第80話 完了。
「あら、ドアが破れてる.....アナタは?」
「え、いや、あの.....は?」
「ヤダァ、支部長やられちゃってるぅっ!アナタ.....いい男ねぇ...」
「ハ!?」
あかん、このオカマについて行けん。
というかデカイ、このオカマ身長何センチだよ。
とにかくここのヤツだろうし、とっとと牢屋の場所聞いて向かおう....
「ああ...お前牢屋の場所知ってるだろ?早く教えろ、もしくは連れてけ」
「あらぁん...強引なの....ねッ!!!!」
「.....悪いな、不意打ちは通用せん」
近づきざまに、俺の腹部にパンチを打ってくるオカマ。
まあそんなの通用するわけないので、軽く片手で受け止めてやった。
「......やるわねぇ、気に入ったわよ。はい、ここの地図」
オカマは満足そうな顔で、拳を引っ込めると、反対の手から地図を差し出して来た。
「ん....えらくあっさりしてるな」
「だってぇ、ワタシじゃアナタに勝てないだろうしぃ......それに」
オカマは俺が地図を受け取るのを見届けた後、一拍おいて続けた。
「この支部はもう潰そうと思ってたところだしぃ?....まあ、そういうことよぉ、じゃ〜ねぇ〜」
意味深なセリフを残して、オカマはさっさと部屋から出て行ってしまった。
なんだアイツ....ホントに訳分からんヤツだったな...
.....そうだ、早く牢屋に行かないと....
「えーと....細かいなこの地図.....見辛い.......ああ、ココか」
牢屋の位置を確認し、部屋を飛び出す。
オカマの姿は見当たらなかった。
結構距離があるな.....急いで行くか....
*****
「チッ....クショオ......」
「ハハハ!!!見ろよ、コイツまだ立ち上がりやがる!!」
霞む視界、ふらつく体。
同格、またはそれ以上の男たちに囲まれ、勝てる訳がなかった。
俺を取り囲む男たちは武器を捨て、素手で俺をいたぶることを楽しんでいるようだ。
「リーダー!!もう逃げてください!!」
「そうです!!ホントに死んじまいますよ!!」
「マウェク......あのバカ野郎......」
うまく聞き取れないが、牢屋の中の部下たちが叫んでいる。
逃げてくれだとか言ってるんだろうが、俺は引くつもりは無い。
「もう一発だァ!!!」
「ぐっっ!!」
近くにいた男が、俺の脇腹を殴った。
たまらず、殴られた勢いそのままに地面に転がる。
クソ....骨....5本目だ.....
「あー.....なんかもう飽きちまったなぁ.....いいや、もう殺すか」
男たちは俺を見下ろすように詰め寄って集まり、時折地面の俺を蹴飛ばす。
全身が痛い、もう体が動かない。
ダメか....仲間一人助けられねぇのか.....俺は...
「じゃ、サヨウナラだ」
一人の男が、俺の首元目掛けて剣を振り上げる。
悪いな....お前ら、親分。
俺じゃ助けられなかったみたいだ。
「っっ.......!!」
覚悟を決め、目を閉じていたが、一向に剣は振り下ろされない。
それどころか、あれほどまでにうるさかった男たちの声がピタリと止んだ。
「おい、おーい、生きてるかー?」
「あ....ああ........エイト.....か」
必死こいて目を開くと、目の前には見覚えのある顔がぼんやりと。
周囲には、俺と同じ体勢で男たちが倒れている。
「こりゃまたハデにやられたなぁ....《メガヒール》....っと」
「お....おお!?」
痛かった全身が、動かなかった体が、身体中についた傷が一気に癒えていく。
《メガヒール》だと....!?
「アンタ....何でここに...?」
「そいつに頼まれてお前らを助けに来た。ほれ、下がってろ、開けるから」
俺を回復させると、エイトはすぐに親分たちの捕まっている牢屋の前へと向かっていた。
「エイト、ダメだ。カギが無いとその牢屋はー」
「え?なにか?」
「.......すげぇやつだよ、アンタは」
グミみたいに強化牢を曲げやがった。
こんな馬鹿げた話があるかってんだ.....
「アタシたちが、アンタらに何したか知ってるだろ?...何で助けるんだい?」
親分が怪訝そうな顔で、牢屋を曲げて行くエイトに尋ねる。
エイトは、顔色1つ変えず、一拍の間も置かず、答えた。
「お人好しなんだなぁ、俺って」




