10話 眠る子息たち
「王太子殿下、いらっしゃいませ。本日はこのようなところまでお越しいただき誠に感謝申し上げます。」
「良いのです。堅苦しい挨拶など必要ありませんわ。夫人はどうされたの?」
隈が濃く滲んでいる、この人は、被害者の子息の父親。
今日は被害者たちの家をアルを連れて見舞って回っている。
かわいそうに…突然、息子がこんな状態になって困惑しているのでしょうね。
「妻は…息子がこのような状態になってしまい、ショックでふせっているのです。」
やはりか…。
「…そうでしたか。取り合えず、ご子息の元へ案内していただけますか?」
兎に角、優先事項を先にこなそう。
もしかしたら、どうにかできるかもしれない。
「殿下、ここが息子の部屋です。どうぞ。」
「失礼いたしますわ。」
当主に着いて、子息の元までやって来る。
「アル。」
「はい、殿下。」
後ろにいたアルを近くまで呼び寄せる。
「……呪いがかかっているわね。」
「呪いですか?」
できる限り小さな声でボソボソとしゃべる。
「お父様から、許可はいただいているから、呪いは解くわね。」
「解けるんですか?」
「えぇ、この程度ならね。」
目の前で眠っている当主の息子。
普通の人にはわからないだろうけど彼にはたくさんの蔦のようなものが絡み付いている。
これでは、苦しいだろうに…。
『光よ。いまこそ、呪を祓う矛となり、彼のものを解き放て。』
ふわりとした優しい風が吹き、当主の息子を光の粒が包みこむ。
そして、その粒がパンっと広がったところで当主の息子がピクリと動いた。
「!!」
じわり、と開く瞳。
そして、父である当主は泣き崩れそうになりながら、息子に駆け寄って行った。
「大丈夫か!?」
「……父さん?」
「あぁ!そうだ!!良かった。本当に良かった!!」
「俺は、一体……。」
なき叫ぶ父を見て困惑顔の息子に私は状況を説明することにした。
「ごきげんよう。ハウスフェルマー侯爵子息。わたくしは知っての通り、王太子、ルピアナティア・ロゼリア・ロズマリンですわ。あなたは数日間意識を失い、深い眠りに着いていたのですよ。」
当主の息子は私に気がついていなかったようですごくびっくりした顔をしていた。
「殿下……。!そうだ、思いだした。たしか、あの女!!そう、ユリアとか言う女が急に話しかけてきたんです!聞く気はない、というと突然、怒り出して……ってあれ?あのあと、どうなったっけ?あれ……。」
本当に戸惑った顔をしているから、演技では、ないでしょう。
「無理に思い出さなくても良いわ。今は起きたばかりなのだから安静にしていらしてください。わたくしはご夫人に会ってまいります。」
そう言うと私は、アルを連れて、廊下へでた。
廊下で待機していた侍女に夫人にお会いしたい、と言うと快く了承してくれた。
それから私は、夫人にご子息が回復しましたよ、と伝え、他の子息たちも呪いを解いて回った。
さすがに、城へ帰ってから魔力の使いすぎで血の気の引いている私を見て父からすごく心配されてしまった。




