第65話 毒。
「え...?ど、どうしたのよ?」
あのモンスターを【観察】したエイトは、何かに取り憑かれたように震え始め、その場にへたり込んでしまった。
あの紫色のジェルに何かあるの.....?
「俺....ちょっと戦えそうにない.....アイツ毒あるから頑張ってくれ...,」
「ちょ...もう!私たちでやるわよ!!」
「わ、わかりました!」
「りょーかーい」
ガタガタ震えるだけのエイトに代わり、三人でモンスターに突撃していく。
『ぶる?』
「たあっっ!!」
その場から動こうとしないモンスターに剣を振り下ろす。
『ッ!』
「っ!?よけたっ!?」
ジェルのくせに...なかなか素早い動きをするわね....
一度下がって、体制を立て直そう。
「《フレア》ッッ!!」
『ぶるるん』
「は...速いですっ」
後からソアラが放った魔法でさえも軽くかわされてしまった。
このモンスター....見た目と違って侮れなー
「えい」
『ぶぶぶるりゅぶりゅッッ!!?』
「........ああ、さすがね」
いつのまにか敵の背後に回っていたアルトが、モンスターに向かってゼロ距離射撃を行った。
その柔らかい体は粉々に砕け散り、破片が私の腕に少し掛かってきた。
「....っつ...!?」
紫色の体液が掛かった部分に小さな痛みが走る。
ヒリヒリした火傷のような痛み....毒?
「リースちゃん、大丈夫ですか...?」
「つつ...大丈夫よ。エイトー、終わったわよー?」
モンスターの破片が塵になったことを確認し、エイトを呼ぶ。
....腕の痛みはもう引いてきたわね、かなり弱い毒だったみたい。
「おお...よくやってくれ.....ってリース!?お前腕に毒掛かったのか!?」
「え?ま、まあ。大丈夫よ、もう痛くないし...」
「《ギガヒール》!!《ギガヒール》!!《ギガヒール》!!《ギガヒー」
「ちょちょちょっとやめてよ!!!何してんの!?」
突如私の腕に最上級魔法を連発して来るエイトの顔をぶん殴って止める。
いきなり何してるのよ....右腕だけツヤッツヤになっちゃったじゃない....
「おうふ.....ほ、ホントに大丈夫か?」
「大丈夫って言ってるじゃない.....」
あのモンスターを見てからなんだか元気がないエイト。
フロアキーパーだって簡単に倒しちゃうようなヤツなのになんであんなのに怯えてたの....?
「....エイトさん、さっきからどうしたんですか....?」
「な、何でもない.......」
ソアラの質問に明らかに動揺し、しどろもどろになるエイト。
「.....いや、やっぱり言っておくか....」
「......どうしたのよ?」
「俺、実はな....」
エイトはその場にあぐらをかき、何かを決心した様な顔で話し始める。
一体、あの強いエイトにどんな秘密があるというのだろう....?
「毒が、苦手なんだ」




