8話 王位継承
我がリゼアイリア王国でライトグリーンの瞳を『王の印』と言うように、歴史が深い国の王家には代々その『証』があることが多い。
そして、『証』を定める国は数少ないが、リゼアイリアの『王の印』と肩を並べるほど有名なのが、ファンベルツィア王国の『王の印』である。
「ティア。知っての通り、我が国は精霊の国。そして、またの名を『エルフの国』という」
「………」
この国の成り立ちは歴史書にあるとおり、精霊と共存するエルフのもとへ人間が逃げてきたことが始まりだ。
エルフの魔力は計り知れないほど強く、戦争によって家を追われた人間には非常に心強いものであった。
エルフたちは人間を受け入れ、村は次第に大きくなる。
そこで問題が起きた。人間とエルフが長い間混じり合い続けた結果、その力が弱くなってしまったのだ。
エルフ本来の力をそのまま残していたのは、エルフの王家だけだった。
そして、王家は人間と混じり合ってもその力が衰えることはなく……いや、それでは語弊があるかな。
……その力を受け継ぐ者が王家には必ず一人だけ生まれるのだ。
これは一体どういうことなんだか現在のファンベルツィア王家でも分かっていない。
しかし、ハッキリと断言できるのは『神は、この世界の生物が要らぬ争いをせぬよう力を与える者を絞った』という話。
「エルフの村であった際から脈々と受け継がれてきた『王の印』。薄い桃色の瞳……いや、紅の眼だ」
太陽の光が差し込む窓辺に立ったお祖父様の瞳は、紅だった……
「ティア、君の父上から私に何か、見せるように言われただろう?」
「はい」
私は両手の指を一つ一つ合わせ、三角形を胸の前で作った。
『我が名はロゼリア。神より授かりし我が力よ、今こそその姿をあらわしたまえ。』
ぽわぁ、っと淡い光と共に金色の粒子が私を包む。
光がおさまったようで、みんなが目を開け………見開いた。
お祖父様だけは何故か、当然だ、というような感じでしたが。
「ハニーブロンドに淡い桃色の瞳……。シェリーだ…」
「えぇ…えぇ…。知っていたけれどここまで、ここまで似ているなんて……あぁ…」
ボロボロと泣き出すディー伯父様とお祖母様。
今日は涙腺が決壊する日なのかしら。
「ティアこちらへ」
「はい」
テクテクと素直に窓際のお祖父様の側に行く。
「あぁ、やはり『紅の眼』だ。」
お祖父様は嬉しそうに私の頬を撫でる。
ディー伯父様はギュッと私を抱きしめる。
お祖母様は泣き笑いで、私の手を優しく撫でている。
「もう、みんな今日はおかしいわ!」
「そんなことないさ。ティア、お前は私の愛しい孫娘だ。……そして、ファンベルツィアの正規王位継承者だ。………わかったか?エルメス」
「御意に」
恭しく正式な礼の形をとるエルメス公爵。
って、えっ……エルメス公爵いつからいたの!?!?
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