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第7話 マリンシルの変貌

間違って投稿しておりました。

本当に申し訳ございません……

「そ、それじゃあ直ぐに宿代を払わせて貰いますね!」


「悪いな、嬢ちゃん……」


「いえいえ!気にしないでください!」


必死の説得で、なんとかジョセフさんに代金を受け取ってくれることを認めさせることができた私はジョセフさんがまた意見を翻す前にと、急いで代金を支払うことにした。

この状況でジョセフさんの好意に甘えるなんて選択肢は私にはない。

確実に罪悪感による胃痛で酷い目にあう。

……いつか前任者にあったらジョセフさんに居場所を知らせて、殴って貰おう。


「これでお願いします!」


そして私はそんなことを考えながら、ジョセフさんへと国際的に流通しているある大国の金貨を手渡した。

けれどもその瞬間、私の手渡した金貨を見たジョセフさんの顔には驚愕が浮かんだ。

何故ならその金額は私たちが数日宿屋に泊まるだけには充分過ぎる、いや過ぎたる値段なのだから。

何せこの金貨は世間では大金貨と呼ばれるもので、城さえも購入できる価値がある。

だが、今までジョセフさんに迷惑をかけていたことを考えれば、決して過分な報酬ではないだろうと私は判断していた。


「いや、ちょっと待て!」


「気にしないでください!これは今までの分も含めた正当な報酬ですから!」


だから私は私の差し出した金貨を見て、驚愕したジョセフさんの姿を見ても、金貨をしまうことはなかった。

強引に金貨をジョセフさんへと差し出し、手に握らせようとする。

それ程の迷惑を私達、正確には精霊達はかけていたのだから。

それに、もっと小さな値段にして欲しいと言われる方が今の私には困ることだった。


……何せ、私のアイテムボックスにはこの大金貨以外入って無いのだから。


城一つを変える価値のある大金貨、普通に考えてそんな金額に対するお釣りなんて庶民は持っていない。

その上、この大金貨を両替するには一体どれ程の手続きが必要になることか。

最悪、マーサルに代金の支払いを頼むことはできるけど、ジョセフさんに代金を受け取ってくれることを説得したのが私なこともあり、この状況で支払いをマーサルに任せるのはあまりにも情けなすぎる。


………うん、実は私もジョセフさんへと宿屋の代金を払おうとマジックバッグに手を入れた瞬間、後悔していたのだ。


あれ、今私のマジッグバックの中に入っているのて、庶民には扱い辛い大金貨だけじゃないかと。

その瞬間、私は凄く後悔した。

幾らロマンがあっても、マジッグバックの中に大金貨だけを詰め込んでおいた過去の自分の馬鹿さと、そのことを今まで思い出さなかった自分の記憶力のなさに。


「だから、ちょっと待てと……」


「お願いです!受け取ってください!」


「何でそんな必死に金貨を押し付けてくる!?」


……だけどもう後には引けない。

だから私は、また何か失敗したな、みたいな呆れた視線をこっちに向けてくるマーサルを無視して、ジョセフさんに何としてでも大金貨を受け取らせようとする。


「嬢ちゃん、その金貨はマリンシルでは使えない!マリンシルは今紙幣性に移行しているんだ!」


「………え?」


………けれども次の瞬間、ジョセフさんが告げたその予想外の言葉に私は動きを止めることとなった。







◇◆◇







「嬢ちゃん達は今のマリンシルのことを知らないのか……?」


自分の言葉に驚愕を隠しきれない私達の姿を見て、ジョセフさんはそう言葉を漏らした。

……けれども、そのジョセフさんの言葉に反応できない程の衝撃を私は受けていた。


「一体マリンシルに何が……」


衝撃のあまり私は自分でも気づかぬまま、そんな言葉をぽつりと漏らす。

私は決して政治に詳しいわけでもない。


……けれども、そんな私でも今のマリンシルでの貨幣の変換が明らかに異常なことだけは理解できた。


何せ余程のことが無ければ、普通貨幣の変換など起こなわれない。

そもそもマリンシルは貿易都市であり、貨幣を変換し固定することにはデメリット以外生まれない。


……なのにジョセフさん曰く、マリンシルでは貨幣変換が行われており、現在のマリンシルは今まで栄えていたのが嘘のように衰退している。


「……すまない。私には状況があまり分からないのだが」


その時、困ったような顔をしたマーセルがそう声を上げた。

マーサルは今は私と共に旅に出ているとはいえ、精霊で人間社会のことには詳しくない。

だから先程のジョセフさんの言葉も、不便になった程度にしか感じていないのだろう。


「……あぁ、そうか。お前さんは精霊で人間界のことは知らないのか」


そして、ジョセフさんもマーサルの態度に話についてきて入れていないことを理解する。


「……つまり、やっぱりどっちもマリンシルの現状については何にも知らないと言うことか。てことは、嬢ちゃん達は貿易都市だった頃の噂を聞いて、マリンシルに来ちまったてことか……」


「はい……実は……独立したことだけは聞いたことがあったのですが」


「そうか……それは災難だったな……」


それから、ジョセフさんは私の言葉を聞いて、憐れみのこもった目を私達へと向け口を開いた。


「だったら、色々と不便だろう?そこまで話し上手なわけじゃねえが、俺が知る限りのマリンシルの現状を教えてやるよ」


そしてジョセフさんが告げた言葉に私とマーサルは同時に安堵の息を吐いた。

何せジョセフさんが教えてくれると言うマリンシルの現状は、現在私達にとって一番重要となるものなのだから。

だから私達はジョセフさんへと感謝を込めて頭を下げた。


「あ、ありがとうございます!」


「感謝します!」


「気にするなよ。俺も今は精霊の宿屋なんだ。だったら精霊様の役に少しでもたたないといけないだろう」


けれども、その私達の感謝にジョセフさんは気にするなと笑った。

大したことなんて無いと言わんばかりに。

それからジョセフさんは私達を側にあったテーブルへと案内して、次の瞬間ガラリと雰囲気を変えて口を開いた。


「……今から話すのはこの数年の間に起きたマリンシルの変貌についてだ。数年前、栄華の絶頂にあり国家にさえも匹敵するという経済力を誇った貿易都市マリンシルはある一人の人間ととの取り巻きによって最悪な形に変貌した。そして今ではこのマリンシルはこう呼ばれている。


ーーー 独裁国家マリンシルと」



ジョセフさんの語るマリンシルの変貌、それはその言葉から始まった……







◇◆◇







かつて私はマリンシルは国家と匹敵する経済力を有し、数年のうちに独立するかもしれないと話した。


けれどもジョセフさん曰く、大国ラミスタリアの一領地に過ぎなかった当時のマリンシルの上層部の人間は、別に独立を考えていなかったらしい。


確かに貿易都市マリンシルはラミスタリアに納税しなければならなかった。

けれどもその税収は決して過剰なものではなかった。

いや、それどころかラミスタリアの同盟国の特産品がマリンシルでも扱えるようになったりと、総合的に見ればプラスになる良好な関係を築いていたらしい。

だからこそ、その当時マリンシルには改革も独立も一切必要無かった。

何せそれ程の栄華を誇りながら、未だ貿易都市マリンシルは成長途中だったのだから。


………けれども、現在マリンシルで独裁者として振る舞うある男がマリンシルにやって来たことで、マリンシルの栄華に暗雲が立ち込め始めることとなった。

次回は水曜日に更新させて頂く予定です!

……間違えてしまい、申し訳ないです。

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