第64話 フロア3。
「ちょっとエイト!!コイツら動かなくなっちゃったんだけど!」
キーパーエリアの中央に戻ると、幼兵供が動かなくなった石にボコボコ攻撃を食らわせている最中だった。
ここらに落ちたり砕けたりしている石は塵になっていない....
モンスターとして倒される前に、主人が倒されてただの石に戻ったって解釈でおけ?
「やめやめ、そいつらもうただの石だ」
「え?じゃあ素材は?」
「......諦めるしかないな」
「え〜.....」
俺だって悔しいさ。
稼ぐどころかノルマさえクリアしてないしな....
「と、いうワケだ。今日はもう1フロア降りるぞ」
「あ、エイトさん、私たちちょっと補給しますね」
「おう、終わったら言ってくれ」
*****
「準備完了ですっ」
「ん.....」
ポーションを飲んだソアラと、転換器を付け替えたアルトが俺も元に駆け寄って来る。
ちなみにリースはやる事がないのでずっと妖精をいじって遊んでいた。
「よし、そんじゃあ降りるぞ」
幼兵供を連れ、キーパーエリアの奥にある巨大な階段へと向かう。
冷たい空気が頬を撫で、俺たちは次のフロアに向かった。
*****
「なんじゃココ.....」
「びしゃびしゃです....」
フロア3に降りると、いつも通りの石レンガの通路に繋がっていた。
しかし、今回は少し別。
通路の天井からは水滴が垂れており、通路内に大小の水溜りを無数に作っていた。
水の影響なのか、通路内は少し青く見える。
「まあ....とりあえず進んでみるか。気をつけろよ、たまに深い水溜りがある」
「ああもう...ビショビショじゃない、気持ち悪いわね...」
足場をよく確認しながら、通路内を右へ左へ進んでいく。
しばらくすると、何やら色の違う水溜りらしきものが見えてきた。
「.....あれなに?」
「分からん。なんか紫だな....」
通路の先、俺たちの進んでいた方向の床に、何やら紫色の液体があった。
なんだアレ....明らかに水じゃないだろ....
「............つん」
「お前危険すぎッッ!!」
皆が謎の物体に警戒しているところ、アルトは一人先に進み、あろうことか謎の物体をシューターの先で突き始めた。
『ぶるるるんッッ!!』
「お.....?」
「おいおい....アルト下がれ!」
突如激しく波打ち始めた物体にやっと警戒心を持ったのか、アルトは俺たちの方に走って戻ってきた。
幼兵供の前に立つ形になって、謎の物体と対峙する。
「エ...エイトなら何があっても大丈夫よね!!」
「そ、そうです!どんなモンスターでもやってくれますよ!」
「ん.....」
「人任せかよ....まあいいけど」
『ぶるんッ!!』
一際大きく波だったと思うと、謎の物体は、見覚えのある形に変化した。
潰れた山状のフォルム、色は紫だが、それがどのようなモンスターなのかは容易にわかる。
「ジェルか.....新種だな.....」
[グリーンジェル]には様々な種類があるが、目の前の紫色のジェルを見るのは初めての事だった。
まあ大丈夫だ、そうそう敵になるやつはいないしな。
「エイト!弱そうよ!やっちゃって!!」
「頑張ってくださいー!」
「おうよ、ジェルなんか一捻りだぜ」
剣を抜き、正体不明のジェルに向かって構える。
....おっと、危ない危ない。
万が一って事もあるだろうし、一応【観察】しておこう。
〔パープルジェル〕ランクE レベル49
特性:毒
「....................」
「どうしたのエイト?」
「足がガクガクしてます....」
「........ん」
「ごめん....君たち......アイツ倒して.....」
「「「!?」」」




