第95話 無情。
リビングの窓から、朝日が差し込む。
森では小鳥たちがさえずり、花々は咲き誇っていた。
地獄の業火とは程遠い、爽やかな朝。
「おはようございます〜........エイトさん、その顔の跡どうしたんですか?」
「色々あってな。気にしないでくれ」
二階から降りてきたソアラは怪訝な表情を浮かべながら、テーブルに着く。
俺の正面では、既にリースが座っていた。
すっげー不機嫌そうに。
「なあ、そろそろ機嫌直せよ」
「..........」
まあ理由は明らかだけどな。
昨晩、俺が二度目のシャワーを浴びに行くと、既に風呂場にはリースがいた。
お互いに裸体を晒しちまったワケだ。
というか風呂入るんならそう言って欲しかったんだが......
「分かった、昨晩の記憶は消し去ろう」
「.......アンタが消しても、私にとっては一生のトラウマよ.......」
「...........確かに」
あー、外は爽やかなのに、なんで俺たち二人だけこんな険悪なんだぁ......
アルトはまだ寝てるし....呑気なもんだぜ....
「あら.....?エイトさん、リースちゃんと何かあったんですか.....?」
「めめめめめめ滅相もございません!!!」
フォーナさんコワァイ!!
久しぶりにその真っ黒な瞳見たわ!!
「.....ならいいですけど....はい、朝ごはんです」
「お....おう、いただきます....」
「いただきまーす」
「....いただきます」
瞳をいつもの暗さに戻し、俺、リース、ソアラの前に食器を並べるフォーナ。
サンドイッチか.....手が込んでるなぁ。
「うん、美味い」
「おかわりありますからね、どんどん食べて下さい」
ハム入りサンドイッチを頬張りながら、今日の予定を考える。
ダンジョンに入るにはまだ余裕があるし....何より、昨日のことがあるから、それはやめておいた方がいいだろう。
んじゃあ、今日はどっか遊びに行くか......?
「ああああああああああああっっ!!!?」
「うお!?どうした!?」
サンドイッチを食べながら、朝の静けさを切り裂いたソアラの大声。
びっくりした.....寿命は3秒は縮んだぜ.....
「食べ物、部屋にそのままでした!!は....早く帰らないと.......むぐ........ごちそうさまでした!!」
「お.....お粗末様〜」
サンドイッチを口に押し込み、椅子から立ち上がるソアラ。
荷物をひっ掴み、玄関に直行していった。
「お世話になりました!!ほら!!アルトちゃん帰りますよ!!!」
「お....お.......?」
「........帰っちゃいましたね」
ソアラは、玄関を出る前にこちらに一礼すると、アルトの腕を引っ張り、凄い勢いで走り去ってしまった。
まあ.....食材って大切だしなぁ。
「......じゃあ、三人でどっか出掛けるか?」
「あ、私仕事の時間です。それじゃあ二人とも、さようなら〜」
...............アイツ。
「...........えーと」
「...........なによ」
ホラァ、険悪じゃんかぁ。
まあ切り出した手前、今更引くわけにもいかんし....
「.......どっか行くか」
「.......そう」
そうってなんだよ。




