第55話 組手。
「俺と特訓しててよく泣いてたよなぁ?エイト?」
「「「「泣いてたぞー!」」」」
「ううううううるさい!!レベル50がレベル6を思いっ切り攻撃したら痛いだろうが!!」
嫌な思い出をいきなり思い出させてくるデュアスと衛兵たち。
マジで....昔の事はトラウマだからやめて頂きたい...
「エイト......泣いてたの?」
「エイトさんが....泣いてた?」
「............」
なんか変な目で俺を見つめる幼兵供。
「いや、違う。いいかお前ら、早とちりするな、俺は泣いてなんか...」
「なー、【イーター】にボコボコにされて帰ってきた時もあったよなー」
「「「「あったあったー!!」」」」
「だまらっしゃあああああいいッッ!!」
腰の鞘から〔鉄の剣〕を引き抜き、衛兵たちに突きつける。
「俺は強くなった....ほら、いっぺんでいいからかかって来いよ。久しぶりに組手やろうぜ?」
ここまで言われちゃ俺も黙っていられない。
幼兵供に変なイメージ持たれても恥ずかしいし。
「お、エイト、やる気だな....まあ、俺も最初からそうさせるつもりだったんだが。お前ら!!次の訓練だ!エイトと組手してやれ!!」
「「「「はっ!!!」」」」
一斉に剣を引き抜き、俺を囲い込んでくる衛兵たち。
「あ、嬢ちゃんたち、こっち来とけ。巻き込まれたら危ねぇぞ」
「あ、はい...」
「エイトさん....また急に変なことを...」
「ん.......」
幼兵供はデュアスが安全な場所に連れて行ってくれたし、思いっ切りやれるな。
衛兵の数は....100人ぐらいか?
全兵士が揃ってるってワケじゃないみたいだな。
「おおおおおおッッ!!!」
俺を取り囲む衛兵の中から一人が飛び出し、俺に斬りかかって来た。
「よ...っと!」
「ッゲッフゥ!?」
相手の剣をいなし、横腹に蹴りを入れて吹き飛ばす。
一人目を皮切りに、衛兵供は一斉に俺に襲いかかって来た。
「おらあああああッッッッ!!!」
避けて、いなして、蹴り飛ばして。
あくまで剣は防衛手段、無数に飛んでくる刃を弾き返していく。
「ガフッッッ!?」
「オゴォッッ!?」
「あべしっっっっ!!」
「ひでぶっっっっ!?」
いつの間にか、俺を囲んでいた衛兵は一人残らずいなくなり、ほとんどが練習場の壁に埋まっていた。
楽勝楽勝、ただの準備運動レベルだぜ。
「いやー、エイト。お前強くなったなぁ」
パチパチと手を叩きながらデュアスが歩み寄ってくる。
幼兵供はまだ安全な場所からこちらの様子を伺っている。
「まあ、魔王倒したぐらいだからな。あと、俺が元勇者だっていうのはアイツらには秘密な」
「ハ、分かったよ。さて、アイツらはどうだった?」
「全然、話にならん。衛兵としては優秀なんだろうがな」
「言ってくれるじゃない、エイト」
俺とデュアス、お互いに歩み寄り、残り数メートルというところで足を止める。
俺は一度しまった剣を再び抜き、デュアスに向けて突きつけた。
「なんだ、まだ戦い足りないのか?」
「最初からそのつもりで来たんだろ。アイツらを置いて来たワケだし」
「成る程、お見通しってやつか.....」
肩をすくめながら、鞘から剣を抜き出すデュアス。
一般兵が使うものより少し大きめのそれを、俺の剣に合わせるようにして突きつけてきた。
「俺もまた、強くなった。勇者ってヤツの強さ、見せてもらうぜ」
「ああ。いくぜ......先生」
おっと、昔に呼び方が出ちまったな。
まあいい、久しぶりに強い相手とやれる訳だし。
デュアスがどれだけ強いかに期待だな。
「よッッ!!」
「ふッッ!!」
お互いに振り切った剣が擦れ、盛大に火花を散らした。
*****
「....ねえソアラ」
「どうしました?」
「今日、私たちが特訓しにきたのよね?」
「そうですよ.......多分」
「..........んん」
「..........暇ね」
「暇です」
「.......ひま」




