第80話 寄付。
囚われの女盗賊、ルシーナとその部下たちを無事救出。
支部の宝を根こそぎかっさらって退散した。
いや、俺は一銭も貰ってないからな?
一応元勇者なんで。
「「外だーーー」」
「ふぅ....アイツら相当溜め込んでやがったねぇ」
地下通路から出ると、マウェクの部下二人ははしゃいでそこらじゅうを飛び跳ね、ルシーナは早速盗んだ宝を見定め始めた。
「親分、鑑定はいいんで早く帰りましょうよ」
「あー....それもそうだな....ちょっと寄り道していいか?」
「.....ですってよ」
マウェクが俺の方を向き、肩をすくめる。
わーったよ....ついていけばいいんだろ....
*****
盗賊団支部から歩いて数時間。
東の空は白み始め、もうすぐ朝を迎えようとしていた。
やれやれ...俺の休日はどうなっちまうんだ....
「ついたよ、今日はここだ」
先頭を歩くルシーナたちが立ち止まる。
気がつくと、俺たちは寂れた村の中心に立っていた。
「ここは?」
「クスカ村、最近盗賊の襲撃にあった村だ」
宝の入った袋を下ろしながら、マウェクが答える。
その言葉通り、村の家々は崩れかけ、畑などは全滅していたが、どうも盗賊のせいだけでは無い気がする。
「.....元々貧しい村だ」
「そうか...」
「ほら、ボサッとしてないでさっさと行くよ」
ルシーナが歩いて行くのを見て、慌てて追いかけて行くマウェクと部下二人。
仕方がないので、俺もその背中を追いかけることにした。
「とりあえずこっからだな....静かにしろよ....」
途中で二手に分かれ、マウェクと二人で村の外れに向かう。
一際ボロボロになった家のドアの前に、マウェクはそっと宝の一部を置いた。
「え、それいいのか?」
「ああ。俺らの仕事はこれだ。盗賊どもから宝を盗み、貧しい村に分け与える。....さあ、次だ」
その後も、余すところなく村の家を回り、玄関先に宝を置いていく。
その作業を数十分続け、村の中心でルシーナたちと落ち合った。
「終わったかい?」
「はい、こっち側は全部配ったかと」
その時、後ろから差して来た光に目を細める。
夜明け、白い光が村中を照らした。
「さ...村のヤツらが起きちまう。帰るよ」
「はい」
そう言い交わしながら、村から出て行く二人の持つ袋の中に、宝はほとんど入っていない。
そんな光景を見て、俺は何とも言えない気持ちを覚えるのだった。




