第76話 潜入。
街を抜け、何もない草原を男と共に走る。
日はとっくに沈んで、辺りは暗闇に包まれていた。
「ところで...相手はどんなヤツらなんだ?」
「貧しい村ばかり狙って襲う、最悪なヤツらだ。しかも大量に支部を持ってるから色んな場所に現れやがる....クソどもさ」
しばらく走ると、暗闇の中にぽつんと1つの灯りが見えた。
「あれか?」
「ああ....クソ、見張りがつけられてやがる...」
近くにあった岩の陰に隠れ、敵地の様子を伺う。
見張りが二人に...小屋?
「支部ってあんな小さいのか?」
見張り二人が守っている木製の小屋は、一人暮らしするには十分かなぐらいの大きさしかない。
もしかしてめちゃくちゃショボい組織....?
「いや、あの中に地下に通じる入口がある。問題は見張りだ....アイツらをどう片付けるか....」
「ああ、なるほどね」
「ここから小屋まで遮蔽物のない地面だ。100メートルはあるぞ....クソ、親分がいれば...」
「はい見張り連れてきた」
「へ!?」
俺の両手には気絶した見張りの男が二人。
お前がへんな心配してる間に倒してきてやったぜ。
「流石だな....そいつらカギ持ってないか?」
「カギ.....カギ.....これか?」
気絶した見張り番の体を漁ると、銅製の小さなカギがポケットから出てきた。
「それだ。地下への入り口を開けるのに使える」
「んじゃステルス作戦といきますか。....あ、そういや名前聞いてなかったな」
見張り番二人を地面に下ろしながら男に聞く。
名前も分かんないままじゃやりにくいしな。
「俺はマウェク、マウェク・オートだ」
「そうか、よろしくな、マウェク」
互いに軽い握手を交わすと、遠くに見える小屋に向かって歩を進めていった。
*****
「だーーー!!ムカつくムカつく!!!アイツマジでムカつくーーーーー!!!!」
「リースちゃん、近所迷惑ですよ.....」
「.......」
狭い兵舎の一室。
二段ベットを1つ置いたらほとんどスペースの無くなるこの部屋に、私たちは住んでいる。
ちなみに、アルトは天井からハンモックを吊るして寝てたりする。
「っっもう!なんなのよアイツ.......」
「ホコリがたちますよぅ.....大人しくしててくださいよぅ.....」
「ねむ......」
ストレスを上手く発散できない私がイラついていると、アルトが御構い無しに部屋の電気を消した。
「明日はお休みですし、今日はゆっくり寝ましょう?おやすみなさい」
「......zzz」
「あ、ちょ...もう....!」
枕に顔を埋め、しばらくそのまま固まる。
エイトの冷たい、けど思いのこもっているであろう一言が思い出された。
人を斬る感覚を覚えるな、か.....
「ほんとに......なんなのよ」
暗い部屋の中で呟くが、返事は無かった。
はっきりとは分からないんですが、一応R15のタグを付けさせて頂きました。
突然で申し訳ありません。




