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冷酷王の愛娘  作者: 水無月 撫子
第三章 ティアと母シェルリア
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    15話 男爵令嬢



「おい、貴様」

 パッとセドの目の前に扇を広げ、待ったをかける。


「……ごきげんよう、どちらのご令嬢かしら」


 そう聞くと、彼女は令嬢らしくお辞儀をしたのだが………それは、最高礼ではなく、同じ立場の人間に対して、つまり貴族に対する礼であった。


 舐めてるわけ。

 何も知らない小娘だとでも思ってるのかしら。


 こうして侮られたことは何度もあった。他国の人間は特に。自分よりいくつも年下で、所詮、10歳をいくつか過ぎたばかりの子供。


「私はガンセル男爵が長女、ミルフィーナ・ガンゼルでございます」


 頭を上げろなんて絶対言ってやらないわ。

 舐めてかかった罰よ。


「誰かと間違えているようだけど、わたくしは、ルピアナティア・ロゼリア・ロズマリンよ。………リゼアイリア王国の王太子ですわ」


 彼女はピクリと反応しただけで、あまり反応を見せなかった。

 今までのバカよりも賢そうに感じたけれど買い被りすぎたかしら。


 この場で食ってかかるのはあまり望んでないわ。


「一体、どなたと間違われたのかしら。ねぇ、セルエド?」

「えぇ、本当に。まさか、殿下に対してこんな不遜な真似をするとは。ここで斬られても文句は言えないのでは」


 すごい顔して怒ってる……!!

 ピキリと浮かんでいる青筋がセドの怒り具合を物語っている……。


 セドの脅しに少し怯んだのか、身じろぎをする彼女。


 まったく、情報は正しく仕入れるべきだわ。

 彼女は私のことをただの王女だと思っているみたいね。


 私に喧嘩を売るなら、それ相応の立ち位置になってから来なさい。


「申し訳ございません。ですが、ここはファンベルツィア王国。未熟者の行いとして目を瞑っていただければ幸いですわ」

「さて、わたくしにはなんの事か。それでは、ごきげんよう。…………ガンゼル男爵令嬢」


 彼女の名前だけ底冷えするような低音で言った。

 そのまま彼女の横をスッと通り過ぎて、何事もなかったかのように部屋へと戻っていった。



「おかえりなさいませ。ティア様」

「ちょっと今後のことでセルエド隊長と話がしたいの」

「かしこまりました。紅茶のご用意はできておりますので、私はカップにお淹れしたら、失礼いたします」

「ありがとう、助かったわ」


 先読みができる良い侍女だ。お茶を淹れていくのも忘れない。


 私がこうやって相談事をするときに、必ず紅茶を飲むことをしっかり把握しているからできることだ。


 あたたかい紅茶を3人分用意したチェンシーは綺麗にお辞儀をして、退出した。



「いやー、やっぱあの侍女さん、騎士隊長やってただけあるね。僕の分までちゃんと用意してってくれた」


 びっくりだ、と言わんばかりに肩をすくめるイシュア。

 音もなく現れたイシュアに驚きもしない私とセドは、そのままカップを手に取る。


「イシュア、お行儀が悪いわよ。ちゃんと座りなさい」

「座るけどさ……なんで、セルエドはティア様の隣に普通に座ってるの?」


 そう言われて初めて気付いた私はゆっくりと隣を見る。

 セドもびっくりと言うような目で私を見ているのだが……


「……もしかして、二人とも無意識なわけ?」

「お、おほほほほ」

「アハハハ」


 ぎくしゃくとしつつ、ジトーーとしたイシュアの視線を受けている。


「コホン!そんなことは置いといて、イシュア。あなたも一部始終見てたわよね」

「うん、つい、()から殺しそうになるのを頑張ってやめといたんだよ?」

「イシュアは、すぐカッとなるとこが駄目なんだぞ」

「あら、それは、セドも同じよ。こっそりナイフを握ってたのバレてないとでも?」

「え、いやそれは……」


 まったく、この人たちはすぐ人を殺そうとするんだから。

 ほんと、嫌になるわ。



「………では、まず、明日の茶会及び夜会についてよ」


 明日は午前中から午後にかけては、お祖母様主催のファンベルツィアのご婦人及び令嬢方と大規模なお茶会を催すことになっていて、夜は王家主催の夜会がある。


 夜会はともかく、お茶会には男性の参加は騎士でさえ認められない。警護につくのは女性騎士たちのみ。


「茶会では主に僕たち『影』が護衛を務めるよ」






 遅くなりました…(汗)

 世の中、騒がしいですがお家時間にどうぞお楽しみいただけたらと思います!

 頑張っていきましょう!

 ╰(*´︶`*)╯

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