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冷酷王の愛娘  作者: 水無月 撫子
第二章 誕生祭とセルフィジア
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    小話 王太子とトマ


 かわいいト◯ロと、ティア様のほのぼの?小話です。




「トマ〜」

「なぁに?ティア様ぁ」

「えへへ〜、モフモフ〜」


 庭園で日向ぼっこしていたト◯ロ……もとい、大きなモグラのお腹へダイブする。


「え!?」


 ティアの体重に関しては全く持って問題ないのだが……。


 ト◯ロ…げふん!トマが心配しているのは………


「だ、駄目だよぉ!ティア様ぁ!」

「あら、どうして?あ、重いなら退くけれど……」

「え、いや、重くはないけど……匂いが…」

「??匂い?」


 匂い……トマは一体何を言っているのか、とティアは不思議に思う。

 もしや、と思いトマのお腹に顔を埋め、スンスンと匂いを嗅ぐ。


「ちっとも汗臭くなんかないわよ?」

「そういうことじゃぁなくてぇ〜」



 ………そう、トマが、心配しているのはそういうことではないのだ。


 これから彼女の元を訪れるアイツを気にしているのだ。


 何せアイツは鼻が良い。


 戦場においても何度となくソレが役に立った。

 そんなこともアイツが『紅炎の狼』と呼ばれる由縁でもある。



 コンコン。

 タイミングよく鳴ったドアノックにモグラもどきは、主人が退いたことを良いことに、急いで遠くへ逃げる。



「いらっしゃい、アル。」

「はい、ティアさ…………。男の匂いがする。」

「はい??」


 世の中には言い方というものがあるのだ。


 『男の匂いがする』とは、一体どういうことなのか…。

 

 何故か浮気の疑いをかけられたティアはその場で硬直…。



『えっ!?何!!私の周りに男性なんていたかしら!?』

『なんで、ティア様からこんなに男の匂いがするんだ!?どういうことだ!!』


 紅炎の狼は、グツグツと怒りをたぎらせる。


 一方、薔薇の姫は、騎士団長たる仲の良いものからの浮気疑惑に戸惑うばかり。

 


 修羅場と化した王太子の私室。



 現場を打破できるはこの広い世界で、ただ一人。



「お前たちは一体何をしているんだ。」


 低く美しい低音の持ち主、そう、アルの主人であり、ティアの父であるこの国の国王、ライトだけだった。


「ふぅ……。ティアからは、精霊の気配しか感じない。大方、あの土精霊だろう。アルも、殺気をしまえ。煩わしい」


 まさに、鶴の一声……というもので、アルもだんだんと落ち着いてきたが、その後数日間、ティアがアルを徹底的に無視する、という光景が王城内で見られたようだ………。



 次の小話は、あの人の過去のお話です。



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