………、そうだな。お前もそのうち分かる」
お父様の表情はひどく穏やかだった。
「俺が唯一、心から望んだものだ。いや、少し違うな。今は、お前の幸せも望んでいる、ルピアナティア……わが伴侶が生んだ愛し子よ」
お母様の過去を見てきて、どれだけ私が望まれて生まれてきたか知った。
そして、お父様が私を生んだことで側妃に殺されたお母様を想って、私を憎んだことも………。
それでも、愛し子と呼んでくれたお父様を信じようと思う。
いつまでも逃げていたくない。
この国を背負っていくために
これにて、第三章………完結っっ!!!
ここまで、読んで下さった、海よりも広き御心の持ち主である読者の皆様……
ほんっっっっっとうにありがとうございました!!
長編の連載ということで、途中で、中々、筆が進まないこともあったり、現実が……と考えたりすることも多く、更新もゆっくりとしたものになってしまいました。
それでも、たくさんの方々が読んでくださっていることに日々、感謝してもしきれない思いで、この可愛い我が子のような登場人物たちと物語を綴ることができ、嬉しく思います………!!
これからは、ティアの成長した姿や恋愛模様など………!?お届けできたらと思います。
ではでは、また次章にて、よろしくお願い申し上げます(。・ω・。)ノ♡




