第93話 わけがない。
「あー美味かった」
「すいません...私たちまでごちそうしてもらっちゃって....」
「お粗末様〜、気にしなくていいのよ?」
フォーナが作ってくれた夜食を平らげ、食後のお茶を啜る。
めちゃくちゃ美味かったな、あのパスタみたいなやつ。
「.....というかリース起きないんだが....」
「あら、照れちゃってるのかしら?」
「.....?」
フォーナってたまに訳分からんこと言うよな.....
まあ、俺が鈍いだけかもしれんが。
ふと時計を見ると、もう日を跨ごうという時刻だった。
「フォーナは今日泊まってくし.....お前らもどうだ?」
「えっ!?私たちですか?い、いいですよ....」
「おー.....」
ソアラの遠慮がちな姿勢とは逆に、アルトは嬉しそうに俺に飛びついてきた。
「アルトは素直にだぞー。それにリースがあれじゃ帰れんだろ?」
「う........お、お世話になります.....」
ふはは、観念したかソアラ。
俺のしつこさは異常だぜ。
*****
ソアラ、アルト、フォーナの三人の後に、俺もシャワーを浴び、就寝の準備をする。
「二階の奥の部屋、客用だから布団敷いといてくれ。俺はリース運んでくから」
「わかりました!アルトちゃん、行きますよ!」
「ん.....」
風呂上がりのポカポカした体のまま、二人は勢いよく二階に駆け上がっていった。
服はフォーナが置いていってくれた以前の物だ。
まさかまた役立つ日が来るとは思っても見なかったけどな。
「それじゃあエイトさん。私たちはどこで寝ますか?」
「俺は俺の部屋で寝るぞ?」
「えー、一緒に寝てくれないんですかー?」
「幼兵供の向かいの部屋あるだろ」
「もう...エイトさんのいけずぅ.....」
なんとでも言いな〜、と手を振りフォーナを二階に送り出す。
さて、俺はリースを運ぶとするかな。
「よっ....と.....んん、やっぱ軽いな」
横抱きに持ち上げた瞬間、リースの体がピクリと動いた気がした。
*****
「うがー!!疲れたー!!」
ソアラとアルトの部屋にリースを運び込み、帰りにそのまま自室へ飛び込む。
はぁ〜ベッドが気持ちええ.....
このまま寝れそうだが、電気はちゃんと消しておかないと疲れが取れないからな。
「.......よし、おやすみ〜」
部屋の電気を消し、俺は一瞬で夢の中にダイブした。
*****
「........う.......う〜ん」
腹部に感じる重みで目を覚ます。
なんだ....金縛りかぁ....?
「ちょ.....ちょっと....」
「うんん.......」
どうやら誰かが俺の腹に乗っかっているらしい。
霞む視界と暗い部屋のせいで誰だか分からないが.....
どうせ夢だ、早く寝よう......
「ちょ!寝るなっ!」
「あいたぁ!?」
そして突如飛ばされる、理不尽な平手打ち。
一気に戻った意識のお陰で、俺に跨っていたヤツの姿をはっきり捉えられる。
「.......リース!?」
「あああ!大声出すなっ!」
なんと、リースが眠っている俺の上に乗っかっていたというのだ。
.............いや、まさかな。
あ、そういう訳じゃないか、なんか深い理由があってやった事だろう.....
「....人生相談とかは受け付けてないぞ」
「なにそれ」
......まあお前は俺の妹じゃないしな。




