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罪人の末路 Ⅱ

1度致命的な内容を書き忘れてしまっていたので、修正して再度投稿させて頂きました……本当に申し訳ありません。最後、ルシア達の結末と、民衆たちがカラムがルシアに怒りを抱いたと判断した理由を付けさせて頂きました。

カラム目線です。

「何で私がこんな場所に閉じ込めれなければならないのよ!私は聖女なのよ!」


「そうだ!私は王太子だぞ!」


……それは王宮内に作られた地下牢。

広場での騒ぎが終わり、一件の罪人達が捕らえられているその中からは、そんな第一王子とルシアの叫びが響いていた。


「全てルイジアの罠なのよ!」


「マラサル、あいつは王太子の器ではない!私こそがこの国の国王にふさわしい!」


地下牢には王子とルシアだけではなく、貴族達も捕まっていた。

彼らはルシアや王子と違い、自分が何をしたのかを理解していた。

だからこそ、地下牢に入れられた当初は自分達は処刑されるに違いないことを悟って震えていたが……


「今助けてくれたら、私が直々に褒めてあげるわよ!」


「そうだ!私の直々の部下にしてやる!」


……けれども今は、全く状況を理解せず、警備兵に対して喚き散らしているルシアと王子の姿に唇を噛み締めて後悔に震えていた。

喚き散らしている2人だが、王子はともかくルシアは状況が分かっていないわけではない。

……だが彼女は、自分はルイジアに洗脳されていて、全てルイジアのせいだという超理論を地下牢で叫び始めたのだ。

そしてその2人の姿に貴族達は今更ながらに、自分達は致命的な失策をしたことに気づいたのだろう。


……幾ら聖女の家系、王族という家柄を有していたとしても、この2人は絶対に協力を求めてはいけない人間だった、ということに。


「何で、あの落ちこぼれがあんなちやほやされているのよ!」


「私の誘いを断った無礼な女であるのに!」


しかし、ルシアと王子は元仲間だった人間達にそんなふうに思われていることなど考えもせず、怒鳴り続ける。


「……その落ちこぼれからルイジアがここまで来るのにどれほどの犠牲を払ったかお前は知っているのか?」


「……え?」


ーーー そして、その言葉にとうとう私は我慢の限界を迎えてそう声を上げていた。


本来ならば誰も入ることができない地下牢、それもルシア達が閉じ込められている場所に突然現れた男に対して、警備兵が警戒心を抱き、手にした武器をこちらに向けるのがわかる。


「ーーーっ!」


だが、私が無言で神気を向けた途端、警備兵達の顔は青ざめた。

……そう、彼らは本能的に悟ることになったのだ。

ここにいる私はただの人間ではない、いや、そもそも人間ですらない。


「し、神獣様!?」


そう、世界最強の存在であることを。

そして神獣に武器を向けてしまった警備兵達の顔から血の気が引く。


けれども、普段ならともかく今の私にはその彼らの様子に対して気を払うことはなかった。


「あぁ、ようやくこの怒りをぶつけられる……」


地下牢の中で呆然と、口を開いて惚けている人間達を見て私の口元に、憎悪のこもった笑みが浮かぶ。

そしてその私から漏れる神気に地下牢の中にいた偽聖女、ルシアは私の正体を看過する。


「り、緑龍カラム!?」


「っ!?」


その瞬間、地下牢の中にいた人間のほとんどはようやく悟る。


ーーー ルイジアを不当に貶めた自分達に激怒した神獣カラムが、この場に降臨したことを。








◇◆◇








逃げ場のない状況で現れたカラム。

その明らかに激怒した姿に、貴族達はもはや言葉さえ発することができずに気を失う。

そしてその中の1人には王子も含まれていた。

頭の中身がない王子でさえ、自分がどんな状況であるかを理解できたのだ。


「カラム!貴方はルイジアの洗脳を逃れたのね!」


……けれども、その中で唯一ルシアだけは顔を輝かしてそう口を開いた。

そしてルシアが告げた言葉、それは全く意味のわからない言葉だった。

何故、こんなことを思えたのか一度ルシアの頭の中身を見てみたい衝動にこの私がかられたほどだ。


「……そんな興味は無いな」


……だが、態々そんなことをしたいと思うほどに私はルシアに対して興味を抱いていなかった。

さらに確かにルシアの頭は謎だが、その考えていることが分かったとしても嫌悪感以外覚え無いだろう。


「ひっ!?」


「……貴様達も精霊達に恨まれていればまだ明るい運命だっただろうに」


だから私は激情のままにルシアへと怒気を向けた。

その私の怒気を受けたルシアはあっさりと白目を剥き意識を失う。

そして気絶した罪人達を回収するために地下牢を壊しながら、私は凄みのある笑みを浮かべた。

確かに生きたまま精霊樹に埋め込まれる、それは酷い拷問だろう。


ーーー けれども、それは私が精霊達に教えた拷問の方法の中で一番酷いものであっても、ほかに私が知っている拷問と比べれば中程度のものでしか無かった。


目の前でのびている人間をどんな目に合わせてやろうか、そんなことを考えながら私は地下牢を後にする。

そして最後、地下牢を後にする前に私はぽつりと言葉を漏らした。


「……お前達は後悔して、恨み、嘆き、叫びながら生きろ」


……そして本来ならば、明るい意味を有する生きるという言葉。

けれども、その時私が発した言葉には聞く人間の背筋を震わせる憎悪が込められて……


「ひぃ!?」


……全く関係ないはずの警備兵が押し殺した悲鳴を漏らす。

そしてその声が響いた瞬間には私の姿は地下牢から消えていた。





◇◆◇




そしてその後、アルタイラの民衆達がカラムの存在を目にすることはなかった。

ただ、カラムがよく好みいた場所に絶望に顔を引攣らせた貴族と王子、そしてルシアの姿があり、民衆達はルシア達がカラムの怒りを買ったことを悟った。

そのことでルシアに怒りを抱いた民衆達は後々、アルタイラでは神獣の怒りをかった愚かな人間達の喜劇、としてルシア達を語り継いでいくことになる……


……そして、その状況をルシア達本人が石の中から強制的に眺めさせられていることを知る者はいない。

次回エピソードで一章終了予定です!

そしてその後2、3話程度幕間を投稿してから二章に入る予定です!

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