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冷酷王の愛娘  作者: 水無月 撫子
第二章 誕生祭とセルフィジア
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    7話 いらっしゃいませ


 …月日とは過ぎるのが早いもので。


 やって来ました。

 花月デス。


 いーやぁぁぁぁぁぁぁ!!


「ねぇ、アル?ここから立ち去ってはいけないの?」

「ダメです。」


 そんなぁ……。


 えー、こちら、ロズマリン王城セジリア宮殿、謁見の間。

 ちなみに、セジリア宮殿は主に、王族が催しをする際に使う宮殿だ。

 舞踏会を行う大ホールもここにある。


 それは、いいとして~


『お誕生日おめでとうございます。王太子殿下。』

『ありがとうございます。遠いところ大変でしたでしょう。本日はどうぞ、ゆったりとおくつろぎくださいませ。』

『感謝いたします。』


 これだよ、これ。

 もう、やだ!!


 色んな国の使者たちと腹の探り合い。国によって公用語は違うし、地方によっても様々。

 一歩間違えれば命は無し!!


「陛下、これ、いつまで続くんでしょう。」

 いえ、一応聞いてますがねぇ、私初めてじゃないんで、知ってますけど。


 気分的にね!!!!!


「ファンベルツィア王国、リシェウス国王、フィリエナ王妃、ご到着」


 !!


 私は高らかに響くその声に、思わず腰を浮かした。


「リゼアイリア王国、スフェルラート国王、ならびにルピアナティア王太子にご挨拶致します。」

「遠いところご苦労であった。ファンベルツィア王国、リシェウス国王、フィリエナ王妃。」

「ありがたきお言葉にございます。」


 淡い桃色の髪をサラリサラリと揺らし、その髪と同色の瞳を少し伏せているファンベルツィア王国の国王。


 はちみつ色の淡い黄色の髪をふわふわとさせた美しい紫の瞳の王妃。


「おじい様、おばあ様。ごきげんよう。」

「ティア様、大きくおなりになりましたね。」

「ふふふ、ティア様はシェリーの小さいときに良く似ていらっしゃいます。」


 ファンベルツィア王国の国王と王妃は私の母、シェルリア・ファンベルツィアの父母だ。だから、私のおじい様とおばあ様にあたる。


 ダンディーなおじい様といつまでも少女のように若々しく美しいおばあ様!私の自慢です!!


「お母様はどんな方でしたの?」

 母は私を産んだ後、なくなってしまったので私はあまり母を知らない。


「シェリーは気が強くて、女とは思えないくらい頭がよかった。」


 おや?父よ。

 珍しく楽しそうですねぇ。


「ははっ!確かに。シェリーは、今でもダイスが『シェリー!助けて!』と言うほど冴えていたからなぁ。」


 ダイス伯父様…。

 ダイス伯父様はおばあ様似の可愛らしい方です。一応母の兄なんですよ?…どっちが上か分からないほど頼りない人ですが………。


「でも、どんなものよりも美しく、どんなものよりも澄んだ心を持っていた。お前のようにな。」


 あ!ちょっ!!

 髪崩れるから!ポンポンしないでぇ!


「そういっていただけると、嬉しいですよ。」

「えぇ、そうですね。……ま、あなたがティア様を殺そうとしたことは忘れませんが。」


 おばあ様!!

 ダメです。気温が一気に下がりました。

 アルが凍えてます!!


「……。」

「お、おばあ様!そのように、過ぎた話はやめましょう!……おじい様、おばあ様、お部屋にご案内致しますわ。どうぞ、ごゆっくりとなされて?」

「そうですね、分かりましたわ。」

「ありがとうございます、ティア様。では、スフェルラート国王また後で。」

「えぇ。」


 シーン…………。


「お父様?わたくし、気にしておりませんわ?」

「別によい。あのお二人に恨まれるのは当然の報いだ。特に王妃陛下はシェリーをこよなく愛しておられたからな。それは、国王陛下や王太子殿下も同じことだが。」


 あぁ、まぁ、仕方ないよね。

 でも、終わった話はどうしようもない。


「さあ、陛下。次のお客様をおもてなししなければなりませんわ。」


 あえて、父を見ずに言う。


「あぁ、そうだな。」


 バサリと音をさせ、マントを翻した父は颯爽と壇上の玉座に戻っていった。



 父は冷酷王。

 私はその娘。


 生まれたときから常に剣を喉元につきつけられている。

 いまさら、なんてこともない。



「セルフィジア王国、第二王子スイード殿下、第三王子セイベル殿下、ご到着」


 来たか……。





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