第9話 傭兵、幼兵。
お待ちかね、幼兵登場です。
「あぁ....チケット?」
駆けつけて来た係員に聞き返す。
「はい。ダンジョンに入るには入場チケットが必要となります。チケットを持たずに入場しようとした場合は...」
ああなるってか....
それにしてもやり過ぎだろ....
「...で、チケットってのはどこで?」
「ええ、〈素材換金所〉のすぐ隣です。行けば分かりますよ」
「はぁ...わかった、ありがとよ」
立ち上がり、一礼する係員に背を向けて歩き出す。
向かうは、〈エントランス〉の右手、換金所への通路だ。
「ったく面倒だな...」
「旅のお供に傭兵はいかがですか?」
「あ?」
突然後ろから声を掛けられた。
反射的に反応してしまったが、どうせまた傭兵の売り込み....
「傭兵、どう?私たち3人で。安くしておくわよ?」
「....?」
俺の背後に立っていたのは、傭兵とは到底思えない、幼い3人の少女だった。
最初に俺に声を掛けて来た赤い髪の少女の後ろに、もう2人同じ位の大きさの少女が立っている。
「なんでこんなとこにガキがいるんだ?」
「あっ!アンタ今ガキっつったわね!?私たち舐め...」
悪いが相手にしてる暇ねーんだよー。
早くチケット手に入れてダンジョンに潜んなきゃな。
俺は足早にその場を立ち去る...
「ちょっと!待ちなさい....って!」
事が出来なかった。
3人の少女に服の袖を思いっ切り引っ張っられて足止めされる。
しつこいなこいつら....こうなりゃ少し乱暴だが...
「もうっ!!待ってってば!!」
「話を...聞いて下さいっ!」
「.....っ」
「....なんなんだよ...お前ら」
必死で俺の事を引き止めてくる3人。
なんだよ...振りほどきにくいじゃねぇか....
まためんどくさいのに引っかかったなぁ....
「分かった、分かった。いいから離せ。服が伸びる」
*****
換金所横、新規【探求者】受付所の行列に並ぶ。
...何故か少女を3人連れて。
「....とりあえず自己紹介するわね。私はリース・サレクト」
赤いショートの少女が話を紡ぎ始める。
最初に声を掛けて来たやつだな。
「えっと...ソアラ・ルルサイトです...よろしく...です」
青い髪を短いツインテールにした気弱そうな少女が続ける。
「........アルト・ロード」
「お...おう」
長い銀髪の少女は簡潔に一言のみ。
ヤベェコイツだけ目力半端ねぇ。
「...ああ、俺はゆ.....皐月原エイトだ」
危ねぇ。
癖で勇者って言うところだった...
あんまり人に知られたくないし、これからも俺が勇者だという事は秘密にしていくつもりだしな。
「で...?お前らホントに傭兵なのか?」
「ホントよ。だからアンタに声かけたんでしょ?」
「傭兵ってよりは、幼兵 って感じだがな」
「アンタっ!今なんて言った!?怒るわよっっ!?」
「リースちゃんっ、落ち着いてっ」
「.......ぼー」
この時の俺は、この幼兵3人たちとの出会いがどれほど大きなものだったのか、知る由もなかっただろう....
幼兵やっと出せましたなぁ....