第84話 すれ違い。
「そしたらアイツ、私たちは来るなって」
「....で、リースちゃん怒っちゃったのか」
エイトの自宅、いつもの位置に座ってテーブルにつく。
私が今抱え込んでいることを、フォーナさんは静かに聴いてくれた。
「でも...それはエイトさんなりの心配だと思うけど?」
「そんなの....あんな回りくどい言い方しなくていいじゃない」
人を斬る感覚は覚えるなって。
エイトの言葉が頭をよぎった。
「あー....リースちゃん、あの事知らないのかぁ....」
「あの事?なにそれー」
「ただいまー」
私がフォーナの一言について追求しようとすると、玄関のドアが開く音とともに、エイトの声が聞こえて来た。
*****
「またお前は勝手に上がり込んで....って....リース?」
レシュアに送られて家に帰ると、いつも通り玄関の鍵は空いており、中にはフォーナとリースがいた。
テーブルを挟み、向かい合うようにして座っている。
「........」
「........帰る」
「あ...リースちゃん....」
不機嫌そうなリースが席を立ち、俺がいる方、玄関に向かって歩いて来る。
ただ、廊下には俺が立ち塞がってるので、当然易々と通れはしない。
「どいて」
「やだ」
俺の眼下に立ち、睨みを利かせて来るリース。
ただ、こっちだって引き退っちゃいられない。
「どけって言ってるのよ」
「リース、話を聞いてくー」
「うるさいッ!!!!」
「.......わお」
突然大声を出したリースは俯き、肩を震わせ始める。
「どうせ...どうせ私たちなんか役に立たない傭兵だって思ってるんでしょ!?」
「違う。いいか、聞ー」
「違わない!!だったらなんで私たちを連れてってくれなかったの!?足を引っ張るからでしょ!?」
俺の方を向き、大声でまくし立てて来るリース。
その瞳は、じんわりと潤んでいた。
「だから違うっての」
「うるさいどけッ!!」
リースは俺を突き飛ばし、玄関から走って出て行ってしまった。
倒れた俺をフォーナが優しく起こしてくれ、二人テーブルを挟んで腰を下ろした。
「エイトさん、話はもう聞いています」
「ああ....。お前なら分かるだろ、俺がアイツらを連れて行かなかった理由」
「「盗賊殺し」、の話ですか?」
「...........そうだ」
俺が幼兵供を連れて行かなかった理由。
それは、俺の過去の体験から出したものであった。




