第73話 特訓特訓。
あれから1時間ばかし経った。
俺はずっと三人の所をぐるぐる回ってたんだが、もう疲れたらしいので一旦集合した所である。
「リースちゃん、ずっと素振りしてたんですか?」
「えっ、あ...そ、そうよ!」
はー、こやつ言いおるわい。
素振りはしなかった上に結局魔法も使えなかったんだからな。
まあ、こればっかしは才能だから仕方ないか。
「よし、んじゃあ次の特訓やるぞ」
「えー、まだやるのー?」
「個別の特訓しかしてないだろ?本番じゃチームワークが大切だ。という事でー」
立ち上がり、幼兵供の前に移動する。
「お前ら三人で俺にかかって来い!!」
「「ええええ!?」」
「......」
こいつら一人一人の力は微々たるものだ。
そして、それを補うためのチームワークを養う特訓、それが俺と3対1の組手だ。
「む...無理よ!絶対無理!」
「心配すんな、俺は攻撃しない、避けるだけだ」
「そ...それなら、まあ...です....」
「じゃ、森の奥でやるぞ」
ここでやると最悪民間人への被害が出かねんからな。
幼兵供を連れ、森の奥へと進んで行った。
*****
「よし......来い!!」
「たああッッ!!」
俺の掛け声と共に、リースが剣を振り上げ突っ込んでくる。
んん、遅いな。
「あ...あれ!?」
リースの剣を避け、素早く背後に回る。
それ相応のレベルが無いと見えない動きだからな、幼兵供には捉えられないだろう。
「ワンヒット」
リースの頭にポンと手を乗せる。
そこでやっと俺の位置に気付いたリースは、
「し...死ねッッ!!」
と、俺の首元あたりを一線。
危ねー....殺す気だったぞ、今。
少し離れた木の裏に移動し、リースの射程内から外れる。
「ふぅ....やっぱ木刀にしとけばよかったかな...?」
「............」
パパパパパパパパパァン、と俺の頭上から無数の魔法弾が撃ち出された。
咄嗟に回避し、攻撃主の背後に回る。
アルト....木の上にいたのかよ....気付かなかったぜ。
「ツーヒット」
「....!?」
木の下をキョロキョロと見回すアルトの頭にタッチ。
そのあとすぐに撃ってきたんで下に逃げた。
さて...後は.....?
「《フレア》っっ!!」
俺が地面に着地するとほぼ同時に、横から火の玉が飛んでくる。
ああ、ここに誘導するつもりだったのか、あいつら。
俺が思ってる以上に良いチームワークだったな....
「.....だが」
勢いよく飛んでくる火の玉を右手で受け止める。
うっへぇ...土ボコりが口に入った....
「ハァ...ハァ...誰か一発当てた?」
「んん.....」
「私の....当たりましたけど、エイトさん受け止めてた....?」
あいにくただの《フレア》なんて俺にとっちゃマッチの火程度だからな。
魔王の《ギガフレア》は....まあ、ガスバーナー位には熱かったな。
「なんだなんだ、もう息が切れたのか?」
「うへぇ〜...大人気ないッスねぇ、エイトさん」
背後からした声に振り向くと、何やら大荷物を担いだ技術者の姿があった。
「おうレシュア、こっちに来るなんて珍しいな」
「まあ、ちょっと。それよりエイトさん、組手ッスか?」
「おう、だけどまだ俺には全然敵わないな」
「それはそれは....実は自分、試作品持ってきたんスよ。傭兵さんたちに使ってもらっていいッスかねぇ?」
ああ、でかい荷物の正体はそれか。
まあ武器を変えたところで俺には到底敵わなだろうし、快く承諾した。
「はい、じゃあこれはリースさん、これはソアラさん、これはアルトさんにッス」
「よし、じゃあ第2回戦行くぞ?」
幼兵供が渡された武器を装備したところで、俺も再び臨戦態勢に入る。
さて、一体どんな武器を持ってきてくれたのかな....?
「来い!!武器が変わったところでお前らは俺には絶対勝てー」
「三人ともー!その武器には毒のオプションが付いてるんで、攻撃には全部毒が付与するッスよー!」
「嘘嘘嘘ゴメンやめてストップ!!まじストップ!!!ああああああ毒ううううううううう!!!!」
前言撤回、俺、こいつらに近づくことすらできなくなっちまった。




