第89話 続、捜索。
「..........う」
全身の痛みに呻きながら目を開くと、巨大な空間が広がっていた。
キーパーエリアの比ではない程大きいこの空間は、壁どころか天井でさえも視認することができない。
「ここ.....どこ?」
そうは言ったものの、自分でもよく分かっているだろう、ここはフロア5だ。
そもそもなぜこの高さから落ちて自分は生きているのか。
それは、自身の後ろに佇む一本の木が物語っていた。
「これに引っかかって助かったのね......いっつ....」
体を起こそうとすると、電撃にも似た痛みが全身を襲った。
木に助けられたとはいえ、あの高さから落ちたのだ。
それ相応のダメージは残っているだろう。
「確かポーションがまだ......あ....」
少しずつ、必死に体を動かし、バックパックへと手を伸ばす。
中を開くと、二つあったはずのポーションは一つになっており、バックパック内はガラスの破片と大量の液体で濡れていた。
どうやら落下時の衝撃で、一つ割れてしまったらしい。
「今はこれを飲むしかないわね.......」
この状態では動くことすらできない。
全快は見込めないが、虎の子であるポーションを使うしかないだろう。
「ぷはぁ........まずまずね」
全身の痛みが和らいでいくのが分かる。
リースはゆっくりと立ち上がり、辺りを見回した。
どこまでも続く、巨大な草原。
しかしどこか薄暗く、不気味な雰囲気が漂っている。
風も無いのに、所々に佇んでいる木々の葉が揺れた。
「なんか怖い.......早く上に上がった方がいいわね....」
上へ続く階段を求めて歩き出すリースの後ろで、木々が妖しくざわめいていた...,,
*****
「毒....毒ううううううううううううッッッ!!!!」
走って、走って、たまに切り倒して、また走って。
とりあえずこのフロアから早く抜けたい....!
「邪魔邪魔邪魔どけええええええええッッッ!!」
道を塞ぐ[パープルジェル]の群れを切り裂く。
俺に細切れにされた[パープルジェル]たちは無残に四散し、その際に体液が飛び散り....
「ぎゃああああああ目に入ったアアアアアアアアアッッッ!!!!」
なんだよこの地獄!?
もうリース助けにきたのかただ苦しみにきたのかワカンねぇよ!!
「アアアアアアアアアめっちゃシミルウウウウウウウウッッッッ!!!」
「な...なんだアイツ!?ば...バケモノおおおッ!?」
後にこの俺の姿は、「フロア3の化け物」として噂される事になるが、それはまた別の話。




