表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冷酷王の愛娘  作者: 水無月 撫子
第三章 ティアと母シェルリア
64/76

    17話 貴婦人とドレス



 マダム・バタフライ。


 リゼアイリアで最も有名なオートクチュールのマダム。


 そして、私のお抱えのお針子でもある。


「今、ファンベルツィアでは、殿下が先日お召になった鳥籠のような型のドレスが流行っておりますの!」


 それはきっと、この前の誕生祭の夜会で着たドレスのことだろう。


 クリノリンで、鳥籠のように膨らませたスカート部分の曲線が美しく、女性の細い腰が強調されるようなデザインだった。


 ドレスの流行が広がるのは本当に早いなぁ……


 つい先日までは、少しだけ膨らんだパニエで、流れるようなサテンのドレスが流行っていたのに、きっとリゼアイリアの夜会は今頃クリノリンだらけだろう。


「本日の夜会でも、クリノリンをお召になるのですか?」

「ええ。でも、皆さんの色とりどりのドレスも楽しみですわ」




 


 …………なんて、言ったんだけどね……



「ティア様!踏ん張ってください!!」

「きゅぅ……」


 思わずか細く声が出るほど、チェンシーのコルセット締めは、容赦ない。


 そう、クリノリンを着るにあたって欠かせないのがこのコルセット。


 胸部から腰の下まで締め上げるコルセットは、腰が驚くほど細くなる。


 しかし、コルセットを装着する際は腰を無理やり締め上げるわけで……こんなふうに毎度数人掛かりで力を加えていく。


 まったく、美しく着飾るのも楽じゃないわよ。


「流石ですね、ティア様……ハァハァ…」

「ほっ…細い腰です……わ……ゼェセェ」

「す、素晴ら……しいで……す……ヒィ」


 可哀想に、侍女たちがハァハァと息を切らし、いつも美しい格好をしている彼女たちが額の汗を拭ったり、膝に手をついたりしている。

 さすがに、ここまで、息を荒くしている様子を見ると申し訳なくなってしまう。


「みんな、ご苦労さま。あと、少しだから頑張ってね。後でパティスリー・ルーザのケーキを届けさせるから」

「えっ!?パティスリー・ルーザといいますと、ファンベルツィアの超有名菓子店のパティスリー・ルーザですか!?」

「あの、ケーキが並んで1分後には閉店すると有名な!?」

「いくら早くから並んでも買えないと有名な!?」


「「「あの!パティスリー・ルーザでしょうか!?」」」


 すごい剣幕で迫られてしまって若干引いてしまったのは黙っておこう……。


「えぇ。その、パティスリー・ルーザよ。今日の菓子類はすべてパティスリー・ルーザに注文していたの。だから、特別に、今日、忙しくしてもらったみんなには、ルーザの菓子を手配していたの」

「「「ティア様………」」」


「あぁ、ティア様の侍女で本当に良かったぁ!!!」

「私達のような使用人にまで気を配ってくださるなんて、流石は我が主ティア様です………!」

「どうやったら、こんなできた王女様が出来るのかしら……!」


 三人とも目に涙をためて天を仰いでいる。


 菓子くらいで大げさね。

 でも、これからはちょくちょく菓子を差し入れておきましょう。いつも、大変な仕事をしてくれている侍女たちへの、ちょっとしたご褒美だ。

 

 今夜のドレスは、大人っぽい黒のレースをあしらった深紅のドレス。

 デコルテの露出はないが、胸元から首にかけてレースで隠してある。

 ところどころに散りばめられた、真珠の飾りが、キラキラと光を反射し、ドレスの上品さをよりいっそう際立て、まさに王族に相応しいドレスと言えよう。


「……とはいえ、深紅のドレスなんて初めてじゃないかしら?」

「そうですね。ティア様は淡い色を御召になることが多いですから」


 着慣れない色合いのドレス………


 じっと、鏡でドレスを見ていると、ドアがノックされた。


「どうぞ」


 扉から姿を現したのは、黒の盛装を身に纏ったセドだった。

 


「よく似合っているわね、セド」

 

 私が片手を上げると、侍女たちは音もなく部屋から退出した。


「ルピアこそ、そのドレスとても良く似合ってるよ」

「今日は、エスコート役であるセドの髪色に合わせたのよ?」

「嬉しすぎて、心臓が口から飛び出そうだ」

「それは困るわ。護衛がいなくなるもの」


 そんな話をしつつ、私は衣装部屋の隣にあるクローゼットを開く。


「よくもまぁ、そんなところに入れたな」

「女の真の衣装部屋ね。暗殺者や密偵が潜り込んだとしても中々、見つからないのよ?」


 きらびやかなドレスのその奥。

 クローゼットの壁を触っていくと、目には見えない2つの凹みがある。そこを掴み、扉のように開くと………


 中からは、私の愛用の武器たちが姿を現した。


「ルピアの愛剣はでかすぎて、夜会には持っていけないからな〜。………ていうか、暗器の量、エグくないか……」

「こんぐらい仕込んどかないと、いつ何時なにが起こるかは誰にも分からないもの」


 取り出した小さな暗器たちをドレスの下に隠していく。

 私のドレスには暗器を仕舞うホルダーが、裏地に縫い付けられてるし、靴下にも、短剣用のベルトがつけられている。


「セド。これが貴婦人(王女)のドレスよ」


 片目を閉じて茶目っ気たっぷりに小首をかしげてみる。

 しかし、セドは苦笑を漏らすばかりだった。




ティア様完全武装状態です!!

個人的に男性登場人物の中で一番セド君が好きなんですが、皆様は、だれが一番お好きでしょうか

(*^^)v

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ