第94話 鉢合わせ。
「んで...なにしにきたんだよ?」
「や...ずっと寝てたから.....ね、寝れなくなっちゃって....」
「はぁ.....ココアでも入れてやんよ」
*****
とりあえず腹の上から退いてもらい、二人暗い廊下を歩き、リビングへと降りた。
生活音の無い、静かな部屋。
すぐそばの森でざわめく自然音しか耳には入らない。
「ほらよ、熱いから気をつけろ」
「あ、うん.....」
暖かいココアを淹れ、リースに手渡す。
俺もコーヒーでも飲むかな.....
「.....ん、おいしい」
「そりゃ良かった」
真夜中、特に言葉を交わすわけでもなく、二人飲み物を啜った。
ちなみに、俺は年中アイスコーヒー派だ。
「ね....ねぇ」
「ん?」
そんな沈黙を破り、リースが口を開いた。
言葉を濁しつつ、上目遣いでこちらを見上げて来る。
「きょ、今日はさ....迷惑、か、掛けたしさ....あの....ね」
しどろもどろになりながらも、リースはゆっくりと言葉を紡いでいく。
「と....とにかく....あ、ありがと....ね」
「........いいって事よ」
俺たち二人の間に、再び沈黙が訪れた。
ったく...今日はコーヒーが苦いぜ...
*****
「あ....ちょっと失礼....」
「...........ああ」
ココアを飲み終えたリースが、そそくさと部屋から出て行こうとする。
きっと小便だろうし、簡単な返事で済ませる。
一部だけ蛍光灯のついた部屋に、一人残された俺であった。
「.......ぷはぁ、もうちょいミルク入れとけばよかったな....」
自身のコーヒーの入れ方に文句を言いつつ、リースの帰りを待つ。
俺が今まで飲んだ中で一番美味かったコーヒーは、二年前にキナさんが淹れてくれたヤツだ。
あの味は感動だったな....豆がいいヤツってのもあるだろうが、あの薫りはプロの業だ。
..............遅いな。
「俺も目覚めちまったし、シャワーでも浴びてきますかぁ....」
グイーっと背伸びをし、風呂場に向かう。
特に娯楽の無いこの世界に来て、入浴は俺の嗜みの一つとなっていたのだった。
脱衣所に入り、服を脱ぐ。
おっと...タオルを用意しとくのを忘れずに....よし、オーケー。
「レッツシャワー......」
「んえ?」
風呂場のドアを開けると、一糸纏わぬ姿のリースが立っていた。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!???」
「ぎゃあああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!???」
短くてすいません.....




