第91話 参上。
「で....出た....」
自身の手から発射された魔法に、目を見開き呆然とする。
そりゃ....あんなに練習して出来なかったのにね.....
火事場の馬鹿力ってやつだろうか。
「やったの....?」
幹の部分に火の玉を受けた木は、根の動きを止め、沈黙していた。
心なしか、四肢に巻きつく根の力も緩んだ気もする。
振りかぶられた鋭い根が下される事はなかったが。
「これ....取れないっ...!」
絡みついた根を振りほどこうと、空中で必死にもがいていたその時。
『..........』
微動だにしていなかった鋭い根がピクリと動き、瞬間、リースに向かって振り下ろされる。
一瞬の事で、反撃もできず、根の先端はリースの眼前に迫った。
「えっ....」
リースが死を覚悟し、鋭い根が突き刺さる直前、鋭い根が根元から切り落とされ、地面に落ちた。
『....!?』
「............え」
*****
「ったく....お前はいつもこうなんだから....」
「あいたっ!?」
触手みたいなのを切り落とし、リースを地面に落とす。
ん....なんだこの木......モンスターか?
とりあえず切り倒しておくか.....よいしょっと。
「え....エイト!?どうしてここに....!?」
落下して痛めたであろう箇所をさすりながら、困惑の眼差しを向けてくるリース。
うーん....どうして助けに来た、か。
「仲間だから、かな」
「........なかま....」
「いいか、俺はお前らを大切にしたいと思ってる。煩わしく思ったことなんてねぇ。それに....」
「.....それに?」
動かなくなった木の幹に残った焦げ跡に目を向ける。
「フレアだって使えるようになってんだ。役立たずなんかじゃねぇよ。だから、勝手に勘違いしていなくなんじゃねぇ」
「うん.....うん.....ぐすっ.....うう....うわあああああああああん!!!」
「よしよし」
泣きじゃくりながら俺に飛びついて来たリースを優しく受け止める。
いくら強がっていても、まだ子供だ。
「怖かったろ?もう一人で来るなよ?」
「わたし....わたしわかってたのに.....エイトは....そんなこど....思ってないっで....ひっぐ....」
あー.....ズボンがぁー..........まあいいか。
どうやら、他のモンスターが湧き出したみたいだしな。
「うし、ちょっと失礼」
「えっ.....えっ!?」
嗚咽を漏らすリースの両脇に手を回し、肩車させる。
周りを見回すと、他の木々が全て動き始めていた。
[デビルウッド]ランクE
平均レベルは600ってとこか.....新種だな。
「リース、捕まってろよー」
「う....うん」
リースが俺の頭をしっかり掴んだのを確認し、両腕を前に突き出す。
前に6体....後ろに8体か..,,,
「《ギガフレア》ッッッ!!!」
続けて二発、前方と後方に巨大な火の玉を放つ。
火の玉は暗闇を照らしながら、射線上全てのものを焼き払いながら飛んでいく。
あたりは一瞬で炭だらけって寸法よ。
「終わった」
「あんた何者よ......」
はいはい、世界を救った元勇者様ですよっと。
「よーし、んじゃ帰るか」
「えっと....帰るってどうやって......ちょちょちょ!?この高さをジャンプするの!?待って待って天井も見えないのよ!?素直に階段を探せばアアアアアアアアアアアアアアアアアアっっ!!?」




