第87話 成功者。
家の脱け出し、一人ダンジョン探索。
フロア5までしか行かないって言うのは結構見栄があったんだけど....
「案外いける....?」
フロアキーパーのいる場所は避け、下に降りていく。
フロア1は割と簡単に抜けることができた。
次は....走り抜けるしかないわね...
「はぁ...はぁ.....」
追いかけてくる石たちを振り切るようにして、割と難なくフロア3に到達してしまった。
ザコモンスターもあまり相手にしていないからかもしれないが。
乱れた息を整えつつ、私はフロア3の通路を突き進んで行った。
モンスターを倒す為、素材を集める為、私の力を証明する為。
そして、エイトを見返す為。
得体の知れない何かが、私の体を突き動かしていた。
*****
クソ、クソクソ。
早くダンジョンに行ったリースを助けに行かないといけないのに.....
「.......いつまで並べばいいんだ.........」
勢いよく家を飛び出してきたモノはいいものの、行列という社会のルールには逆らえない俺であった。
....そうか、アイツ昼間はずっとここで並んでたんだな....?
通りでそこら中探してもいないワケだぜ。
「.......あ、エイトさん?」
「え...あ、いつもの...」
トントン、と肩を叩かれ、後ろを振り向くと、いつものふくよかな男性が佇んでいた。
ただ、いつもと違うところが1つ。
ついこの間まで普通の装備だったというのに、今日の装備はガッチガチの高級重装備だった。
重そうな分厚い鎧に、それからはみ出すほどの大きさの大剣を背中に背負っている。
「うお.....随分ゴツい装備っすね....」
「ええ、腰が治ったもんで、最近少し頑張ってしまいました」
そう言って恥ずかしいそうに頭をかく男性。
いや、頑張ったってどんだけだよ.....
「本当に、エイトさんには感謝ですよ」
「いやあ、大した事してないっすよ....ところで、この行列どれくらい続きますかねぇ....?」
会話の途中に、行列の先を見る。
まだまだ行列は続き、販売所の影は見えなかった。
「おや、急ぎですか?」
「ええ....ちょっと緊急事態で....」
まあこんな事この人に言ってもなんも変わら....
「でしたら、これをどうぞ」
そして、ぴらりと俺に差し出される一枚のチケット。
「え....チケット.....ええええええええ!?」
「ははは....実はチケットは買い溜めする派でして.....受け取って下さい」
さらに俺に近づけられるチケット。
く....俺の良心が反対しているが、背に腹は変えられない...
「ありがとうございます.....また、ケガでもしたら言ってください。すぐ治しますんで」
「ははは、ではまたその時に」
俺はチケットを受け取り、列から離れた。
エントランスに向かうとすると、後ろから一声。
「あ、フロア5以上に行くんだったら気を付けて下さーい!急にモンスターが強くなるのでー!」
「......マジかよ!?」
こりゃあ本格的に急いだ方がいいな。
俺は通路とエントランス内を行き来する人々の間をすり抜け、素早くダンジョンに突入した。
リース、死んでたりすんじゃねぇぞ....




