第33話 幼兵戦。
「アルトッ!後ろに回るからフレア撃って!!」
「わ、わかりました!」
[ジャイアントスパイダー]と睨み合いながら叫ぶ。
うわぁ....黄色のしましま...気持ち悪い....
八つの赤く光る目がこちらを睨む。
『シュゥゥ.....』
「た....たああっ!!」
相手に向かって勢いよく飛びかかる。
剣を振り下ろすが、硬い脚で防がれてしまった。
「硬っ.....ソアラ!!準備いい!?」
すぐに体制を立て直し、脚の間を潜り抜け、相手の背後に出る。
「《フレア》っ!!」
ソアラが撃った火の玉が、[ジャイアントスパイダー]の顔面に直撃する。
「やった....?」
相手が倒れたのかどうか、立ち上る煙のせいで判断できない。
よく目を凝らせば.....
「.....え」
煙の中から振り上げられる長い脚。
先端は異常に尖っている。
突然の事で、動くことができなかった。
「あ、やっ」
「........あぶ...ない」
脚が振り下ろされる直前に、煙の中に向かって大量の魔法弾が撃ち込まれた。
『ギシャァッ!?』
煙の中から苦しげな声が響き、[ジャイアントスパイダー]が姿を現わす。
同時に、横にアルトが着地してきた。
「だい....じょうぶ?」
「う...ん、助かったわ。ありがとう」
「.....いい」
眠たげながらも、鋭い瞳で相手を見つめるアルト。
....負けてられないわね。
「...私が動きを止めるから、アルトがアイツにありったけ攻撃してやって」
「....りょーかい」
「いくわよ!!」
地を蹴り、体勢を立て直しつつある[ジャイアントスパイダー]に走っていく。
「させないわよっ......!!」
自らを起こすために曲げられた前脚の関節部を狙い、剣を薙ぐ。
関節部分なら柔らかいはず....
『ッッ!?』
成功。
太く長い脚は関節部で切断され、脚を一本失った[ジャイアントスパイダー]は、再び倒れた。
「今よアルト!!」
「ほーい」
後ろからアルトが飛び上がり、[ジャイアントスパイダー]の上に乗る。
そのまま、相手の顔面にシューターを突きつける。
「ばいばい」
そして魔法弾を撃ち込む。
そこら中に紫色の血が飛び散った。
『シャァァァァァッッッッ!!!?』
顔面にシューターの集中砲火を食らった[ジャイアントスパイダー]は、断末魔を上げながら、力無く倒れていった。
「......いえーい」
「......やったわね」
飛び降りてきたアルトとハイタッチを交わす。
疲れた....ソアラのところに戻ろうっと....
「さ、戻りましょ」
「ん....」
所々に返り血を浴びたアルトの手を取り、歩き出す。
安心感で心が満ちていたのだろう。
この時、後ろで起き上がる[ジャイアントスパイダー]に、気づくことができなかった。




