小話 王太子とトマ
かわいいト◯ロと、ティア様のほのぼの?小話です。
「トマ〜」
「なぁに?ティア様ぁ」
「えへへ〜、モフモフ〜」
庭園で日向ぼっこしていたト◯ロ……もとい、大きなモグラのお腹へダイブする。
「え!?」
ティアの体重に関しては全く持って問題ないのだが……。
ト◯ロ…げふん!トマが心配しているのは………
「だ、駄目だよぉ!ティア様ぁ!」
「あら、どうして?あ、重いなら退くけれど……」
「え、いや、重くはないけど……匂いが…」
「??匂い?」
匂い……トマは一体何を言っているのか、とティアは不思議に思う。
もしや、と思いトマのお腹に顔を埋め、スンスンと匂いを嗅ぐ。
「ちっとも汗臭くなんかないわよ?」
「そういうことじゃぁなくてぇ〜」
………そう、トマが、心配しているのはそういうことではないのだ。
これから彼女の元を訪れるアイツを気にしているのだ。
何せアイツは鼻が良い。
戦場においても何度となくソレが役に立った。
そんなこともアイツが『紅炎の狼』と呼ばれる由縁でもある。
コンコン。
タイミングよく鳴ったドアノックにモグラもどきは、主人が退いたことを良いことに、急いで遠くへ逃げる。
「いらっしゃい、アル。」
「はい、ティアさ…………。男の匂いがする。」
「はい??」
世の中には言い方というものがあるのだ。
『男の匂いがする』とは、一体どういうことなのか…。
何故か浮気の疑いをかけられたティアはその場で硬直…。
『えっ!?何!!私の周りに男性なんていたかしら!?』
『なんで、ティア様からこんなに男の匂いがするんだ!?どういうことだ!!』
紅炎の狼は、グツグツと怒りをたぎらせる。
一方、薔薇の姫は、騎士団長たる仲の良いものからの浮気疑惑に戸惑うばかり。
修羅場と化した王太子の私室。
現場を打破できるはこの広い世界で、ただ一人。
「お前たちは一体何をしているんだ。」
低く美しい低音の持ち主、そう、アルの主人であり、ティアの父であるこの国の国王、ライトだけだった。
「ふぅ……。ティアからは、精霊の気配しか感じない。大方、あの土精霊だろう。アルも、殺気をしまえ。煩わしい」
まさに、鶴の一声……というもので、アルもだんだんと落ち着いてきたが、その後数日間、ティアがアルを徹底的に無視する、という光景が王城内で見られたようだ………。
次の小話は、あの人の過去のお話です。




