第48話 技術者。
「畜生....」
翌日。
完全に胃がもたれてしまった俺は、朝飯を抜いてゴロゴロしている最中であった。
「フォーナめ...昨日の飯全体的に茶色くしやがって......美味かったけど」
というかもうお昼か.....この世界じゃゲームもテレビも無いから暇でしょうがない。
簡単な家電みたいなのはちょこちょこあるんだけどな。
「あ、そういや今日出掛けるん...」
俺のセリフを遮るようにして、ピンポーンとインターホンが鳴る。
吐きそうになるのを抑えながら玄関に向かう。
「お...いいタイミングだな」
「何よそれ。来てあげたわよ」
玄関前に待機していた幼兵供。
今日は鎧や武器は持っておらず、無地の簡単な服に身を包んでいる。
ま、今日は必要無いし、いいか。
「ん......」
「こんにちは、エイトさん」
「おう、じゃあ準備するからちょっと上がってろ」
幼兵供を家に入れ、リビングへと戻る。
こいつらの鎧...確か空き部屋に置いといたハズ....
「.....ああ、なんか飲むか?」
「そうね....いただくわ」
冷蔵庫を開け、中を探る。
んん....空っぽだな、買い物行かなきゃ....
あ、端っこにデカイオレンジジュースがあった。
こいつをコップに注いで出せばいいか。
「「「じー......」」」
「な...なんだよ?」
「それ、2年前のジュースじゃないでしょうね?」
「これはフォーナが持ってきてくれたもんだ!多分」
「あ、今多分って言ったわね!?」
気にすんな気にすんな、とテーブルにコップ三つを置いて二階に向かう。
ぐぁあ...階段ツライ。
もうラーメンの大盛りはやめよう....
*****
鎧をデカイ袋に詰め、リビングに戻る。
すでにジュースを飲み終えていた幼兵供は準備を済ませており、玄関で待機していた。
「よし、んじゃあ行くか」
「で、どこに行くの?」
「言ってなかったけか?知り合いのとこだ。ほれ、早く行くぞー」
「ま...待ってくださいいぃ....」
*****
歩くこと十数分。
程なくして目的地に到達する。
「うし、ここだ」
「うわぁ....」
「なんか....思ってたのと違いました....」
住宅街の中にある、鉄製の扉と壁の建造物。
ほかの家が中世風って事もあってここはかなり浮いてるな。
「おーい、入るぞ。早くしろー」
建物を見つめたまま動かない幼兵供を置いて、俺は一足先に扉を開く。
中は真っ暗で、伸ばした腕の先さえ見えないと来た。
「エイトだー、レシュアー、いるかー?」
中に呼びかけるが、返事はない。
アイツにとってはよくある事だからな....多分どっかにいるだろ。
目を凝らして部屋の中を見回す。
よく見ると、部屋の奥で何か光って...,
「あれ固定機銃うおおおおおおッッ!!!??」
闇の中から大量に打ち出される魔法弾。
ヤベェ!!剣持って来てないから弾けねぇ!!
避けるしかないっての!!
「エイト!?どうし」
「お前らくるなあああッッ!!離れて待ってろうわ危ねぇ!?」
「何が起きてるんでしょうか....?」
長い長い掃射長いッッ!!!
しかも弾が強いしッッ!!
後ろの鋼鉄製の壁が蜂の巣になってるぜ!?
「ちょ...マジ、ストップ!!ストオオオオオップ!!!」
ぷしゅぅぅぅ....という音と共に俺への掃射が止む。
煙を吹き出す機銃の奥に立っていたのは、
「いやぁ流石エイトさんッス!まさか全弾避けられるとは思いませんッした!!」
「テメェ...相変わらずだな....」
レシュア・ランドッド。
俺が知る限り最高の技術者であり、最悪のマッドサイエンティストである。
「にひひ....おひさッス!!エイトさん!!」




