第54話 兵長。
「エイトーーーッッ!!よく来たーーーーッッ!!」
「うわッッふ!?」
疾風の如く現れ俺に突撃してくる、この国の王ことウォルナ。
てかパジャマかよ、クマさんかよ。
「ちょっ....なによその子供」
「むっ....?なんじゃお主ら..........ハッッッ!?エイト、お主まさか......」
「もうそのくだりいらないぜ」
ウォルナと幼兵供、四人の少女は互いに自己紹介を終え、俺は本題を切り出した。
「で、衛兵の訓練に参加させて貰いたいワケだが」
「もちろんいいぞ!むしろお主がしごいてやってくれ!」
「おう、ありがとなー、それじゃ行ってくるわ」
「あ!それと終わったら飯を出すから絶対戻って来い!」
はいはい、と手を振りながら幼兵供と城を出る。
えーと...訓練場は....城の東側だったっけか。
「あんな子供が王様なんて、世も末ね〜」
「初めて会いました....王様。ちっちゃかったですけど...」
「.........こども」
「お前ら鏡見たことある?」
自分を棚に上げてウォルナを子供扱いする幼兵供。
少なくとも国をまとめるだけの力はあるぜ、アイツ。
「ほれ、見えて来たぞ」
「えっと....訓練場?」
「そもそも私たちが参加してもいいんでしょうか....」
「気にすんなって」
門を潜り、五メートルほどの石壁に囲われた巨大な空間に入り込む。
むせ返るような熱気と、活気に満ちた衛兵達の声が溢れていた。
「おーおー、やってんなー」
二人一組で戦闘訓練を行う衛兵たちの間をすり抜け、訓練場の中心に向かう。
立ち上る砂煙の中、腕を組み、堂々と立つガタイのいい男の姿が見えてきた。
「よう、兵長」
「ん......ん!?エイト!?エイトじゃないか!!」
幾重にも鉄板を重ねたような分厚い鎧、鍛え抜かれた鋼の肉体、衛兵を束ねるこの国の衛兵長。
デュアス・ヴィアライトとの再会であった。
「久しぶり」
「ああ、久しいな....おい!お前ら!訓練は一旦中止、全員整列だ!!」
「「「はっ!!」」」
デュアスの一声で、訓練場の衛兵たちは一斉に戦闘を中止し、俺たちの前に一瞬で整列した。
素早く、統一された動き。
この国の衛兵たちの優秀さが伺えるな。
「お前ら見ろ!!懐かしいヤツが来てるぞ!!」
「おい...やめろよ....」
綺麗に並んだ衛兵たちに向かって声を張り上げるデュアス。
頼むから変な事言うなよ....幼兵供には元勇者ってこと隠しておきたいからな....
「帰って来たぞ!!あの 泣きベソエイト が!!」
「「「プフーーーーッッッ!!」」」
「What!?」