第70話 デジャブ。
「はい、合計21万3400ゴールドね」
ニコニコしたおばちゃんが金貨たっぷりの袋を差し出してくる。
「よっしゃあ!!」
「「やったぁ!!」」
ただいま換金所。
リースは大丈夫だとは言っていたが、気を失ったのは事実なので今日は帰還してきたワケで。
なかなかに稼げた日だと思っている。
帰り道で大量にザコを狩ったのが大きかったみたいだな。
[ヴェノムドラゴン]の素材、[毒龍の蹄(小)]も5万ゴールドだったし。
「よし....んじゃ、次のチケット分は抜いて配分するぞ」
「わかってるわよっ」
ダンジョンの帰り道、幼兵供とこれからの分け前について少し話し合った。
その際、これから何度も一緒にダンジョン探索に行くから、という理由で、全収入から次のチケット分12万ゴールドを抜いた分で配分するという話になった。
「んえー.....はい、おまけは一人暮らしの力だ」
俺の手元には16万ゴールド残し、残りは幼兵共に渡す。
「ありがとうございます、エイトさん」
「あ....ありがと....」
「いいって事よ」
聞いた話だと、兵舎に住むにも家賃が必要だとか。
少し貯められる分渡しとかないと困るだろうし、これくらいはな。
「ん.....」
「お疲れさん、アルト。よし、明日は俺が特訓してやる。また10時に集合だ」
「また特訓.....仕方ないわね....」
「わかりました。それではエイトさん、また明日っ!」
幼兵供に予定を伝え、アルトとハイタッチして帰路に着く。
空は夕焼けに照らされ、オレンジ色の雲がゆっくりと漂っていた。
「......あ、買い物してこっと」
冷蔵庫の中身が残り少なかったことを思い出し、家とは反対の道、大通りへと向かう。
ここから一本入ると色々な店が構えられた道に出て、自営業のおっちゃんおばちゃんがとても良くしてくれるとてもいい場所だ。
「お!?エイトじゃんか!?久しぶりだなぁ!ほれ、コイツ持ってけ!」
「おー、ありがとー!」
通りかかった果実店のおっちゃんからリンゴが数個ぶん投げられてくる。
ここにはこういういい人で溢れているのだ。
「あ、エイトちゃん!!久しぶりねぇ!はい、お野菜持って行って!」
「エイト!!この肉持ってけ!!」
「お魚あげる!」
「パン渡しとくわねー!」
「これも!!」
「ほら!!」
「あ....ちょ.....み、みんなありがとう......」
ただちょっと溢れすぎな気がするけどな。
こうして、俺は懐を傷めることなく、両手いっぱいの食料をいただくことができた。
ホント、いい人たちだよな。
*****
「おかえりなさい、エイトさんっ」
「もう何も言わん。これ、冷蔵庫入れるの手伝って」
「お安いご用ですよ〜」
また家に上がりこんでいたフォーナと共に、食料を冷蔵庫に詰め込む。
あ、パンとかは別にね。
「ん.....なんかいい匂いが」
気づけば、家中に立ち込める食欲をそそる香りが充満している。
「ふふ.....今日はお鍋を作っておきましたよ」
「おお.....流石だ、で?」
「ジャイアントフグ鍋です」
「うっ!?」
な....なんだ!?
原因不明の頭痛がッッ!!!
「作ったの2回目ですけど、多分美味しいですよ」
「や....ヤメロォ!!!それを食わせるな.....うっ!?ぐわああああああああああッッ!?」
「エ...エイトさん!?エイトさーーーん!?」




