19話 不安
「………ティア様はシュベルツィ殿下とご婚約なさるのですか。」
神妙な顔つきで問いかけてくるアル。
おっふ、これは重症ですかなぁ???
「どうしてそうだと思うの?」
「仲良いし……」
「そうかしら。」
「王太子同士で話しが合うし…」
「たしかにね」
「ティア様、満更でもなさそうだし。」
「そう?」
「………………なんなんですか。」
「ティア様ですが何か?」
おっとー、ちょっとやりすぎたぁ?
珍しく顔を赤くして怒ってるアルを、からかいたくてね〜。
そろそろちょっとだめそうだからアルの方を向いて、真正面に立つ。
「アル。いい加減にしなさい。……この王宮でそんなことを言っていいと思っているのですか?」
「!!」
「確かに。わたくしとシュベルツィ王太子は婚約可能な立場にあります。ですが、誰が婚約すると言いましたか。……あなたのような地位の高い人間の不用意な発言が、誤解を招く恐れもあります。この王宮であなたを守れるのは地位でもましてやわたくしでもありません。」
「……」
「あなたを守れるのはあなた自身です。」
『シュベルツィとは婚約しません。私が欲しいのは………』
何とか手を伸ばし、アルの頬にピタッと手を当てる。
「!?ティア様。申し訳ありませんでした。私の注意が足りませんでした。お許しください。」
「わかってくれたなら良いの。厳しく言ってごめんなさい。」
「いいえ。おかげで我に返りましたよ。ありがとうございます。」
この大陸ではリゼアイリアの存在は特別なのだ。
例えば、私のお父様。
お父様は『国王陛下』で今は『側妃』が山のようにいる。
私が王位を継ぐと『女王陛下』となり、多くの『側公』を持つことができる。
ちなみに、リゼアイリアの『側妃』『側公』は王族ではないため自由に選べるのだ。
王族となるのは、『国王』『女王』『正王妃』『正公主』『王太子』『王太子妃』『王太子公主』である。
王の子は『王族』ではなく『準王族』である。『王太子』でなければ成人すると同時に王家の縁を切られてしまう。
王族の配偶者は、それなりの地位を持っている人間でなければならないため、どこぞの国王や女王でも良いとされている。
まぁ、女王はリゼアイリア以外ではあまりいないのだが。
基本的にリゼアイリアを統治するのは国王か女王だと決まっているので、別にその配偶者がリゼアイリアにおろうとおるまいと特に関係ないのである。
だから、私がベルと婚約し、果ては結婚……というのもあながち夢のような話というわけでもないのだ。
リゼアイリアの王となるものは次代の王をつくるのが生涯の課題だ。
リゼアイリアの王太子は生まれた瞬間に決まる。
それは絶対だ。
ただ、その理由は王となる者しか知らない。
誰もがリゼアイリアの王太子となり、王太子の親となれるわけではない。
リゼアイリアの王は激務で、恐ろしいほどの数の命を背負い立っている。
そんな大国の不幸な運命の元に生まれたリゼアイリアの王に、神はひとつの希望を告げてくれるのだ。
リゼアイリアの王だけが知るその希望は、歴代の王たちにやすらぎと幸福を与え、さらなる王国の発展へと繋がったのだ。
翌日、予定通りセルフィジアの現国王ソルフィエルド・フィルエ陛下が訪ねてきた。
国王は、はっきり言って弱い人だった。
ベルも言っていたように柔らかい人だった。穏やかさを好み、清廉とした雰囲気とゆったりとした話し方が特徴的であった。
冷酷王と恐れられる我が父の前に最初に現れたときは、蛇に睨まれたカエル状態だった。
だが、リゼアイリアの王族である私に対して、無礼を働いた第2王子、第3王子、極寒の地で生涯幽閉。そしてその母である側妃二人は、ベルに対しての暗殺未遂として斬首の刑に処された。
抑えるべき所はきちんと抑える方であったようだ。
ベルに言わせると、優しすぎるのが欠点だが、国王として判断を間違えることはない人なのだと。
『誰にでも失敗はある』そんな言葉が許されないのがこの地位である。優しいばかりではやっていけない。そう、答えるベルはきっと良い国王となることであろう。
セルフィジアの国王はベルと王妃が大好きです!
めっちゃヘタレで奥さんである王妃を守ろうとし,辺境へ送りました。
ただ,奥さんには不況だし,息子からは呆れられるし,なんかさんざんです……。
自分が不在の間に息子が倒れて,城に帰ろうとしたけど,余計ややこしくなるから帰ってくんな,と息子に言われ仕方なく療養のためだとして奥さんのいる辺境に留まりました。
で,息子から帰ってこいと言われ帰ってくると,息子は隣国の…しかも大国の王太子と仲良くなってるし,バカ王子がなんかやらかしてるし,日々胃痛でお腹を押さえてました……。
ごめんね,陛下……。




