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Everlasting Flower

作者: 夏蝶

闇の中に妖しく佇む

一輪の美しい花


その姿が私の瞳に映った瞬間

逃れられない運命を悟った


降り注ぐ絶望の雨を一身に浴びた

その花は


誰かの生き血を啜った

ただ、生きるために


毒を纏った

ただ、その身を守るために



何よりも愛に焦がれ、誰よりも愛に嫌われた

その罪なき花が背負う深き業



触れた者を狂わせ

命まで浸透する

愛という猛毒


触れた者も、触れられた花自身も

二度と陽の光に愛されることはない


それでも私は

その儚くも妖艶な姿に魅惑されるように

花へと近づいてゆく

破滅への道を一歩、また一歩と歩んでゆく


温もりを伝えたかった

その猛毒ゆえに孤独に震える花に

愛を伝えたかった

あまりの美しさゆえに忌み嫌われた花に


儚く散ってしまいそうな

その花をそっと抱きしめる


震える花の流した涙が私に触れる


焼け付くような毒の痛みと共に

愛、憎悪ともつかぬ激しい感情が全身を蝕んでゆく


この感情に名があるなら、何と呼ぶのか


狂ってゆく感覚も

身を引き裂くような痛みさえも、恍惚へと変わる


私の全てが壊れてゆく

花の全てが朽ちてゆく


互いに始めからわかっていた

愛してしまえば、お終いだと


降り止まぬ黒い雨の中


そのつがいは

冷えていく体で抱き合ったまま


力なく微笑み合い


『永遠』へと逝立った。


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