6話 収束と騎士
___パチン!
私が指を鳴らすと、地面に転がった騎士たちを光の粒が包み込む。
回復魔法だ。
「皆さんお元気?回復魔法ついでに浄化魔法もかけて綺麗にしてあげたのだけれど」
私はクスリと嫌味に笑ってみせる
バッ!と起き上がる騎士たちは顔面蒼白だ。
「おはようございます。皆さん」
サァーーーっと引いていった血の気。
次の瞬間には目の前に土下座の列ができていた。
「「「もうしわけありませぇぇぇん!!!」」」
いい男がガチ泣きで頭こすりつけて謝っている……
そんなこんなしているうちに、こちらへと向かってくる蹄の音が聞こえてきた。
「ティア様ァァァ!!」
うわぁー、早く行けば良かったぁ……
「ティア様ぁ!ご無事ですか!?怪我は!?」
そう言ってペタペタと私の体を触るセルエド。
覚えていらっしゃいますかね…
私の薔薇騎士『淡い黄色』の第一分隊長。
セルエド・フォウスファルド
アルのいとこの…
「セルエド取り敢えず話は馬車の中で聞くわ。さっきの襲撃でだいぶ遅れが生じているの。みなさんも騎士としての名誉は、騎士としての仕事で挽回しなさい」
「「「はっ!!」」」
私とセルエドは共に馬車に乗り込み、やっと私達一行はファンベルツィアへと向かい出した。
「ティア様。ご出立に間に合わず申し訳ありません」
防音結界を張ったことを確認するとセルエドは話し始めた。
「良いのよ、元はといえばわたくしがあなたを下見に行かせたのだから。それにこうして来てくれて助かったわ、セド」
愛称で呼ぶとセドは嬉しそうに破顔した。
実は、セドは私の……いや、私とカルムの幼馴染だ。
将来フォウスファルド侯爵家を継ぐ長男として、そして、王太子である私を守る騎士として常に私の側にいた。
双子の弟、リカルドは昔は体が弱く、セドとは離れて領地で療養していた。
そのため、私が生まれたときからずっと共にいたセドよりかは関係性はそこまで親密ではない。
まぁ、薔薇騎士だから、周りの人間よりも深い繋がりがあるけれど。
リカルドのことは愛称で呼んだことがない。
だから、私とセドの二人きりの時以外は、愛称で呼ぶことはない。リカルドが拗ねちゃうしね。
「ルピア、なんだか二人になるの久しぶりだなぁ」
こうして口調が崩れるのも彼の特徴。
本当の私を知っている上で『ルピア』という愛称で私を呼ぶのは彼だけだ。
そんなことを考えていると自然と強張っていた口角があがって、クスリと笑ってしまった。
「あ、やっともとに戻った。駆けつけたときひどい顔してたぞ」
「そんなにひどかった?」
「あぁ、こーーんな顔」
と言って自分の目の端を指で上に引っ張って見せた。
「っふは!何それ!ただの般若じゃない!!っふふ」
「ルピアのその笑い方昔っから変わんないなぁ」
「別に良いじゃない。セドだって、コレ変わってないじゃない」
セドの首元に光るロケットペンダント。
「コレはルピアがくれたものだからな。」
パカリと開けたロケットの中には、髪の毛が入っていた。
「後から、思ったことなんだけど、それ、なんだか遺髪見たいよね。小さい頃は分かんなかったけど」
「ふ、不吉なこと言うなよ!……でもさ、コレ、俺だけが持ってるものだから……」
ちょ、後半ボソボソ言いすぎて聞こえなかったんだけど。
ロケットの中身をもう一度よく見てみる。
相変わらずキラキラと輝いているハニーブロンドの髪の毛。
「相変わらず魔力の影響がすごいわね」
「あぁ、それでずっと輝いてるし。ていうか、最近あんまり見ないな」
「お父様から成人前だからあまり開放するなって」
「不安定だからだっけ?」
「そう」
私はセドのロケットを閉じ、ペンダントを団服の中に直してやる。
「ん〜、ルピアのハニーブロンドが見れなくて残念だ」
そう言っているセドの襟を綺麗に整え、パンっと一つ胸を叩く。
「私はお父様と同じプラチナブロンドも、お母様と同じハニーブロンドもどっちも好きよ?」
「ま、俺もどっちも好きだけどさ…。なんか、プラチナブロンドは陛下の顔がチラチラ浮かんで……!!」
冷や汗ダラダラだ。
何を想像したのか、まったく。
「って言っても、お父様はきれいな金髪なんだよ?」
「え!?初耳だ。一回見てみたいなぁ〜」
「戦場に行けば見れるわよ。」
「いや、それは、ちょっとごめんかな?」
ヘラっと笑ってみせるセドに癒されつつ、馬車は、ファンベルツィア国境近くへと迫っていた。
次の投稿は1月14日(水)です!!




