第51話 迂闊。
食事を終え、研究所に戻る。
あいにく街の散策は出来なかったが、人混みでかなり時間を食われたから丁度いいくらいだろ。
「レシュアー、戻ったぞー」
「あ、おかえりッス。丁度終わるとこッスよ」
ゴーグルをつけ、鎧をバーナーだかよくわからん機械で調整するレシュアの姿があった。
「お、良かった良かった。ほれ、タマゴサンド」
「おお、有難いッス!あとで頂くッス、もうちょっとなんで」
そう言いながら腰に巻きつけたベルトに取り付けられた大量の工具の中から、スパナとレンチを取り出し作業を続けるレシュア。
「りょーかい、じゃーちょっと待たせて貰うわ」
「手伝って欲しいッス....」
「自分....不器用ですから」
「えええ....」
*****
そんなこんなで十数分。
疲れ切った幼兵供がソファーでウトウトしていると、
「YES!!完成ッス!!」
「へっ!?はっ、何ッッ!?」
「な...何事ですかぁっ!?」
「.........ぐぅ」
そんな感じで叩き起こされていた。
俺とアルトはガッツリ寝てたんだけどもね。
「もう冷めてると思うんで、早速着けてみて欲しいッス!」
「う...うん、わかったわ....」
「うわぁ....ちっちゃくなってます....」
「おい、アルト起きろ、鎧出来たってよ」
「うにゅぅ........」
それぞれ自分たちのサイズに合わせられた鎧を身につける幼兵供。
リースの〔疾風の鎧〕はしっかり各部にフィットしてるし、ソアラの〔幻零鎧〕からは精霊の力が微塵も漏れ出されず加工されている。
時間が掛かると言っていた、アルトの〔ヴァウアーマー〕でさえも、しっかり不備の無いように調整が施されている。
「んん...パーフェクトだ、レシュア」
「感謝の極みッス」
「うお...装飾までしっかり縮めてんじゃねぇか....よく出来たな」
「そりゃあ自分、最高の技術者ッスから」
それ普通自分で言わんけどな。
事実だからなんとも言えん。
「で、着け心地はどうッスか?」
「うん....ぴったりよ」
「私もです。レシュアさんて...凄いんですね」
「.........いい」
「ハァ〜、良かったッス!」
さて、これで幼兵供の戦闘準備は万端になった訳だ。
まあ技術面では足りない部分もあるが、装備に関しては問題なしだろう。
「次のダンジョン探索が楽しみだな....」
「あ...エイトさん」
「ん?」
「稼いだお金、6万ゴールドですけど、チケットはどうするんですか?昨日今日で少し使っちゃいましたし....」
「.............あ」
短い....
加えて、今日は午後の更新を無しとさせて頂きます。
このところまた多忙なもので、申し訳ありませんm(_ _)m